第二章 デコボコな攻防
戦いが始まります
「ほんとに言ってんのか…?」
思わず声に出してしまった。蒼は六波村に到着した。しかし手遅れだと感じ始めている。
村の周囲は高さ10メートルくらいの壁に囲まれている。その壁の外側はおびただしい量のひっかき傷でいっぱいだった。そのひっかき傷は小さくて長さ3メートル、大きいものだとなんと7メートルはあってもおかしくない。しまいには、正面の鉄製の門を真正面からブチ破った跡があるのだ。門からまっすぐ村側に延びている中央街が丸見えだった― 妖怪は中へ入ってしまった。
(王国騎士は?おじいちゃんがいるって言ってたはずだ。)
蒼は周囲を見渡した。しかし誰もいない。覚悟を決めると、蒼は村の中へひっそりと歩いていった。
中に入るとすぐ戦闘音が聞こえてきた。西側だ。そこは村の中にある岩山地帯で、よく剣の練習場として使われている。闇に紛れるのを得意とするあやかしや妖怪からすれば、得意なリングなのかもしれない。だが人間側も負けてはいない。王国騎士と陽炎が協力して戦っているのだ。心配することはないはずだがやはり蒼にとっては不安なことに変わりはない。
蒼は一応の戦いに備えて走りながら剣を振って体を慣らしていた。すると、道のわきでけがをして倒れている人を見つけた。
「どうしたんですか、何があったんですか。」
「よ、妖怪だ…あやかしじゃない…それにあれは―」
言いかけたところで気を失ってしまった。蒼は妖怪という言葉を聞いて背筋が凍った。今度の戦いはやはりあやかしじゃない。玄人が本気を出して戦う相手だ。いまさら剣を持つ手が震え始めた。あのまま家にいた方がよかったのではないか。そう頭によぎった。蒼は息を整えると、首を横に振って自分を落ち着かせた。
(本当に妖怪がいるんだ…ああ怖いなあ、でも、退魔人の仕事ってそういうことだし、デビュー戦が早く来たと思えば大丈夫だ。うん。多分。)
――――――――――――――――――――――――
「ひるむな―っ!騎士団の底力をあの怪物に見せつけてやれーっ!」
「はっ、隊長!」
王国騎士団。帝国直属の武装兵集団にして、国中の治安を守る者。彼ら4人は今、大きな黒い影と戦っていた。
「遅れた。わしが前でぶつかるから、そこの魔道士と射者はやつの両目を狙え!」
「これは鳳殿。私は隊長のバルトと申します。我々は援護をするので、周回して一人ずつやつとぶつかりましょう。」
重騎士と傭兵の二人が陽炎に話しかけた。
陽炎は頷くとすぐ怪物の方に振り返って剣をさやからゆっくり抜き出した。
「こやつはでかい犬のあやかし…月おおかみか?」
「ガルゥゥ…」
怪物が先に襲いかかってきた。とその瞬間に体表が月光に照らされて影に覆われた全容が見えた。陽炎は目を丸くした。
「貴様、夜哭かっ!?なぜこんなに巨大になっとるんだ。」
「ミナ、魔法を放て!やつに攻撃のスキを与えるな!」
バルが言った。ミナ(魔道士のこと)は赤い魔導書を開くと、呪文を唱える。
『ラウト・ファイア』
右手を素早く突き出すと、自動的に魔法陣が構成され夜哭の方を向いた。中心から火の玉が発射された。まっすぐ夜哭の顔めがけて飛んでいき、衝突した。少し怯んだが、後ろに下がりはしなかった。夜哭はミナを睨むとジャンプして襲いかかる。
「貴様の相手はわしだ!」
陽炎が立ちはだかり、剣を振って夜哭の顔面にぶつける。
轟音があたりに鳴り響いた。
「我々も。ビスト、右目を!」
「そらっ!」
傭兵のビストが右目に飛びかかり、剣でその目をえぐった。夜哭はヤマアラシのように外側の毛が非常に頑丈だ。その代わり普段は隠れているお腹の部分や毛のない目、鼻などの顔周りには弱いのだ。
しかし夜哭はビストを掴むとぶん投げた。ビストは家に衝突し、突き抜けて二件隣の家まで飛んでしまった。ビストは気絶した。
「よし、今度は私だ。」
「待て、バルよ。お前の重装備でも十分強いが、攻撃者が遠距離だけだと心もとない。一度ビストを回復させてから攻撃に回るぞ。」
バルはビストを見た。
「…わかりました、隊長としては今のビストをもう一度戦わせるのは気が引けますが、それでいきましょう。」
「では、わしがビストを連れ戻して気付薬を飲ませるから、それまでやつを引き付けてくれ。」
陽炎がそう言うとバルは盾を前に突き出し、夜哭の強力なひっかきを受けながら岩場へと誘導させ始めた。
「待ってよおっさん。私をいないもの扱いみたいにして。もう少し頼ったっていいじゃない。私の弓があれば、引き付け役くらいチョチョイのチョイなんだから。」
そう言ったのは女射者のタクラだ。全く相手にされていなかったことが不満だったらしい。
「では、私がビストさんを回復させるので、鳳さんも引き付け役をお願いします。」
ミナが提案した。
「よし、ではわしも参加するぞ。バルよ。」
すべてが上手くいこうとしていた時…戦場にある者が来た。
「じいちゃん!」
「あっ…蒼、なぜここに来たっ!」
「どうしました」
バルが盾を構えたまま振り向いた。夜哭はこのことを待っていたかのように、バルを横からはたくようにして突き飛ばした。幸い、鎧のおかげで致命傷は免れたが、ぶつかった建物の屋根が一気に落ちてきて、バルの足を下敷きにしてしまった。
「くっ、騎士団として不甲斐ない。」
「バルさん!くそぉ、許さないからね!」
タクラが連続で矢を放った。きれいな弧を描いて夜哭に命中したが、鎧のような体毛のせいで傷はつかなかった。しかも夜哭は一気にタクラと距離を詰めた。
「ひっ―」
夜哭はタクラを掴み、ビストの方へ投げ飛ばした。
「二人とも下がっておれ、わしがなんとしても夜哭を倒してみせる。」
「私も魔法で腹部を狙ってみます。鳳さんはできるだけ夜哭のお腹を見せさせるようにしてください。」
「よし、わかった。」
蒼は呆然として立っていた。妖怪…妖怪だ。そして、王国騎士でも太刀打ちできない強さ。唯一の保険はおじいちゃんと女子の魔道士二人だけ。会話から察するに、すでに3人ほどが倒れている状況らしい。自分は今何をしようとしているんだ?やはり邪魔だったのではないか?自問自答もできない一方的な自らへの弱気な言葉に、蒼はだんだん逃げ出したくなってきた。しかし、ここまで来た以上やはりこう言うしかない。
「待って…その、えっと、…僕も戦う。うん、僕も戦うために来たから。いっつも家で一人でじいちゃんの帰りを待ってるのはもう飽きたから…だから戦う。戦わせて。」
「蒼…相手は妖怪だ。しかも夜哭だぞ。生態については前教えたはずだからわかるとは思うが、これは練習なんかではない。本番だぞ。それでも生きるために戦う覚悟はできておるのか。」
今のじいちゃんの言葉はずるかった。生きるための戦い。自分の身は自分で守れということだが、遠回しに他人のために戦えるようなお前ではないと言っていた。つまり、逃げたくなったら逃げろと言っていた気がした。蒼は震える右手を剣で叩いた。クセでもないが、今の自分の気持ちを落ち着かせるのには一番だった。
「来ます。鳳さん。そして…お孫さん?夜哭の動きを封じてください。お願いします。」
「行くぞ、蒼よ。必ず倒すぞ。」
陽炎の目は揺れていた。それは陽炎のように、ただメラメラと気迫と威厳を生きるものに見せつけているようにも見えた。
「じいちゃん、僕頑張るよ。」
蒼は剣を両手で握りしめ、刃先を見た。月光が煌めいているのがわかる。
今、蒼の初めての妖怪と戦う『本番』が始まった。
――――――――――――――――――――――――
「早くこっちへ、早く。」
「ありがとうねえ楓夏ちゃん。この建物は頑丈だから大丈夫だとは思うけど、楓夏ちゃんも早く隠れなさい。耳をすましてると、建物が崩れる音がするから…」
「大丈夫です。私はあなた達を助けるのが仕事なので。自分が襲われていたら元も子もないですし。」
「そう、なら大丈夫ね。あとは鳳さんのところだけど、実はさっき見ちゃったのよ。中央街道を北に向かってまっすぐ走っている子供がね。多分蒼くんよ。あの子陽炎さんのお孫さんって言うけど、戦った経験もないらしいし、大丈夫なのかしら。」
「えっ、蒼が村にいるの?あいつ修行って言ってよくどこかに行ってたけど、こんな緊急時にどこに行ってるのよ。」
楓夏は立ち上がると、外に飛び出そうとする。
「まってまってよ。あなたが蒼くんを心配するのはわかるけど、自分が行ってどうするのよ。やめなさい、かえって足手まといになるだけだと思うわ。」
「…そうね。やっぱりここで待ってますね。」
「それがいいわ。」
(蒼…)
――――――――――――――――――――――――
一方、北東の岩山地帯では睨み合いが続いていた。
「二人ともよく聞け。わしがあの岩山までおびき寄せるから、二人は岩陰に隠れて待っていろ。わしが合図をしたらその剣でやつの腹筋を狙え。よいな。」
「うん。分かった。」
「分かりました。」
夜哭が襲いかかった。陽炎は剣を盾代わりにして、攻撃を防ぐ。その隙に二人は岩山へ移動した。
「あっ、見てください…えと、蒼さん。陽炎さんが押されています。」
蒼は陽炎を見た。いくら屈強な退魔人であっても、老体では全盛期の力を発揮できない。勇敢に鼻、口周りを剣で攻撃するが、俊敏な夜哭にかかればすぐ避けることができてしまう。
(ビストのおかげで、片目は封じられているんだ…わしがもう片方の目を封じれなくとも岩山にさえ誘導すれば、勝機はあるはずだ…)
夜哭は急に陽炎から離れると、闘牛のように突進した。
『まずい!』
蒼たちは声を合わせた。夜哭はまっすぐ陽炎の方へ突進すると、頭突きを食らわせた。陽炎は真正面からこれを受け、何メートルもとばされ、剣も放り出して血を吐いた。
「じいちゃん!!」
「蒼さん、だめです。今行っては危険です。」
「いや行く。じいちゃんを助けないと。」
蒼は走って行ってしまった。ミナも慌てて後を追った。
――――――――――――――――――――――――
「じいちゃん待ってろ。助けに行くから。」
突然上から黒い塊が落ちてきた。夜哭だ。すぐに蒼に襲いかかろうとする。
「わっ、やばい。」
蒼は目をつむって剣を盾にして丸まった。
その時だった。剣に反射した月光が夜哭の体に当たると、ジューと音を立てて焼け焦げた。夜哭は思わず後退し、蒼を激しく睨んだ。蒼は夜哭が襲ってこないことに気づき、ゆっくり目を開けた。そこで蒼は気づいた。
(まてよ、あいつは元は月おおかみというかあやかしで、月によってパワーアップして妖怪になったんだろ。まさか…)
夜哭がまた腕を振り上げて攻撃を仕掛けた。何度も見た攻撃に、蒼は通用しなかった。すぐ右に避けると、また月光を反射させて、鎧のような体毛に当てる。すると、スライムのようにそれは溶け出した。
「はあ、はあ…蒼さん、これは一体。」
「月おおかみは月光によって妖怪になった。でも、ただのあやかしがここまで巨大化して力も上昇するはずがないんだ。多分あいつは今、月光の力を抱えすぎて拒否反応を起こしているんだ。」
「まさか、そんな…」
「あんたそれ本当か?それさえ分かればこっちのもんよ。」
「あなた達は?」
「ああ悪い。おれはビストだ。ミナの仲間さ。」
「あたしも忘れちゃだめだよ。タクラって言うの。よろしくね。」
「おまえら、この子は鳳殿のお孫様だぞ。ああ、私の名前はバルと申します。」
この長い戦闘の中で、タクラは目を覚まし、バルを助け、ビストの意識を取り戻したという。ついにまた、騎士団のメンツが揃った。
「よーし。弱点がわかったことだし、『紅き鷲』の本領発揮ですかね。」
「アカキワシ?なんですかそれ。」
「ああ、俺らのパーティー名さ。」
「王国騎士団じゃなかったんですか!?」
バルが前に出た。
「そう自らを呼んでいるのは、騎士団幹部のエリト様に命令されたからなのです。『妖怪などという馬鹿げた輩に労力を使う本隊の我々ではない。』とか言って、よりによって冒険者である我々が送り出されるとは…おっと失礼。まあそういうことなのです。」
蒼は王国騎士の裏を見たような気がしたが、一旦スルーした。
「皆さん、話している場合ではありません。夜哭を倒さないことにはこの戦いは終わりません。」
「そうね。ほらビスト、さっさと切り込むよ。」
「はいはい分かったよ。」
ビストも月光を反射させ、うまく腹部に命中させた。
「あんたの名前なんだっけ?」
「僕は蒼です。」
「蒼、右目は俺がさっき潰したから、左目をその剣で突け。」
「えっ」
「見てる感じ、あんまり戦ったことはないんだろ。じゃあやってみたっていいじゃないか。」
「おいビスト、さすがに子供じゃ無理だ。タクラにやらせとけ。」
「…いや、僕やってみます。」
「そうこなくっちゃ。」
蒼は走り出した。それに気づいた夜哭は逆に突進してきた。
「任せてっ!」
タクラが矢を放って鼻に命中させた。突然のことに夜哭は目をつむって両前足で鼻を押さえると、バランスを崩して前に倒れた。
「今よ、蒼!」
グサッ…
蒼は瞼の上から剣を差し込んだ。あまりにも思いっきり差し込んだので、剣の鍔まで刺さってしまった。夜哭は何が起こったのかわからず、上に乗っていた蒼を吹き飛ばして暴れた。
「おっと…蒼殿、大丈夫ですか。」
「うん、なんとか。」
夜哭が仰向けになり、顔を抑えて悶絶している。ミナが前に出た。
呪文を唱えると、仰向けになった夜哭の真上に大きな魔法陣が現れた。
『リラウト・ディヴァ!』
直後、魔法陣の中から夜哭の腹部に向かって無数の光が走った。夜哭は完全に行動を停止した。
――――――――――――――――――――――――
「はあ…全く…どんだけ心配したと思ってるのよ!」
「うう、ごめんなさい…」
「まあ良いではないか、こうして今日も太陽を見れて。一時はどうなることかと思ったが、蒼が夜哭の弱点を見つけてくれたおかげで倒すことができたんだぞ。」
「陽炎さん、あのねえ。あなたがこの蒼を守らないと意味ないんですよ!」
「はは…いいんじゃよぉこのくらいは。楓夏、おまえはこやつに対して過保護すぎるんじゃ。母親かっ!」
「うっ… 分かりました!好きにしとけばいいんでしょ!」
一夜明け、ここは六波村の診療所。陽炎や蒼、紅き鷲のメンバーもここで傷の手当を受けていた。蒼の幼なじみである楓夏はこの診療所で働いていた。
「それにしても夜哭ってでかいし強かったなあ。じいちゃんはいつもああいうのと戦ってるの?」
「いや、普段はどんなに強い妖怪でもあんなのはいなかった。一体何が起こっているんだ…」
部屋にタクラとビストがやって来た。
「わっ、じいさんすげえ重症じゃねえか。こりゃ当分戦えねえわ。」
「…蒼には言ってなかったけど、陽炎さんは全身の筋肉がずたずたで、長年の激戦の反動で体の治りが遅くなってしまってるの。残念だけど、もう戦える体ではないわ。」
「おっとまじか。」
「えまってよ、それどういうことだよ。楓夏聞いてないぞそんなの!」
「だからいったでしょ、蒼には言ってないって。」
「おい、それじゃあ退魔人のしごとは?じいちゃんがいなかったら誰が村を守るの?」
「蒼よ。それはお前じゃ。」
「は?」
「前々から感じてはおった。足がきしんだり、肩が痛かったり…いつものことだと思っていたらこの有り様だ。どっちみちもう戦える体ではなかったのじゃよ。」
「そんな、嘘だ!じいちゃんが戦えないなんて。僕じゃどうすることもできやしない。僕じゃだめなんだよ…そんな…」
「こりゃ気まずいな。タクラ、どうすればいいんだよこの状況。」
「どうするって、あんたが余計なこと言ったから始まったんでしょ。自分でなんとかしなさいよ。」
「おいおい、そりゃないぜ…」
陽炎が起き上がった。
「蒼、わしから何を教わった。」
「け、剣技とか…体術とか…」
「あの時、お前にはそれがあったのか?」
「―っ!」
「自分があの時とはもう違うことぐらいいい加減わかるだろ。お前は今まで散々わしにしごかれてきたじゃろ。なぜその努力を認めない。あっ、人の命を背負いたくないんじゃろ。まだ心は昔のままなんじゃな。」
蒼ははっとした。10年前のあの時から一度も変わっていない。じいちゃんに劣っているのに村を任されるのが嫌なのではない。単純に、だれかが死ぬのが怖いから拒否したくなるのだ。これまでなんども一人だけの夜に考えてきたはずなのに、それが欠点だということにすら気づいていなかったのだ。
なんのために戦いに参加したのか。なぜこうして現実と相まみえているのか。その答えは―
『僕は成長するために戦いに来たんだ。』
その場にいる全員が蒼を見た。蒼は下を見ている。そして、静かに微笑んだ。
「僕は知っていたのに知らなかったんだ。怖かったんだ。あの時みたいに、父さんと母さんが殺されたみたいに、また大事な人がいなくなる瞬間が!…でも、それじゃだめだったんだ。心を成長させないと、何も始まらなかったんだ。」
「それほど自分をわかっていたのなら、わかるだろう。この先、何をすべきなのか。」
「…そうだね。分かった、僕は今日から、じいちゃんの跡を継いで『退魔人』になるよ。」
「それでこそ我が孫だ。」
「エー…まあ、必要なら私にも頼っていいからね。冒険者はこんくらいの戦いなら、金さえ手に入れば喜んで引き受けるよ。」
タクラが少し恥ずかしそうに言った。
「ちょっ、お前だけいいとこ取ってずるいぞ!…まあ、俺も頼ってくれよ。正直妖怪とはあまり戦ったことはないんだが、紅き鷲のメンツなら協力するしよ。」
「怪我したらすぐ私のとこに来てね。とはいっても絶対に無理はしないで。いざとなれば私だって戦うから。」
「鳳蒼殿ぉ!声をかけてくれれば、この鎧をもって守りますからな!」
「げっ、バル、おめえいつからそこにいたんだよ。」
「さっきからだぞ」
「私もいますよビストさん、あと蒼さーん。」
ミナとバルも声をかけた。
「ありがとうみんな。これからも、よろしくお願いします!」
――――――――――――――――――――――――
青い空。雲が流れるのを草原の上で大の字になって見ながら、風を耳と肌で感じる。頭で動脈の波を感じながら、目を瞑る。草の音がはっきりするようになった。
(待ってろよ蒼。俺もそろそろそっちにつく頃だからな。)
時は止まることを知らない。ただ同じ早さでひたすらに進んでいく。その中で生きるものはやがて老いる。そして死ぬまでの間、何をして、何を考えるのか。この物語はまだ始まったばかり。
読んでくださりありがとうございました。続きをお待ち下さい。




