どこかに土地はないかしら?〜ヴィクトリア(レイチェルーヴァ母)
はぁぁぁ。
ぜんっぜん見つからないわ。
どうなっているのよ、王都に余っている土地はないって言うの!?
いつまでもレイチェルーヴァ共々リランジュリンダさんにお世話になっているわけにはいかないじゃないのよ。
工房を出す場所がなければ鍛治も出来ないし、そうすると私に出来ることなんて、食事の用意くらいしかないのよ!?
リランジュリンダさんには、ものすごい喜ばれている。
どうも、料理がまるでダメらしい。
レイチェルーヴァと2人でどうしていたのかと思えば、食堂に行ったり、屋台で買って食べたりしていたらしい。
栄養は偏るし、不経済すぎるわ。
「ここにずっといて、ご飯作って欲しい」
って、泣き付かれていたりもするけれど…。
だからと言って、それを受け入れるわけにはいかない。
だって私の本職は鍛治師だもの。
武器とか作りたいのよ。
どうにかならないかしら。
ルークは冒険者で稼ぎながら、土地を探してくれてはいるけれど…。
王都を囲む壁の中では、土地を見つけられない。
なら、壁の外は?って思ったりもしたけれど、ルークがいなければ、魔物が来たら私には対処が出来ない。
工房にこもっていたら、尚のこと外のことは頭から抜け落ちてしまう。
はぁぁぁぁ。
ため息も止まらないわよ。
夕方、戻ってきたルークが、
「ヴィクトリア!明日時間あるか?」
ただいまよりも前にそんなことを聞いてきた。
時間?
そんなの腐るほどあるに決まっているじゃないのよ。
食事の用意しかしてないのよ?
暇なのよ。
私は頷きながら聞いた。
「どうしたの?」
「王都のギルドで懐かしい人に会ったんだ!」
ルークが前のめりの興奮気味にそんなことを言う。
「懐かしい人?」
「あぁ!ザランさんとリディさんだ」
えっ!?
あの2人に?
「本当に!?」
ルークがホントホント!と首を縦に振る。
「ヴィクトリアとも会いたいって!明日なんだけどいいかな?」
「もちろんよ!」
どのくらいぶりかしら?
ザランさんの大剣を作製した時以来…?
硬くて重い大剣を依頼されたのよね。
素材持ち込みで。
あの仕事は面白かったわね。
明日が楽しみだわ!
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「ヴィクトリア!久しぶり」
懐かしい覚えているままの人たちに思わず破顔した。
「お久しぶりです。リディさん!!それにザランさんも!」
全然変わってないわ。
さすが龍族よね。
でもこれは秘密よ。
「まさか、ルークとヴィクトリアに王都で会うとは思わなかったぞ」
ザランさんが、笑っている。
「それはこっちのセリフですよ、ザランさん。アクウダンジョンに引きこもってたんじゃないんですか?」
そう、この人達ってば、上級ダンジョンのアクウダンジョンの中層で住んでるのよね。
ダンジョンに住むってすごい発想よね。
「あー、今はアルファ1ダンジョンの中層にいるぞ」
はっ?
アルファ1ダンジョンって、王都の周りのダンジョン地帯のダンジョンよね?
しかも1ってことは、また上級ダンジョンってことじゃないのよ?
「でもなぜアルファ1ダンジョンに?」
「息子がな、王都で活動するって言うから、近くにいることにしたんだよ」
今なんか息子って言わなかった?
聞き間違いじゃない!?
「えぇー!?いつお子様誕生したんですか!?」
「子供は持てないって言ってましたよね!?」
ルークも驚いてるわ。
「違うわよ。捨てられた人族の赤子を拾って育てたのよ」
「「えっ!?」」
あら、ルークと驚きが重なったわ。
「いやねぇ、そんなに驚く事ないじゃないのよ」
リディさんが、ぷぅっと頬を膨らませてる。
「で、ルーク達はなんで王都にいるんだ?」
ザランさんに聞かれて、自分たちがいない間にレイチェルーヴァが町から追い出された事。
完全に町から引き上げてきた事。
レイチェルーヴァが王都にいるから、自分たちも王都で暮らしたいが、場所が見つからない事。
そんなことを話した。
「それなら、私たちみたいにダンジョンで暮らしたらいいじゃない?」
リディさんがとんでもない事を言う。
「上級ダンジョンの中層なら、まだ冒険者も来ないから静かだぞ?」
ちょっと待って!?
ダンジョンで暮らすとか無理でしょ!?
「俺たち上級ダンジョンの中層とかたどり着けませんけど?」
そうよね?
普通の人には無理だと思うのよね。
「私戦えないですしね」
私は武器作ることしか出来ないのよ!
「ダンジョン内を通らずに外と行き来出来れば問題無いんじゃないか?」
ザランさんがそんな事を言うけど、ダンジョン内を通らずにって、意味がわからないんだけど。
「そんな無茶苦茶な…」
ルークも困ってるわ。
「うーん…そこがクリア出来たらヴィクトリアには最適な環境だと思うわよ?」
「どうしてですか?」
ダンジョン内の何が私にとって最適だと?
「だって、アルファ1ダンジョンって鉱物ダンジョンよ?」
鉱物ダンジョン!?
「魔鉱石とか魔鋼とか魔鉄鋼とか出ますか!?」
リディさんは、ニコって満面の笑みを浮かべて言ったわ。
「もちろんよ」
私は思わずルークの顔を見てしまったわ。
だって、剣の素材が目の前にあるってことでしょ!?
そんなの住みたくなるに決まってるじゃないのよ!
「どっちにしても自由に行き来出来ないとムリだぞ?」
ルークは勘弁してくれって顔をしてるわ。
「まずはそこだな。うちの息子にいい方法がないか確認しておくよ」
「ミゲルちゃんね、魔法が得意なのよ」
本気でダンジョンに住みたくなってきてるのよ。
なんとかならないかしらね。
会ったことないけど、ミゲルくん、頑張って!
後ほどムチャブリされることをミゲルはまだ知らない。
お読みいただきありがとうございます!
もしよければ評価もおねがいしますm(_ _)m
トーヤのテンションがあがります(笑)
感想、誤字脱字報告もありがとうございます。
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