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トライアングルフォース~都会と魔物とラブコメと~  作者: INONN
第2章 学園生活~幼なじみと好敵手と恋敵と~
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第36話 祝!!武演祭優勝!!

遅くなってしまい申し訳ありません。これからはもっとすぐに投稿できるように頑張ります。後、今までのルビがちゃんと着いていない部分を編集したので読みやすくなったと思います。

 「「おっ邪魔しまーす!!」」

 「おう、邪魔だ。さっさと帰れ!!」


 レイコとソウタの人の家に来た時のお決まりの台詞に嫌悪感剥き出しでツッコむ綱也。綱也としては速く日常のまったりライフに戻って欲しいのだ。


 「まぁまぁ、そう言わずに。皆で武演祭優勝した訳だし飯食ってお祝いしようや!!」

 「そうだ、そうだ。俺らをボコボコにした分、しっかり飯奢って場所提供しろ!!」


 武演祭で優勝してテンションがハイなレイコとそれに乗っかるソウタ。お祭り事が好きなのでこういうところはノリが良いのである。


 「勝手にボコされたお前らが悪い」


 綱也はハエを追い払うように手を振る。


 「ちょっとぐらい良いじゃないですか。面白そうだし、ね?」


 幼なじみに冷たい綱也を見て美空は上目遣いで説得する。美空は綱也に少し迫り軽く胸を付ける。美空は意識をしている訳ではないが女の武器を最大限に使った説得である。


 「うっ…はぁ、仕方ない。だが、泊まりはなしだぞ!!」

 「「アザっす!!」」


 綱也の言葉を聞いてすかさず頭を下げるソウタとレイコ。その体は完全に美空の方を向いていた。


 「おい、何で礼を言うのが俺じゃなくて美空さんなんだ!!」


 そこで笑いが起き、結局綱也の家で優勝祝いが行われる事になった。



 かなりお久しぶりですね、天法院美空です。

 目の前には地獄とまでは言えませんがそれに近いような遠いような状況になっています。私の最愛の綱也君とオマケにその幼なじみのソウタ君が倒れているからです。

 何故このような状況に陥ってしまったのかというと少し時間を遡る必要があります。


 一時間前


 まずはジュースで乾杯をする事になりました。乾杯の音頭をとるのは結果的に場所提供をしてくれた綱也君に決まりました。


 「それでは、俺と美空さんの優勝を祝して乾っ()ーい!!」

 「「ちょっと待てー!!」」

 「なんだよ?折角、ノリノリで乾杯しようと思ったのに」


 素早くツッコむ相変わらずの二人に綱也君はふざけたノリで答えました。


 「なんだよ?はこっちの台詞だ」

 「何軽々とウチらの功績書き消しとんねん」


 息の合ったツッコみ。流石幼なじみですね。


 「おい、ミソラ。あんたも関心してんなや」


 あ、読まれてた。


 「しょうがない、仕切り直して、四人の優勝に乾っーい!!」

 「「「乾()ーい!!」」」


 掛け声と共にグラスのなる気持ちの良い音が響き中に入ったジュースをおもいっきり飲む。乾杯って良いですよね。


 「そういや、料理とか買って来なかったけどどうする?」

 「私が今から何か作りましょうか?大したものはないけど…」


 普通の夕食分ぐらいしか冷蔵庫に入っていないけど何とかなるかな?と私が考えていると、


 「それなら心配いらないぞ。もう手配・・してあるから」


 今日はソウタ君の黒い一面が垣間見えたのがあって手配・・という言葉にちょっとした恐怖を覚えてしまう私はおかしいでしょうか。

 とその時、ドアのチャイムの高い音が鳴り一瞬静まりかえる。私も含めて皆戸惑う中、ソウタ君は1人ニヤニヤしていました。そのままドアに向かいドアを開けて手招きする。


 「いらっしゃーい!!」

 「全く、親父をこき使うなんてどういう息子だ」


 何やら大量の荷物を持ったがたいの良い男性が入って来ました。


 「あ、おじさん。久しぶり」


 コウヤ君も知り合いのようです。親しげに声をかけています。


 「あ、ミソラさんは初めて会うのか。俺の親父で現役の魔物ハンターの…あれ?下の名前何だっけ?」

 「おいおい、親の名前忘れるか、普通?ジュンヤだ。いつも(うち)の倅がお世話になってるようで、これからも仲良くしてやってくれや」

 「いえいえ、私の方も仲良くしてもらっているので。こっちにはあまり知り合いもいないし」

 「そういや、あんた…ミソラさんだったか?元々向こうの人間なんだよな。はぁーコウヤも大胆な事するようになったじゃねーか。こんなべっぴんさんナンパするなんてな」


 なかなか低い男の人らしく親しみ易い声で話しかけてくるソウタ君のお父さん、ジュンヤさん。コウヤ君をからかってニヤニヤしているところはソウタ君に似ていますね。


 「まあ、なんだかんだ言って、武演祭優勝おめでとう!!そうそうできるこっちゃないからな!!俺も鼻が高いってもんだ!!だから今日は俺の奢りだ、好きなだけ食え!!」


 そう言ってジュンヤさんは持って来た荷物を開けた。中にはパーティー用の料理がいっぱい入っていました。


 「流石、おじさん!!」

 「よっ、太っ腹!!流石おじさん、日本1!!」


 コウヤ君とレイコは料理を見るなりジュンヤさんを持ち上げました。ジュンヤも「ふふーん。そうだろ、そうだろ」と満更でも無さげで上機嫌である。例えるならば子供の友達にお菓子をあげて人気者になってる親みたいな感じですね。今回はほぼそれの延長ですけどね。


 「ささ、こっちどうぞ」


 コウヤ君はそそくさとジュンヤさんに席を譲る。


 「おじさんの来たことだしもう一回行きますか」

 「まあ待てって。特別な(・・・)ジュースを買って来たから皆で飲めや」


 そう言ってジュンヤさんはバッグをあさり飲料水が入っているであろう缶を取り出しました。


 「あ、ウチらはいらんからな」


 レイコはそう言って私の腕を掴みました。レイコの顔には苦笑いと冷や汗が付いて離れないみたいですけど…


 「良いから口裏合わせとき」


 小声でぼそぼそと言ってるけど地味に心読んでるんですよねー私にバレてからは特に隠してる訳もなく普通に心読んでくるんですよね。友達だからと許してはいますがもうちょっとデリカシーの欠片でも良いから持っててくれないかな。

 こんな文句も全部筒抜けなので仕方なく断りました。ジュンヤさんの顔がソウタ君の悪い顔と似ているような気がしましたし。

 それでもコウヤ君とソウタ君はその特別な(・・・)ジュースを何の躊躇いも無しにグラスに注ぎました。グラスの中は黄色い液体と白い泡…これって駄目ですよね?


 「それでは、改めまして。我々の優勝を祝して乾っ杯ーい!!」

 「「乾っ杯ーい!!」」

 「か、乾っ杯ーい…」


 さっきよりノリの良いコウヤ君とソウタ君。そして二人に便乗するジュンヤさんに流され私も乾杯を形だけはしました。


 「はぁ、おじさんも何でするんやろなぁーああなるって分かってんのに」


 1人乾杯はせずただただ呆れているレイコの顔は苦い物を食べているようです。

 そしてコウヤ君達は特別な(・・・)ジュース、もといビールをイッキ飲み。すぐさま次を注ぎ食べ物をつまみながら飲む。そうしていくうちにみるみる顔を赤くしてテンションが上がって来ました。そして最終的には、


 「おでのぶらびどはずだすだだぇぁ~(俺のプライドはズタズタだぁ~)」


 ここまでぐだぐだになってテーブルに凭れかかる程酔って始めの方に戻ります。


 「コウヤ君って私達と同い年だよね?お酒飲んで良いの?」


 私は最もな事をレイコに尋ねると、


 「本来は(・・・)駄目やな」


 呆れてコウヤ君達の事を見ながら答えました。と言うか駄目なんですね。


 「こっちなら合法だし、」


 ジュンヤさんがお酒に顔を赤くして自慢気に言いました。因みにすでに5個の缶は空になっています。コウヤ君達は未成年というのもありダウンしていますがジュンヤさんはお酒に強いのか酔ってはいますが意識はちゃんとしています。


 「だし?だしの後は何や?」

 「バレなきゃ犯罪じゃないんだよ!!」


 ジュンヤさんが親指を立ててドヤ顔をしてきましたが、ドヤ顔の意味が全く分からないし、良い歳して完全に駄目人間の発言ですね。私とレイコのジト目も気にせずジュンヤさんは余り物をつまみにもう一本開けてしまいました。


 「おじさんはそれくらいにしとき。ソウタも運ばなあかんのやからな」


 次から次へと飲むジュンヤさんをレイコがやっと止めてくれました。これで祝勝会も終わりそうです。


 「ほら、起きんかい。ソウター」


 酔って熟睡しているソウタ君の頭をレイコは未使用の箸でつついて起こそうとすると、ソウタ君は顔を上げて、


 「あぁ、そっ、そこはっ、らめぇぇぇぇぇぇ…くがーZZZ」

 「…」

 「…」


 喘ぎ声をあげました。寝ぼけているのでしょうか。レイコはソウタ君を憐れみの目で見ています。


 「女子二人の前で性癖暴露しちまったとは、御愁傷様。安らかに眠れ。我が息子よ」


 ジュンヤさんはソウタ君の肩を抱えて揺すりました。それはそれで酷い気がします。確かに私も幻滅してますけど。

 それにしても、コウヤ君と言い、ソウタ君と言い、やっぱり戦っているといろいろと鬱憤と言うかその…せ、性欲が貯まって時には吐き出したくなるのでしょうか?でももし、コウヤ君に頼まれたら私は断る自信がありません。どうしようかと頭を抱えていると、コウヤ君に目が移りました。コウヤ君が酔って熟睡しているところを見る限りあどけない感じがあります。こんなに可愛いならしょうがないかな、と少しでも思ってしまう程です。


 「さて、時間も遅いし帰るか。いつまでも新婚夫婦の愛の巣にお邪魔しちゃいけないからな」


 ジュンヤさんはそう言って、片手に持ってきた荷物を持って、空いている手でソウタ君を持ち肩で抱えました。


 「せやな。べろんべろんになってる男を狙ってる親友を邪魔するゆうのは野暮やもんな」

 「もう、変なこと言わないでよ!!レイコまで!!」

 「あれー、さっきまで『性欲の捌け口にされたらどうしようー』とか考えてたのはどこの誰やったかなー」


 レイコが恥ずかしいことをさらっと言ってしまい、私の体温が急激に上がってきました。


 「そ、そんなこと思ってないもん!!」


 顔を真っ赤にして否定すると苦笑いのジュンヤさんが間に割って入って来ました。


 「まあまあ、レイコもそれくらいにしとけ。トラウマ吹っ切れるのが早すぎ、つーか調子に乗り過ぎだ」

 「…それもそうやな。悪かったな、ミソラ。今日は帰るわ」

 「うん、お休みー」


 レイコは眠そうに欠伸をしてさっさと帰ってしまいました。相変わらずですね。


 「んじゃ、これからコウヤも大変かも知れないけど、出来れば支えてやってくれ。無理にとは言わないが、これでもこいつの親代わりをやってる身だからな、どうしても心配でな」

 「え、親代わり?」

 「あ、聞いてなかったか。まあ、コウヤとしても言いにくいことだろうしその内教えてくれるだろうから、聞かなかったことにしてくれ」


 ジュンヤさんの口調が先程とはうって変わって優しい感じだったので神妙に聞こえましたがこれから何か起こるのでしょうか?


 「さて、早くレイコに追い付かないといけねーな。1人で帰したらあいつの親になんて言われるか。まあ、お邪魔しちまったが楽しかったぜ。ありがとさん」


 そう言ってジュンヤさんもレイコの後を追って帰りました。流石に疲れました。接客とナレーション、両方同日にやらせるなんて酷いですね。こっちの負担も考えて下さいよ!!作者!!



 ジュンヤ達が帰った後も綱也は目を覚ましそうもなく、美空はそのまま綱也を寝かしておいて、シャワーを浴びながら考え事をしていた。


 (今日の最後の試合…結局、コウヤ君を犠牲にしなければ勝てなかったな。それに、今の私の最強魔法を受けてもコウヤ君は倒れなかった。それに今日は最初に会った日に使ってたスキャナー────トライアングルフォースじゃなくて学園から支給された普通の物だった)


 それを思うと美空は綱也の実力がどれ程の物なのか想像するだけで恐怖すら覚えた。


 (…まだまだ力不足、とてもじゃないけどコウヤ君と肩を並べる程の力はない)


 濡らした長い髪を両手で後ろに持っていき、そのまま上の方をぼんやりと見る。


 (ジュンヤさんが言っていた事もある。これから大変な事がある。あのコウヤ君でさえも支えてあげないといけないぐらい大変な事が…それと、コウヤ君の両親の事。ジュンヤさんの言い方からして亡くなってしまったのかな…どうして話してくれなかったんだろう…疑問はまだあるけど…でも、やる事は決まった)


 美空の顔が凛々しく覚悟を決めたような顔をしていた。


 (強くなる。強くなってコウヤ君を支えてあげないといけない)


 この時、美空に一種の使命感が生まれた。すると、


 「あぁ、美空さーん。もうなんか眠たくなっちゃってくらくらして「キャーーーーーーーーーーー」ぐほぉぁ!!」


 いきなり酔って寝惚けているコウヤが千鳥足で美空の入っていた風呂場のドアを開けた。美空は突然、風呂場に入って来た物がいて何かも確認せず魔法で風の塊を打ち出した。風の塊の顔面アッパーをもろに喰らい綱也は壁まで吹っ飛ばされてうなだれる。


 「こ、コウヤ君!?」


 自分が吹っ飛ばした物が綱也だと気付いて慌てて体にタオルを巻き(しかし、少し胸がはみ出している)綱也の安否を確認する。


 「ふぅ、良かった」


 綱也は攻撃を受けた後、また眠ってしまったようだ。美空は安堵し、壁に打ったであろう後頭部と直接攻撃が当たった顎に〈光〉属性の回復魔法を使う。魔法を使えない綱也の為にと思い美空が真っ先に覚えた魔法だった。そこまで思い出して美空ははっとした。


 「…そうだ。力で並べなくても、私には私なりにコウヤ君を支えることができる」


 そう思い気持ちが少し楽になり、美空は顔を綻ばせる。


 「その事を気付かせる為に?流石にそこまでは…ないかな…」


 偶然だとしても大切な事を思い出させてくれた綱也に美空は再度惚れ直し、愛しの人の顔を撫でる。

 そして美空は手早く寝間着に着替え、〈風〉属性の魔法を補助にしてお姫様抱っこの形で綱也を部屋まで運んだ。ベッドにそっと寝かせ綱也が起きないようにそっと美空もベッドに横たわる。


 「…たまには、一緒に眠っても良いですよね…」


 美空はそう呟き綱也に優しく抱き付いて意識を手放した。その寝顔は幸せに満ちた笑顔だった。

注意:この話は未成年の飲酒を推奨する物ではありません。お酒は二十歳になってから。

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