レシピ登録
王都には治安維持のために、警備兵が巡回している。
その警備兵を連れて商業ギルドに戻って来たレジーさんが、ぜぇぜぇとした息を整えている。
運動不足かな?
シェイラザードさんが警備兵の人に、ギルドマスターの盗聴の件と【鑑定】結果を報告し、牢にぶち込んで取り調べをお願いしていた。
どうも、恐喝やら高利貸しやら色々やらかしていたらしい。
シェイラザードさんの【鑑定】には、そう表示されていたみたい。
警備兵に捕縛されたギルドマスターは、もうすぐじいさんという感じのギラギラした小太りの人族だった。
俯いてしょんぼりしてるのに、ギラギラ感が消えないな。
金に汚そうだ。
「さてと、ミゲルくんだっけ?すまなかったね」
シェイラザードさんに謝罪された。
「いえ」
別にシェイラザードさんが悪いわけじゃないだろうしな。
まぁ、早く気づいてくれてたら良かったけどなぁ。
「レシピを登録に来たんだったかな?」
俺が頷くと、
「レジーくん、頼むよ。ついでに私らも立ち合ってもいいかな?」
サイジュと顔を見合わせて、頷いた。
上役が知ってる方がいいかもしれないな。
シェイラザードさんは、パチンと指を鳴らして、音を外に漏れない結界を張った。
やっぱりエルフの人は、魔法を簡単に使うよな。
俺もそうなりたいもんだ。
「レジーくん、はじめてくれていいよ」
「かしこまりました。では登録するレシピをお願いします」
レジーさん、さっきまで俺のこと見下してたのにな?
シェイラザードさんがいるからか?
態度が軟化したぞ?
俺は、プリンのレシピを取り出した。
レジーさんは、レシピを見て首を傾げた。
「これはどのようなものでしょうか?」
材料と作り方だけじゃ、わからないか。
「これは、"プリン"という甘味です」
「甘味…?」
レジーさんは、怪訝顔だ。
「ミゲルくん?甘味というのはフルーツやドライフルーツをいうのではなのかな?」
シェイラザードさんが言う。
確かに今まではそうだったんだろうけどね。
これからは変わるよ?
「ドライフルーツなんかよりもずっと甘くて美味しいですよ?」
サイジュが、プリンの味を思い出したのだろうか。
うっとりしただらしない顔をしてる。
いや、サイジュ?
男前なんだからその顔はしちゃダメだろ?
「ミゲルくん?登録には現物が必要なはずだが?」
シェイラザードさん?
すごい食べてみたいって顔に書いてありますが…?
えっ?クリスティアードさんも?
レジーさんは当然だよね。
マリンにいくつ預けてあったかな?
って横からすごい視線を感じるんだが…?
あー、はいはい。
サイジュも食べたいわけね。
俺は、カバンからマリンを取り出した。
「スライム?」
シェイラザードさんが、なんでスライム?って呟いている。
「これから見ることは秘密でお願いします」
その場にいる全員が、頷いてくれたので俺はマリンに話しかけた。
「マリン、ストレージからプリンを6個出してくれるか?」
『みゅ!〔わかった!〕』
マリンからプリンが取り出される。
「「「えっ!?」」」
サイジュ以外の3人が驚いている。
クリスティアードさんやシェイラザードさんでも驚くのか。
「ミゲルくん?それは君のスライム…マリンのスキルとかなのかな?」
クリスティアードさんが、瞬きを何度もしている。
「そうです。秘密にして下さいね」
「もちろんだよ」
クリスティアードさんは頷く。
「驚いたね。こんなスライム見たことないよ」
シェイラザードさんは、マリンを触りたそうにしている。
指の動きがヤバめですよ?
マリンが怖がるのでやめて下さいね。
「えーっと、これがプリンというものですか?」
レジーさんが、マリンの出した皿を見つめている。
型から出した状態でマリンに渡してあったからな。
「どうぞ、食べてみて下さい」
俺は、レジーさんとクリスティアードさん、シェイラザードさんの前に皿を置く。
ついでに、サイジュとマリンの前にも置いてあげた。
「俺もいいのか?」
サイジュがウキウキで聞いてくる。
頷くと、マリンが、
『みゅ?〔食べていいの?〕』
「いいよ」
俺はマリンを撫でる。
マリンとサイジュが早速食べ始める。
それを見て、3人も恐る恐る食べ始める。
「「「美味しい!!」」」
よかった。
「ミゲルくん、先ほどのレシピでコレが出来るんだね!?」
「そうですよ?シェイラザードさん」
違うものだったら意味ないじゃんね?
「これはとても良いものです。ミゲルさん、幾らで売りますか?」
レジーさんが、俺をさん付けで呼んでるぞ?
って言うか、売るってなんだ?
「あの?売るというのは?」
「説明がまだでしたね。
レシピ登録をするとこのレシピを使いたい人はレシピを購入します。
その購入金額から使用料として登録者に還元されます」
あーそうだった。
利益還元とか言ってたな。
けどさ?
「金額って決まってんじゃないのか?」
登録者が勝手に金額決めたって、法外な金額とかだったら、売れないだろうし。
売りたくないとかってこともあるのか?
権利の主張みたいな?
「ミゲルくん、確かに相場みたいなものはあるよ?」
シェイラザードさんがそう言ったので、
「ならそれで、あと安めで購入出来るようにしてもらえる?」
そう言った俺に、待てがかかった。
「ミゲルくん、これは今までに全くないものなのはわかるかな?」
頷いた俺に、
「それならわかるだろう?安すぎる購入金額だと、一気に広がり改良版みたいなものが溢れることになりかねない」
えっ?
それで良くない?
色んな味やタイプの甘味が増えれば、アレクサンドリールだって喜ぶと思うけど。
「ダメなんですか?」
「ミゲルさん、それだとあなたの取り分が減っていきますよ?」
「別にいいですけど?」
元々俺が開発したレシピでもないし。
前世のレシピを使わせてもらってるだけだからな?
俺が儲けるのは違う気がするぞ?
『ミゲル?神様のレシピだからあんまり安いのもダメかもしれないぞ?』
サイジュから【テレパシー】が飛んできた。
あー、そういうのもあんのか?
『クリスティアードさん、相談です。
あのレシピは神様から作るように言われて渡されたレシピなんですよ。
で、広めて欲しいから安めでと言われてます』
『なんだって!?』
そんなに驚かなくても良くない?
クリスティアードさんは、俺が神様たちから従魔もらったの知ってるじゃん?
『シェイラザードに話しても良いか?』
『あー、はい。他には秘密で』
『わかった』
シェイラザードさんの目が見開かれた。
クリスティアードさんから聞いたみたい。
『ミゲルくん?私が決めてしまっても良いかな?』
シェイラザードさんから、【念話】が来た。
決めてくれるなら、問題ないよな。
『はい。全然わからないのでよろしくお願いします。ただし安めで』
『了解だよ』
「レジーくん、ミゲルくんも決められないようだし私が決めていいかな?」
俺は頷く。
レジーさんは、いいんですか?と俺に聞いてくる。
もう一度頷くと、わかりましたと納得?してくれた。
「では、売値は大銀貨3枚。ミゲルくんへの利益還元は銀貨8枚とするよ」
はっ!?
大銀貨3枚!?
よくわからんけど、高くないのか?
それで安いのか?
「あの、それは高くないのですか?」
「んー?真ん中よりすこし下くらいだよ?」
えっ!?
もっと下でもいいんじゃないのか?
よくわかんなくて、サイジュを見ると、微妙な顔していたから、安すぎると思ってるのかもしれないな。
「よくわからないですけど、じゃあそれで」
「よし、決まりだね。レジーくん手続き頼むよ」
「かしこまりました」
『ミゲルくん、また神様のレシピ待ってるよ』
シェイラザードさんになぜか頭を撫でられて、商業ギルドはの登録とレシピ登録が終わった。
なんか疲れた…。
おしらせ
8/8~8/16まで
生まれたその日にダンジョンに捨てられた俺はドラゴンに育てられる
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