ゼータ3ダンジョン
父さんは母さんが待っているからと、俺たちを置いてさっさと【転移】で帰って行った。
「ミゲルくん、【転移】するなら先にそう言ってよ」
心臓が止まるかと思ったって言われたけどさ。
「いや、父さんが【転移】で来たのを見てたから分かってるかなって思ってた」
なんかごめん。
「本当にゼータ3ダンジョン?あの一瞬で!?」
「あっ、もしかして気持ち悪いとか体調おかしいとかあるの!?」
ラノベあるあるだと、【転移】酔いみたいなのがあったりするじゃない?
「いや、そういうのはないよ」
ゼオンさんの問題なしの言葉によかったと思った。
「それなら、ダンジョンにこのまま潜る?」
「うん、お願い」
俺たちは、ゼータ3ダンジョン、通称無益ダンジョンへと足を踏み入れた。
スキル『自動地図作成』発動。
他の下級ダンジョンと広さは変わらないな。
むしろ狭いくらいかな。
マップは問題なく出来上がったしな。
「ここでは、ターメリックの根とかを採取したんだっけ?よくこんな何もないところで採取出来たねぇ?」
思わず言っちゃうくらい何もないんだよ。
さすが通称無益ダンジョン…。
いや、マップには色々表示されてるよ?
でもマップがなかったら、わからないよこれは。
「あっ、僕ユニークスキルを持ってるんだよね。【ベリファイズアイ】っていうんだけど、そのスキルで何かがあるのは、キラキラ光って教えてくれるんだよ」
あー、ユニークスキル持ってたね。
けどさ?
「俺に教えちゃってよかったのか?」
「大丈夫、ミゲルくんも目を見せてくれたでしょ?」
確かに見せたけど、スキルとは別じゃね?
しかもユニークだし。
「ユニークスキルなんて、悪い人に知られたらマズイんじゃないの?」
攫われちゃったりとかしない?
大丈夫か?
「んーでも僕のユニークスキルは、あんまり有用じゃないと思うよ?とりあえず僕のスキルは置いておいて、採取しようよ」
使い方によっては有用になるんじゃないか?
パッとは浮かばないけどさ。
「そうしますか、それと俺のことはミゲルって呼び捨てで、あとは喋り方も普通でお願いします」
ゼオンさんは歳上だしね。
そう思って言ったら、えぇ!?って驚かれた。
「それなら、僕のこともゼオンで、フランクにお願い」
と、返されてしまった。
「いやいやいやいや、俺歳下だし!」
「でも、ランクはミゲルの方が上だもの」
うー。
ちゃんと呼び捨てにしてくれてるけど、俺も呼び捨てにすんの!?
「…わかった、じゃあゼオンって呼ばせてもらう」
わぁー、いい笑顔をもらってしまった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「ココって魔物出ないのか?」
マップには、魔物が表示されてないんだよな。
「この間来た時は、出なかったけど」
まぁ、無益ダンジョンで魔物が出ないって聞いてたから、ゼオンは1人で来たのかもしれないけどな。
「そっか、罠もないといいけど」
マップには、罠の表示もない。
1階層だからって可能性もあるけど。
「罠にも当たらなかったけど」
「そっか、なら採取しようか。どこかキラキラしてるところある?」
マップには、色々表示はあるんだけど。
ユニークスキル的にはどうなのかな?
「前回来た時よりも、キラキラが多いね」
へぇー!?
「なら、採取しようよ」
「そうだね、僕が採取するよ。【青の手】と【緑の手】ってスキルを持ってるから、どうやって採取すればいいかわかるんだ」
って、自分のスキル情報を開示しすぎじゃないか!?
「ゼオン…スキルをそんなにホイホイ教えたらダメだろ?」
「あっ、ごめん。ミゲルならいいかと思って」
いや、信頼してくれてるのかもしれないけど、まだ会って2回目だからな?
「わかった、採取はゼオンに任せる。けど、【鑑定】は俺がするからな」
俺の手札も切っておくよ。
「えっ?ミゲル【鑑定】出来るの!?」
やっぱり気づいてなったか。
ダンジョン市で、どうやってあれらが何か確認したと思ってたのかな?
元々知ってたと思ってたのかな?
ゼオンって、ちょっとぼんやりさんなのかな?
「出来るよ。だから採取したら俺に渡して?」
「わかったよ。でも採取したものは分担して持とう」
あっ、マリンを紹介しとくか。
「いや、荷物は俺が持つよ」
「それはダメだよ」
「大丈夫だよ、マリン出ておいで」
『みゅー?〔なぁに?〕』
マリンがカバンから飛び出す。
「スライム!?」
ゼオンが驚いてる。
「そう、俺の従魔だよ」
「ミゲルはテイマーなのか?」
あれ?職業も伝えてなかったか?
「いや、違うよ?俺は火の魔法士だよ」
「なのに、従魔がいるの?」
「たまたまな。で、マリンはすごいスキルを持ってるんだよ」
「スライムが?」
マリンって呼んであげてな?
「そう、マリンは【スライムストレージ】って収納出来るスキルを持ってるんだよ。攫われたら困るから秘密な」
「【スライムストレージ】!?そんなスキルがあるの!?絶対言わないから!」
お願いするよ。
両手で口を押さえてるゼオン、歳上なのにちょっと可愛いとか思っちゃったぞ。
「あっ、それで大量の魔石とかを持ち帰れたってことなのかな!?」
「そういうこと」
だから、荷物は任せてよ。と言うと、やっと頷いてくれた。
1階層からさっそく採取を始めたわけだけど、バニラの鞘が大量だよ。
それから、シナモンもたくさん採取出来た。
シナモンの使い道…アップルパイくらいしかわからん…。
2階層に降りたら、ターメリックの根、クミンの種、コリアンダーの種、カルダモンの種、チリペッパーの実が採取出来た。
たぶんカレーに必要なヤツのはずだ。
これでまた一歩カレーに近づいたな。
「下に降りてみる?」
「ミゲルは疲れてない?」
「全然?」
だって俺、ゼオンが採取したものを【鑑定】してるだけだもん。
荷物も持ってないしな。
「それなら、行ってみたい」
「じゃあ、行こう」
降りてみても相変わらず見た感じ何かありそうには見えないな。
マップは…。
おっ?
なんかありそうだぞ?
魔物はいないな。
「ゼオン、なんかありそうかな?」
「うん、すごくキラキラしてる」
ゼオンは、手を伸ばして何かを摘み取った。
えっ?そんな手の届くところになんかあったのか?
「これ、【鑑定】お願い」
俺は、ゼオンに渡された実を【鑑定】して、驚いた。
「ショウユの実!?」
マジで!?
【鑑定】結果に、"前世の醤油"の文字がある。
これで、生姜焼きやら照り焼きやらのレシピ登録が出来る!!!
「その、ショウユの実っていうのは、何か役に立つの?」
「これ、探してたんだよ!!ありがとうゼオン!!」
ゼオンは、俺の喜びように戸惑いながら、ミゲルに必要なもので良かったと笑っている。
けどな?
これって、絶対にゼオンのためにもなると思うぞ?
そんな感じで、色々見つけたぞ。
4階層でミソの実。
前世の味噌。
醤油に続いて味噌まで!
味噌汁が飲める。
5階層で、シグレの実。
前世のしぐれ煮を作れる実。
割るとショウガがきいた甘辛タレが出てくる。
このタレで肉を煮ると絶品。
6階層で、ヤマトの実。
前世の大和煮を作れる実。
割ると甘辛タレが出てくる。
このタレで肉を煮ると絶品。
すぐ食べられる肉が出てくるんじゃないのかー。
まぁ、実自体は小さいしな。
そりゃ、タレだよな。
でもコレがあれば、簡単にレパートリーが増えるな。
この世界でも塩味以外の料理が増えるぞ!
レシピ登録しなくちゃな。
7階層で、ソースの実。
前世のトンカツソース。
これは、トンカツを作らなくちゃな。
ゴマってなかったかな?
すったゴマとソースで、トンカツを食べるのが好きだったんだよなぁ。
そもそもこの世界って、食用油ってあるのかな?
フライパンで焼いたりするから、ないことはないよな?
大量に手に入るのか?
8階層で、ケチャップの実。
前世のケチャップ。
ケチャップ!
もう出来てるケチャップ!
肉焼いてケチャップで炒めるだけってのも好きなんだよな。
ロールキャベツとかもいいよな。
あっ!チキンライスを作ってオムライスも出来る?
米を探さないとダメか。
自分だけで食べる分には問題ないけどな。
レシピはダメだな。
9階層で、マヨネーズの実。
前世のマヨネーズ。
異世界あるあるのマヨネーズ。
実は俺、マヨネーズがちょっと苦手。
ラノベあるあるはみんなマヨネーズ大好きじゃん?
いつもそこには、1ミリも共感出来なかったんだよな。
あっ、たまごサンドには必要だけど、マヨネーズ少なめでしか食べられないんだよな。
たまごサンド好きなんだけどな…。
10階層で、デミグラスの実。
前世のデミグラスソース。
ハンバーグにちょうどいいな。
ビーフシチューとかにも使えるのか?
他は、どの階層にもあったのが、
ソルトの球根…塩だな。
シュガーの球根…砂糖だろ。
ビネガーの実…酢、だよな?
ニンニクの根はニンニク。
ショウガの根はショウガ。
ペッパーの実はコショウだろ。
スパイスが色々見つかった。
スパイスありがとう!
なんて、有益なダンジョンなんだ!
誰だよ、何もないなんて言ったヤツはっ!
「ミゲル?こんな根とか球根とか本当に買取してもらえるのか?」
「大丈夫だ!絶対に高値で買取される、いや、させてみせる!」
美味しいは正義だからな!
レシピまとめるから、少し時間くれ。
お読みいただきありがとうございます!
もしよければ評価もおねがいしますm(_ _)m
トーヤのテンションがあがります(笑)
感想、誤字脱字報告もありがとうございます。
引き続き他の作品共々よろしくお願いします!
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