恐怖!社会保険料 2
待望の昼休み。
隣席でお弁当を広げる主任。お弁当には色とりどりの食材が並び、ちゃんと栄養バランスが考えられてるのが分かる。仕事ができる女性は料理まで完璧なのか、と内心で感心しつつ僕は、期待半分、不安半分で切り出した。
「あの……さっきの社会保険料の話、もう少し詳しく教えてもらえませんか?」
「いいわよ。社会保険料にはいくつか種類があるけど、あなたの明細にあった“短期掛金”は医療保険、“長期掛金”は年金。で、問題はこの年金ね」
主任は箸を止め、真っ直ぐに僕を見た。
「年金って、自分のために積み立ててると思ってるでしょ?」
「え? 違うんですか?」
「違うの。実際は“賦課方式”っていって、あなたが払ったお金はそのまま今のお年寄りの年金に使われるの。つまり、私たちは将来のために貯めてるんじゃなくて、現役世代として高齢者を支えてるのよ」
「……マジですか。それ、僕らってめっちゃ損してません?」
「そこなのよ。世代によって大きな差があるの。たとえば今の八十代はね、現役時代に払った金額より、もらってる年金の方が二千万円以上プラスになってる」
「二千万円!? 得しすぎじゃないですか!」
「でも、私たち二十代は逆。払い損になる見込みで、現行制度のままだと一千万円以上マイナスって試算もあるの」
「……は? 僕ら、最初から損する前提じゃないですか!」
「そう。少子高齢化で、払う人は減って、もらう人は増えてるからね。仕組み自体が苦しいのよ」
僕は箸を持つ手を止め、頭を抱えた。
「そんな、国家による詐欺じゃないですか!?何とか払わないで済む方法は…」
主任は苦笑しながら言った。
「無理よ。残念ながら、私たち公務員や会社員は給料から天引きされるから、どうしようもないの。でも、この現実を見れば分かるでしょ? 年金だけを頼りにするのは危険。だから、私たち世代は“自分の資産を作る”ことを真剣に考える必要があるのよ。この話は長くなるからまた今度にしましょう」
「自分の資産……」
心の奥で小さな火が灯るのを感じた。
――資産形成。投資。
これまで縁遠いと思っていた言葉が、急に現実味を帯びて迫ってきた。




