1 リゲル星の名を持つ者
三属性の少年。当時は神童だの神の使いだの世界が騒ぎ立てた。
しかしそんな少年は姿を消し、今も見つかっていない――。
・・・
リゲル。人間界に存在する星の名前。
そして、闇、火、氷の三属性を使える青年の、現在の名前だ。
リゲル――元、アルヴァン・フォン・ローゼンベルク。
そしてその弟――元、セラフィン・フォン・ローゼンベルク。死因、入水。
雪の日に姿を眩ませた、天才と努力の兄弟。
アルヴァンの母は元奴隷。アルヴァンの父、アスカリオ・フォン・ローゼンベルクに買われた愛人。
セラフィンの母は生粋の貴族令嬢。周りの貴族からの好感度も高く、期待されていた正妻。もちろん、その子どもが家を継ぐと思われていた。
しかしその人間関係や期待は、アルヴァンが生まれた瞬間に崩れ消え、なくなる。
アルヴァンの母は表向きには娼館の娼婦とされている。
しかし本当は、奴隷。人身売買が入ってるので、娼婦ということに。
アルヴァンは闇、火、氷の三属性。
セラフィンは風のみ。
この国で優先されるのは、魔法だ。血筋は基本関係ない。
「うー」
「あー」
小さな体と短い手足で必死にハイハイするソルフィーネとシルヴァリオンの双子。
そしてそれを見守るアークレイオンと乳母。
ソルフィーネがハイハイでアルヴァンに近づいた。
「う、うわ」
「ふふ、驚かなくていいんだよアルヴァン」
緊張で正座していたアルヴァンの膝にソルフィーネが乗ってくる。
驚きでソルフィーネを下ろそうとしたところに、アークレイオンが笑いながら近づく。
「それより、可愛いだろう?」
「……はい」
「アルヴァン兄上、セラフィンの膝にも乗せて」
セラフィンがアルヴァンの隣に座り、膝をポンポンと叩く。
乳母とアークレイオンが微笑ましそうにしながら、ソルフィーネの双子の弟、銀髪にシャンパンゴールドのメッシュが入った髪をした、シルヴァリオンをセラフィンの膝に乗せた。
セラフィンは嬉しそうにシルヴァリオンの頭を撫でるが、当のシルヴァリオンは抱っこされたくないのか体をのけぞらせる。
「あ、落ちちゃうよ……」
「抱っこされたくないみたい。ごめんね」
アークレイオンにシルヴァリオンを取られ、少し頬を膨らませた。
こんにちは。作者の狐塚季輝と申します。
一話千文字前後、全17話(+おまけ)で構成されています。
完成度が高いとは言い切れませんが頑張って書いた物語なので、温かい目で見ていただけると嬉しいです。




