9.初勝利のあとに
さあ、とりあえず俺は神崎にこう言った。
「俺はお前に勝ったが、お前から決闘の権利で何か奪うことはない。その代わり、お前とお前についてきたグループのメンバーは俺のグループに入ってくれ!」
「えっ!?来栖、俺から何も取らないのか?」
まあ神崎が抱くにしては、当然の疑念でもある。
自分の能力を奪われるくらいは覚悟していたのだろう。
だが、そんなことをするより、許してやる方が効果的である。
「ああ、何も取らない、何も奪わない。俺についてくるなら、勝利に導こう。もちろん、クラスの中でも最初に俺についてくれた人を優遇するぞ」
「なんでそんなことを言うんだ?」
「なんでってそりゃ……」
その先を言おうとしたとき、勢いよく家庭科室のドアが開いた。
「かいくーん!」
遥香と服部、筵井さん、佐藤さんだ。
ああ、そういえば、
端末で通話機能をオンにしておいたんだったな。
「決闘が終わったと感じたら、こっちに来てくれ」と俺は確かに言った。
まあ、でもこんなに来るのが早いとは思わなかったが。
「その理由を話す前に俺の考えを話そうか」
俺はそう言った。
「神崎は俺に決闘を挑んでこようとしたときから、どうも自信があるように見えた。相手がどんな能力を持っているのかも分からないのにだ。なぜ自信があるのか?
俺の考えそこに行き着いた。そこで、神崎の能力が、他人を操れる能力、もしくはそれ以上の性能の能力を持っているのだろうという結論になったんだ。本当に選ぶ決闘が得意なのかも、という可能性もあったけどな」
「そこでお前の支配能力があれば、便利だと思ったんだよ。まあ、これが理由だな」
「そうか。そこまで見透かされていたのか」
神崎は諦念がこもった声でそう言った。
「そういうということは、支配系の能力を持っているということでいいんだな?」
「ああ、俺たちのグループは来栖のグループに入ろう」
「ありがとう。じゃあこれからは仲良くやって行こうか。よろしくな?」
「ああ、よろしく」
そう言って、俺と神崎は握手をした。
この時俺たちが初めての勝利を収めた瞬間だった。
「ところでなんで俺に決闘を仕掛けてきたんだ?」
「それは……」
「なんとしても藍川さんにグループに入って欲しかったんだ」
神崎は顔をリンゴのように真っ赤にしてそう言った。
「は?」
俺が一番初めに外した選択肢じゃないか。
「その心は?」
「そんなの可愛いかったからに決まってるじゃないか!」
俺は冷静に遥香に任せることにした。
「だそうだが、遥香?」
「私はかいくんって決めてるから、ごめんね?」
「なん、だ、と……」
また一人残念なやつが増えた瞬間である。
次回水曜日です!
書いてる間に残念な人が増えました(笑)




