やっぱりそうなの?〜ルクレティティーリア(第一王女)
サイジュ兄様はまだかしら?
まだ帰ってこないのかしら?
昨日、やっとミゲル…ミゲルくんに連絡を取ってくれたらしい1番下の兄が、今ミゲルくんに会いに行っている。
前回はクッキーと唐揚げだったわ。
今回は何かしら?
ミゲルくんはどうしてクッキーと唐揚げを知っているの?
どうして作れるの?
サイジュ兄様に聞いても、はぐらかされるだけで、何もわからない。
やっぱりミゲルくんも転生者なのではないのかしら?
この間、顔を合わせた時に、こっそり【鑑定】してみたのだけれど、なんにもわからなかったわ。
たぶんミゲルくんの方が間違いなくレベルが高いのよね。
冒険者だものね。
あと魔力量も向こうの方が多いんでしょうね。
私だって魔術師で魔法特化なんだから、兄様達よりも魔力量は多いのだけれど…。
私は討伐とかに行くわけじゃないから、レベルアップはほとんど期待出来ないのよね。
剣で戦うなんてことも出来るとは思えないしね。
やるなら、魔法攻撃一択よね。
いつか初級ダンジョンとか下級ダンジョンに行ってみたいわよね。
ダンジョンよ?
前世には物語の中にしかなかったダンジョンなのよ!?
行きたいに決まってるわ!
でも冒険者登録をしないとダメなんだったかしら?
お父様もお母様も許してはくれないわよね…。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「王女殿下、陛下からすぐに集まるようにとのご伝言です」
まだかしら?とそわそわしていた時に、侍女に声をかけられた。
「わかったわ」
サイジュ兄様が戻ってこられたのね!?
すぐに行くわ。
えぇ!
けれど走ったりしないわよ?
あくまでも優雅に急ぐわ!
いつも家族が集まる時に使用する、パライソの間。
パライソって楽園だったかしらね?
「遅くなりました」
私は淑女の礼を取る。
「よい、まだ全員集まっておらん。座りなさい」
お父様の声に顔を上げ、部屋を見回すとまだお母様とニナ義姉様…1番上の兄様と結婚した王太子妃のティタニナーリア様しかおられなかった。
私が生まれた時には、すでにニナ義姉様はフォリー兄様と婚約されていた。
なので、本当の姉様と変わらないのよね。
2人に挨拶をして、席に座る。
2人も私と同じで、そわそわしてるわ。
兄様達3人と宰相である叔父様も揃ったわ。
サイジュ兄様が、アイテムバッグを抱えながら席について言ったわ。
「先程ミゲルから甘味と肉料理を受け取ってきました」
まぁ!!
今日も甘味と肉料理ですって!?
なにかしら?
「どちらからにしますか?」
サイジュ兄様は、お父様を見ている。
私達もお父様を見る。
「うむ、では肉料理からにしよう」
どっちからでもいいわ。
どうせ両方食べるんだもの!
「では、こちらローストスネークになります」
そう言ってサイジュ兄様は、皿に乗った塊の肉料理をアイテムバッグから出した。
ローストスネーク!?
ローストビーフとかローストポークみたいなもの!?
「アルサイジェスよ、これはこのまま食べるものなのか?」
お父様がとまどってらっしゃるわ。
そうよね…だって肉の塊なんだもの…。
「いえ、薄切りにして食べるように言われております。料理長お願いします」
あれ?
料理長ってば、いつからいたの?
全然気づいてなかったわ。
ローストスネークは、料理長の手で6ミリほどの厚さにどんどんスライスされていく。
早く食べたい!
それぞれのお皿に3枚ずつ盛り付けられる。
たった3枚!?
すぐに無くなっちゃうわよ!?
足りないわよ!?
みんなそう思ったみたいで、料理長に視線が集まる。
料理長が苦笑いしてるわ。
「そちらを食べられてる間に、他のをスライスしておきますので」
そんな呆れた顔しなくてもよくないかしら?
でも、全部スライスしている間、待ってるとか無理よね。
「ですがその前に私がお味見、いえ、お毒味を」
今、味見って言ったでしょー?
そう言って料理長がスライスした端をパクリと食べた。
絶対食べたかっただけよね!?
「「「「「あーーーー」」」」」
料理長ズルいわ。
みんな待ってるのに!!
「大変美味しゅう…いえ、問題ありません」
お父様とお母様も苦笑するしかないわよね。
もう食べてもいいの?
兄様?お父様?
「では、いただこう」
お父様の一言で、全員がローストスネークを口に運ぶ。
この間の唐揚げとはまた違う優しい味よ。
美味しいわ。
クリスマスのチキンを思い出すわね。
みんなも夢中よ。
やっぱり3枚なんてあっという間よ。
「おかわりちょうだい?」
私は、もっと食べたいのよ!
料理長がみんなにもまた3枚ずつ取り分けてくれる。
あれだけあった肉の塊なんて、8人で食べたらあっという間になくなったわ。
でもまだ甘味があるのよね?
「アルサイジェス?甘味もあるのでしたね?」
お母様が催促してくれたわ。
サイジュ兄様が、頷いて器に入ったものをアイテムバッグから取り出した。
えっ!?もしかして、あれって!?
「これなのですが、食べ方があるようで…」
サイジュ兄様は、メモを見ながら言った。
「ゆせんでからめるをとかして皿にだす、んだそうです」
「アルサイジェス?どういう意味だい?」
フォリー兄様がサイジュ兄様に問いかける。
「それがですね、ミゲルが言うにはティティがわかるはずだと」
「ティティが!?」
えっ!?私!?
全員が私を見ている。
なんで私なの?
「サイジュ兄様?その甘味はなんと言うのですか?」
「ぷりん、というそうだ」
プリン!!
前世ではよく食べたわ。
私ならわかるって言うことは、やっぱりミゲルくんは転生者なんじゃないの!?
考えるのは後にしましょう。
今はプリンよ。
「ルクレティティーリア?どうだね?」
お父様に確認されて、考える。
ゆせん…?
あぁ、湯煎ね?
カラメルを溶かして、プッチンみたいなことをすればいいってことよね?
私は料理長を呼んで、やりたいことの説明とお湯とお皿、スプーンを用意してもらった。
上手く出来るかしら?
湯煎でカラメルを温めたプリンにお皿を被せて、ひっくり返し縦に振る。
確かこれで出るはず、なんだけど…。
器を持ち上げると、プリンがぷるんと皿に出たわ。
あー、これよ。
プリンよプリン!!
「まぁまぁまぁ!!これがぷりん?というものなの?」
お母様が、大興奮してるわ。
私は最初のひとつだけをやって、あとは料理長に任せたわよ。
こういうのはプロがやるべきよね。
全員に行き渡るのが、待ちきれなくてみんなスプーンを持って待機よ。
マナーって何?って感じね。
「早くいただきましょう?」
お母様の一言で、みんなスプーンをプリンに挿し込む。
「プルプルねぇー」
お母様の感想につきるわね。
あー、懐かしい感触がするわ。
前世の時には、色々な硬さのプリンがあったわよね。
ちょっと硬めとか、滑らかでクリームみたいなのとか。
そのまま口に運ぶ。
手作りプリンって感じだけど、美味しいわ。
秒で無くなったわ。
「料理長!作れないかしら?」
お母様が、料理長に聞いてるようで、だけど作ってねと言う圧がすごい。
そうよ!
ミゲルくんに毎回頼まなくても、料理長とかが作れれば問題ないわよね?
「…そうですね、材料と作り方がわかれば…」
料理長の言葉に、全員がサイジュ兄様を見たわ。
サイジュ兄様は、おっきなため息を吐いて、
「わかった、ミゲルに聞いてみる」
「頼んだぞ、アルサイジェス」
って、お父様も気に入ったのね。
「アルサイジェス?ミゲルくんが欲しいものを聞いてきたかい?」
フォリー兄様が、思い出したように確認する。
そうだわ。
報酬はちゃんとしなくちゃね。
「もちろん」
「ミゲルは何が欲しいって?」
バトル兄様が、剣か?金か?宝石か?とか聞いてるわね。
そんなもの欲しがるかしら?
「それが、時空魔法の使い手か時空魔法の載ってる本を教えて欲しいって」
「「時空魔法!?」」
フォリー兄様とニナ姉様の声が重なる。
「そんな魔法あったか?」
バトル兄様は眉間に皺が寄っている。
「アルサイジェス?ミゲルくんは時空魔法で何をしたいと?」
お父様の質問にサイジュ兄様が言った。
「ミゲルは、アイテムバッグを作ってみたいと…」
アイテムバッグを作る!?
「アイテムバッグって作れるのか!?」
バトル兄様が前のめりだわ。
「ハーフエルフの魔導具屋がそう言っていたらしいのです」
お父様は、ふむと顎の髭をひと撫でして、
「では、時空魔法の使い手もしくは本を探さねばならんな」
みんながアイテムバッグや時空魔法に意識が向いて、私がプリンの食べ方を知っていることを忘れてくれたので、ホッとしたわ。
今度会ったら、文句のひとつでも言って差し上げないとね?
本当に何してくれてるのよ!!
お読みいただきありがとうございます!
もしよければ評価もおねがいしますm(_ _)m
トーヤのテンションがあがります(笑)
感想、誤字脱字報告もありがとうございます。
引き続き他の作品共々よろしくお願いします!
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