6.突然の謝罪
そんな疑問はすぐに解を求めることが出来ず、遥香が戻ってきた。
「元気そうだな!海斗!!」
いの一番に俺に声を掛けてきたのは、神崎だった。ちょっと声がデカすぎやしないか……。頭に響くんだが……。そもそも神崎に名前で今まで呼ばれていたか?
「ちょっと、声小さくしてくれないか。頭に響く……」
「そうだよ。一応怪我人なんだからね。もうちょっと配慮ってものがあるでしょ?」
俺がそう言ったのをいいことにここぞとばかりに遥香は追撃を加えていた。そんな遥香を制すため、俺はベッドから出た。
「この通り立ち上がれもするから、怪我人って考えるのはやめてほしいけど、血はまだちょっと足りなさそうだから、声だけは気をつけてくれ。あと、遥香は追撃を掛けなくてもいいからな」
どちらもしゅんとしてしまった。何で来てそうそう空気が悪くなるんだよ……。
項垂れている二人を放置し、他のメンバーに俺は語りかける。
「まあ、見ての通り俺は大丈夫なんだ。心配かけてすまない」
「そんなこと気にしなくてもいいよー。本当にびっくりしたのは、血が出てた時だけだから。その後、アリアさんからしっかり治療したって聞いたあとは、安心できたからねー」
と愛蘭は優しい言葉をかけてくれる。そこまで気にすることではなかったのかもしれない。もちろん気を使ってくれているのかもしれないが。意外と体も動くことだし、本題に行こう。
一番大事なのは、これからどうするか、だ。過去の行動を悔やんでも仕方がない。失敗を踏まえて、どうするかが大事だろう。
俺が話し出そうとすると、控えめに彩音さんが手を挙げた。
「どうしたんですか?」
「話があるんだけど……」
まさか他のメンバーから話があると言われるとは思ってもみなかった。あっても、皇か遥香くらいだと思っていたのでこれは意外だった。
「どうぞ。俺の話は後ででも大丈夫ですから」
そう言うと、彼女は少しずつ話し始めた。
「まずは、元気そうでよかった。心に傷でもあるんじゃないかと思ってたんだけど、そんな様子も無さそうで。これから話すのが本題なんだけど、先に誤っておくね。ごめんなさい」
突然の謝罪に俺は呆然とするしかなかった。実際、彼女が何を話そうというのか俺には全く想像がつかない。
「実は私を入れた何人かで別の貴族のところでお世話になることにしたの……」




