表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/5

エピローグ

 あれから二十年の歳月が流れ、私は故郷の町にいる。


 健太と結婚してすぐに子を身ごもった。

 生まれてきた娘は天使の様に可愛かった。その子は健太の希望で鈴夏すずかと名付けられた。

 結婚当初、健太は私と鈴夏を愛してくれた。家事や育児にも協力的で、鈴夏のおむつ交換も嫌がる事無くやってくれた。一本桜の下で誓った通り、健太は私を幸せにしてくれたのだ。

 しかし、そんな幸せも三年で終止符を打った。健太の想いは三年しか持続しなかった様だ。


 可愛い盛りの鈴夏と共に故郷へ帰った私は、地元の企業へ就職して生活を安定させていた。全て両親の協力あっての事だが……。

 両親は鈴夏を可愛がってくれたし、鈴夏も素直な良い子に育っている。親戚の勧めで再婚話もあったが、私は全ての再婚話を断り続けて五十歳を迎えた。

 鈴夏には、父親がいない事で寂しい思いをさせたかも知れない。しかし、新しい家族関係を構築するよりも、鈴夏と二人で穏やかに暮らす事を選択したのだ。


 この二十年、私は一度も不幸であると思った事が無い。幸せな二十年を過ごしてきたつもりだ。

 鈴夏も「自分は誰よりも幸せだよ。私にはママがいるし、やさしいお祖父ちゃんとお祖母ちゃんがいるもの。友達だって、みんな親切で優しいんだよ」そう言ってくれた。

 そう言う意味では、あの日の健太の誓いは守られている事になる。一本桜の伝説も嘘ではなかったようだ。


 鈴夏も今年高校を卒業した。今日は一本桜の前での記念撮影だ。町会長がカメラ片手に卒業生達を整列させている。

 一本桜は満開の花びらを風に舞わせている。あの日、私と健太の幸せを祝福してくれた時の様に……。私の目の前には、幸せな光景が広がっていた。


 ただ、気がかりなのは、一本桜の前に並んでいる鈴夏の手と、その隣に居る男子の手が、身体の後ろに隠されている事だった。


最後まで読んでいただき、ありがとうございます。


あなたはどのように感じましたか?

私の中では、この物語はハッピーエンドなのです。

幸せの形には普遍的定義は無く、それぞれの心の中に有るものですから……。


感想などいただけると幸いに思います。

ブクマ、評価、レビューなどもよろしくお願いします。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ