14 星になった兄弟
ユウセイは肩をすくめ、で、と呟いた。
「キミは誰なのって聞いて――」
「ゆーせー、この子は、フォン・ローゼンベルクっていう公爵家の長男だよ」
「え、マジ? つまり……名前は”フォン”?」
「フルネームは”アルヴァン・フォン・ローゼンベルク”」
「てことは、アルヴァン。……アルヴァンね」
ユウセイとソイルのテンポのいい会話を外から眺めている。
この人はどこまで知らないんだ、とため息が漏れた。
「で、こっちの子はセラフィン・フォン・ローゼンベル」
「――本当にそれでいいの?」
ソイルの説明を遮った。ソイルはユウセイに言葉を遮られたことに唇を尖らせる。
しかしアルヴァンは、一瞬その言葉の意味を理解できなかった。
「……えっと、どういう意味ですか?」
「本当に、ローゼンベルクの名前でいいの? って聞いてる」
ユウセイの目は真剣だ。だからこそ言葉に詰まる。
「この子……セラフィンだっけ? セラフィン君の体……妖術かけるときに見たけど、だいぶ乱暴されてたみたいじゃん? 多分死因も……家にあると思うんだ。そんなひっどーい家の名前で、本当にいいの?」
その言葉が、心に響いてきた。
言葉だけじゃなく、息も詰まる。まるで、心の中を読まれたようだった。
「………………………………………よくない」
アルヴァンが、独り言のように、小さく言った。
ユウセイが頬を紅潮させて楽しそうに笑うのが、視界の端で見えた。
「……セラフィンを殺した家。母を売り物にした家。元から、情なんて必要なかったんですね」
セラフィンの死体を横目につぶやく。
「子どもをいじめて興奮するクズどもに自分の息子を売るようなこの家名も、禁じられている人身売買で買った女の間に子どもを作る父からとられたこの名前も――もういらない!」
話してるうちに感情が乗って来て、涙が浮かぶ。
そうだ、こんな名前に価値なんかない。
どうせ値札だ。侯爵家という肩書があるだけの、商品名!
捨てたところで、後悔も情も生まれるものか。
ユウセイは、満足したように笑った。
ソイルは、「屑だねー」と楽しそうだった。
「じゃあ、キミの名前は”リゲル”にしよう。人間界にある青色の星だ。君の瞳にふさわしい」
アルヴァン――否。リゲルの、水色の瞳のハイライトが光った。
そして、嬉しそうに微笑んだ。
(……じゃあ、セラフィン君は”レグルス”にしようかな。肌が白いから)
ユウセイは昔テレビで見たレグルスという星を思い出す。
二人の名前を星にした理由は……死者だから。
ほら、『星になった』って、よく言うでしょ?
うん、我ながらいいネーミング。
昔、自分の子どもに”蘭嵐”と”嶺黎”なんて名前を付けた時には、パートナーに殴られたもんな……。
俺だって成長する。うん。
14話っていう中途半端な話数で言うのもなんだと思うけど、
ブックマーク等よろしくお願いします……(?)
やべえこれめちゃくちゃ言うの久しぶりだ。一年ぶり。




