7.彼女の意思
「実は私を入れた何人かで別の貴族のところでお世話になることにしたの……」
……なるほど。驚くことではあったが、別に謝ることでもないだろう。確かに王様がそんなことも出来るとは言っていたという覚えもあることだし。むしろ、自分から分かれて行動することを提案してくれたことはいいと思う。俺的にはいいと思ったのだったが、そこに待ったをかけた人物がいた。
「それって誰を連れていくつもりなの?」
「そっ、それは……」
遥香の剣幕に押されたのか、彩音さんは口ごもる。遥香は滅多に怒らないが、怒った時はすごく怖くなる。俺の知る限りだと、だいたいの怒らない人はこれに当てはまる。
「私だよ!」
「けいちゃん!?」
そこで代わりに答えたのは恵子だったが、本当にいつの間に名前で呼び合っていたのかは分からない。俺が寝ていた間に一体何があったのだろう。でも、組み合わせ的には納得だ。初めて話した時もこの二人は一緒にいたから、その流れでだろう。
「他には?」
少し落ち着いたのか、先ほどよりも優しい口調で遥香は尋ねた。すると、気まずそうに神崎が手を挙げた。
「実は俺も……」
「それはどうでもいいよ!」
遥香が聞いたことに答えたのに、罵倒される神崎に少し同情しつつ、俺は遥香に俺の意見を伝える。
「別にいいんじゃないか。個人の判断だと思うし、やりたいことがあるなら、やってみるのもいいんじゃないかと思うんだけど……」
「まあ、それはそうなんだけどね。でも、みんなで居たいっていうか、なんというか、そういうのあると思うの」
確かにそういった思いを持つこともあると思うが、その上の決断だろうし、友達ならその意思を尊重してあげることも重要なことなのではないだろうか。
「その気持ちはわかるよ。でも、友達の意思を優先してあげるのも大事じゃないか?」
「それもそうだけど……」
遥香は尚も難色を示していたので、畳みかける。
「別に今すぐ行くって訳でもないんですよね、彩音さん?」
「もちろんよ。海斗くん達が方針を決めて、それに向かって動き出すまでは、一緒よ」
遥香はしぶしぶかもしれないが一応納得はしてくれたようで、
「それなら、まあ……。うん。もう二度と会えないって訳でもないしね。私は納得したよ」
そう言い切った遥香の方を向いて一度うなづいてから、彩音さんとの会話に戻る。
「俺はそれ自体はいいことだと思います。具体的にここにいるメンバーの中では、恵子と神崎を連れていくということですか」
「そういうことよ。一つのところに全員が留まることになると、何かあった時に困ることになると思うの。今ので、遥香ちゃんへの説明にもなったと思う」
「そうですね。確かにその視点には賛成です。戻ってくる時には余裕を持って戻ってきてください」
さて、一応話はついたので、他のみんなを見てみたが、何か言いたげにしているような人はいなかったので、俺が話したいと思っていた話をしよう。
「他に何かある人いる?いないなら、今日話したかった話をしようと思うんだけど」
案の定、そんな声は誰からも上がらなかった。




