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ワタシ死ねないみたいです。あと○○になる方法、探してます。  作者: マナマナ


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癒しの天使なので癒します

 扉を閉めて照明のスイッチを押すと真っ白な光が部屋全体を明るく照らす。

「夜はこっちの方がいいよ」

 ハニエルが色を調整すると温かみのある色に変わる。淡い焚き火みたいな色。

「へぇ・・・こっちの方が落ち着くね」

 ベッドに腰掛けると当たり前のように隣りに座った。石鹸のいい匂いが際立つ。

「ホント、なんにもないのね」

「はは。だからそう言ったじゃん」

 今日いきなりだし。

 私はほとんど身一つでこの世界に来たんだもんね。


 こんなに近くに並んで座っているとあの時の夜を思い出す。


 私にとって最初で最高の思い出になるはずだったのに期待通りにはならなかった。今となってはちょっと辛い思い出・・・なのに拓哉と・・・したら・・・上書きされたような気がする。

 大胆なことしたのに後悔なんてない。もっと触れたい。それって美有の気持ちを知っているからなのかな。私・・・嫉妬してるかも。


「なに考えてるの?」

 目の前にハニエルの顔がある。

「ごめん。昔のこと思い出してた。その時も並んで座ってたなって」

「なんか気になる言い方」

 また隣りに腰を下ろす。

「それにさ、こんなに近いとドキドキするね」

「さっきは裸で抱き合ったのに?」

 言われて顔が熱くなる・・・確かにそうでした。

「あの時は暗かったし・・・っていうか、話を聞きたい。消灯時間もそろそろでしょ」

 ハニエルは肩に頭を傾けて

「そういえばそうだったね。初めてミュリエルを見た時、他の天使となんか違うなって思った」

 それは私が人間でリンシから天使になったから

「最初に言ったけど私は天使でも仮だから」

「それってなんなの?初めて聞いた。でも深入りは止められているから」

「今はそうしてもらえると嬉しいな」

「分かってる。隣りの席に座った時、ミュリエルの匂いが私を刺激したの」

 もう一度自分のことを嗅いでみる。石鹸の香りと今はハニエル自身の香りも混ざっているみたい。とても爽快で清々しい香り。

「自分じゃ分からないよ。言ったよね私の能力だって」

「それって具体的に聞いてもいいものなの?」

「いいよ」

 ハニエルは私の首筋の匂いを確認する。思わず肌がざわつく。それから少し距離を取って座り直した。

「聞かないけどミュリエルには大事な使命があるんだろうね。そのことが自覚のないプレッシャーとストレスになって蓄積し始めた」

 確かにプレッシャーは感じているがストレスはまだ感じていない。私は納得する意味で軽く頷く。でも『ご褒美』とうまく繋ぐことができない。

「抱えているストレスが大きければ表面に出てくる。私は癒すことができる。ホントは」

 指でくちびるを示す。

「ここからが一番良いんだけど、さすがに無理だよね。私のくちびるが触れるとストレスからくる体調を元に戻すことができる。ストレスが強ければ強いほど甘く感じるんだ。癒してあげる代わりのご褒美なの」

「すごいね・・・確かに体調がいい。ハニエルのおかげなんだ」

「そう。いろいろ事情があるんでしょ。辛くなったら頼って欲しいなって。それを伝えたくて。効果は一時的だけど悪い話じゃないと思うんだ」

 確かに今夜のことを思い返すと癒しの効果はこれ以上ないありがたい能力に違いない。

 この先・・・毎晩、上手くいかなかった時はストレスで疲れるだろうし・・・・・・

「ハニエルさえ良ければ頼るかも」

「いいよ。頼ってね。普通、天使ってあまりストレスないから。じゃあ帰るね。お休み」

 立ち上がって部屋を出る後ろ姿に

「お休みハニエル。また明日」

 少しだけ振り返った微笑みは紛れもない本物の天使の微笑みだった。

 ドアが閉まると隣りのドアの開閉する音が聞こえた。ホントに隣りなんだ。

 それからルシェルとの約束を思い出す。

 端末の操作はスマホとなんら変わらない。ただ画面が小さいのが難点かな。簡単な報告だけで終わらせた。

「明日・・・頑張らなきゃ・・・」

 そのままベッドに横になって天井を見つめて真っ白な頭の中でこれからのことを考えようようとしていたのに・・・・・・

 再び瞼を開けたときはもう朝になっていた。ぼんやりと天井を見ていると

 コンコン。

 ドアがノックされる。寝起きの瞼を擦りながら扉を開くと

「おはようミュリエル。朝ご飯行かない」

「・・・おはようハニエル」

「よく眠れた?」

 よく眠れたか・・・何も覚えていないくらい良く眠っていた。おかげで身体は元気だし心も軽く感じる。

「うん。よく眠ってたと思う。きっとハニエルの能力のおかげだね。ありがとう」

 だんだん頭も冴えてくるしお腹だって空腹を感じている。

「・・・お腹減った」

「そんな顔してる」

 う〜そんな顔ってどんな顔なんだろう。つい入口の姿見で自分の顔を確認してみる。

「ホントだ・・・」

 認めると自然と笑顔になった。否定しない素直な気持ちって笑顔になるんだね。

「先ずは着替えたら?」

「うん」

 どうやればいいかコツなんて分からないけどルシェルに出来るって言われた言葉を信じて

『制服に着替えたい』

 と強く念じてみる。

「じゃ行こっか」

 ハニエルは腕じゃないけど手を取る。

 どうやら上手くいったみたい。

 私はちゃんと天使の制服に着替えができていた。二人の下駄が廊下で軽快な音をさせていた。


 今日は授業に体育があった。種目はバスケットボール。ルールも方式も現世と変わらない。運動は苦手でも身体を動かして汗をかいたことでますます私の気分は軽やかになった。

 ここでも青春しているんだ。それも天使として。

 楽しいのは私が女の子でいられること。やっぱり自分が女の子ってことは何も間違っていない。もっともっと楽しみたい。

 でもさ、自分ばっかり楽しんでして美有にはちょっと申し訳なく思う気持ちもある。  

 私はこの姿だから自分のこと好きなんだ。

 

 シャワーで汗を流した後はお昼ご飯。学食に行くと私はチャレンジメニュー完食ということで賞賛とご褒美にプリンをもらった。

「いいんですか」

「景品だよ」

 昨日と同じ天使が変わらず『学食のおばちゃん』で渡してくれた。

「ありがとうございます。・・・・美味しそう」

 見ただけで表面の艶やかさと滑らかさが伝わってくる。これは期待できそう。

「いいなぁ・・・これってね、一日に10個しかないチョー限定なんだ。私もまだ食べたことない」

 ハニエルが横から覗き込んでから私のことを見て言う。

「そうなんだ。だったら半分食べる?」

「え?そんな。悪いよ」

「じゃあさ。スプーンを持っているのはなんでかな?昨日のお礼もあるの。ハニエルのおかげで今夜も頑張れそうだから」

「じゃあ一口だけちょうだい」

「素直なハニエルには二口目もあげるね」


 固めなのに口溶けなめらか。カラメルは少し苦くて香ばしい。こんなの初めての体験。


 もしかしてこのプリンもこの世界に留まっているレイスが作った品なのだろうか。

 だったらもったいないって思う。


 午後も何事もなく普通に過すことができた。今日一日でますますハニエルとの距離が近づいた感じもする。

 そして。学園での一日が終了した。


☆★☆☆★★


 いよいよ二日目の夜がやって来た。昨夜みたいなことにならないように気合いを入れなきゃ。


 私が最初にやったこと。それは服屋に入ってなるべく目立たない服を購入するところから始まった。

 上下黒でおまけに帽子も黒。下駄は音がうるさいので黒のスニーカーをチョイスした。


 鏡に映った自分の姿を見てみると

「・・・このカッコ・・かえって怪しい・・・かな」

 そんな感想を持ったが動きやすいことこの上なし。それに強引に店の中に引きずり込まれることも減りそうな気がする、とちょっと思った。

 夜の闇に紛れる黒い影。忍者ってこんな感じなのかな。

 経費も割と使った。それにランチから何も食べていないからお腹だって余裕がある。これなら最初の何軒かは大丈夫。というより腹ごしらえはむしろ必要。

 店を出る前に確認してみた。けどこのお店には来ていないとのことだった。

「私と同じ顔のリンシを見かけたら教えてください」

 一言添えて店を後にした。


 夜の街は変わらず賑わっている。

 ここで疑問。

 観光とかもあるって聞いたけどみんなどこに行っているのだろう。自分が持っている知識だけで言ったら確かに見応えのある場所だらけだろうけど、そんなの見て楽しいのかな?だってそこは罪を償う場所でしょ。

 私だったらあまり見たくないなぁ・・・

 ま、そのことはおいおい知ればいい。今の私の最優先事項は見つけることなのだから。


 最初に選んだのは飲み屋だ。昨日の店とは違いいかにも居酒屋って言葉が似合いそうな感じがする。

 入口を開けると煙と一緒にいい匂いがする。焼き鳥を連想するとお腹が反応した。

 ここも賑わっている。というかこういうお店は大体賑わっている。人数が多い分確率が上がる。そんな期待も込めてチョイスしていた。

「いらっしゃいませ」

 案内してくれたのはリンシではなく天使だった。

 簡単に見分けられるようになっていることに自分でも驚く。この順応性。天使になったことと関係してるのかな?私の中では天使という自覚さえ芽生えているように感じている。

「あの、ちょっと聞いてもいいですか?」

 先ずは直球勝負。私がお酒を飲める年齢じゃないのは分かるはず。

「どうしたの?誰か探してるの?」

 帽子を取って顔を見せる。

「私と同じ顔のリンシって見ていないですか?」

 私の顔をじっと見つめて

「う〜ん。見てないし、ここに来てもいない。ところであなたって天使でしょ。なんで同じ顔のリンシなの?」

「えっと・・・」

 そんな質問がくるなんて思ってもいなかった。それって変なことなのだろうか。天使と同じ顔をしたリンシなのか、リンシと同じ顔をした天使なのか。

「とてもよく似ているんです」

 咄嗟に出た言葉だった。とても似ている。けれど同一人物ではない。ますます自分という存在が複雑なのか面倒くさいのか分からなくなってくる。

「ふ〜ん・・・・・・」

「あ、あの・・・なにか?」

 顔を覗き込まれて思わず一歩引いてしまう。

「あなたは見たところまだ学園の生徒でしょ。でもリンシは違う」

「はあ・・・」

「あなたと同じ顔でリンシならウチでバイトしてもらえないかなって」

「バイト・・・ですか?」

「そうなの。最近忙しくてバイトが欲しいって思ってたのよ。あなたなら合格」

「え?」

「だからあなたと同じ顔なんでしょ。それだけ可愛かったら絶対客受けがいい」

 そんなこと言われると思わずニヤけてしまいそうになる。でも今は我慢だ。

 現世でもここでもこの顔は受けがいいらしい。ホント私になって良かった。っていうか美有ってモテモテじゃん。

「探しているリンシが来たらバイトで雇ってもいい?」

「えっと。バイトはちょっと。あの、ありがとうございます。じゃ私、次に行きますので」

 お礼を言って帽子を被ってお店を出ようとした時

「ちょっと、もう行くの?せっかく来たんだからご飯でも食べてけばいいのに」

 その提案はありがたい。さっきからお腹がうるさくて仕方なかった。

「なんか事情がありそうだね。時間あるならご飯でも食べてったら?」

「えっといいんですか」

「もちろんお金は払ってもらうけどサービスはするよ」

「実はさっきからいい匂いだなってずっと思ってて」

「なら決まり。おいで」

 

 連れられてきたのは客席の中でも一番奥で壁に仕切られている個室みたいなところ。それでも二人は入れば一杯になる。そんな席だった。

「ここならそんなにうるさくないよ。ちょっと待ってな」

 メニューを見ることなく行ってしまう。どんな料理が出てくるのだろう。

 ここからなら客席全体が見渡せる。もしかしてワザとこの場所に連れて来たのかな?確かに今はいなくても後からやってくる可能性もある。

 入ってすぐ出るなんてよくよく考えればすれ違う可能性だってある。ただ闇雲に通り過ぎるだけじゃ駄目なのかも。人探しって難しいってあらためて思う。せっかくだからご飯を食べている間ここで観察してみるのもいいのかも。

 私はじっと周りを見る。

 あの人は・・・リンシ。あそこにいるのは天使。そしてどちらとも分からないのはレイスと呼ばれている存在でいいのだろうか。

 それと天界から来ている天使って私達と同じでいいのかな?違いが分からない。

「はい。お待ちどう」

 私の目に一番最初に入ってきたもの。

「うわ・・・ナスがある」

 ナスとの出会いにテンションが上がる。

「美味しそう・・・いただきます」

 言うまでもなく真っ先にナスに手を付ける。素揚げしてあって出汁がかかっておまけに大根おろしで化粧までされている。家庭的な味にほっこりする私がいた。


★★★☆★★★


 眠っていたはずなのに・・・・・・

「・・・ここ・・・どこ?」

 見慣れない景色。

 自分が今いる場所のこともあるがそれよりも一番驚いたのは私が私自身として立っていること。それと見たところ着ている制服は今通っている高校のモノ。


 なにがどうなっている?これまでのことが走馬灯のように記憶の波を駆け巡っている。

 そしてある時点から記憶は回想するように流れがゆったりと変わる。


 あの時。

 もう一人の私は身体から離れていなくなった。

 自分と私のことで神様に文句を言うなんて・・・そんなこと出来るかも分からないのに勝手に・・・死んだんだ。私一人を残して。

 どのみち病気が進行して嫌でも死ぬ運命だって思っていたのに。

 でも。不思議なことが起こっている。

 病気で死んではいない。

 むしろ元気になって高校に通っている・・・のは私ではない。


 勝手に入ってきた誰かだ。生きることを楽しんでいる。この身体を使って。


「・・・知らない場所」

 

 しばらく歩いても何もない誰もいない暗い場所。

 なんとなくポケットの中を探ってみると


「・・・スマホ」


 試しに画面をタッチしてみると電源は生きている。でも完全な圏外が心に不安な影を落とす。


「お母さん、お父さん・・・・・・拓哉・・・みんなどこにいるの?」

 声で呼び掛けても誰も何も答えてはくれない。

 私は一人きり、ということが際立っただけ。


 記憶の再生は停まらない。

 少し前のことを思い出す。


 あの夜

 ・・・誰かが私のことを無理矢理連れて行こうとした。

 なんで拓哉がいたの?そのことが不思議だ。


 それから・・・・・・なにがあったんだっけ?

 確か・・・ふと頬に手を当てると

「・・・・・・泣いている拓哉の頬に触れた・・・私は拓哉に触れたんだ」

 あ・・・急に顔と胸を熱くなってくる。

「・・・・・・・」

 あの子のせいだ・・・思い出したら頭から湯気が、顔から火が噴きそう・・・

 もしかしてあの子も拓哉のこと好きなのかな・・・・・・

 今までのことがよく分からない。記憶が混同している。どの記憶が私なの?

 気持ちではっきりしているのは私が私に嫉妬している・・・変な気持ち。


 生まれた時から二人だった。一つの身体を共有している二つの魂。

 そのことが当たり前だった。でも本当は違う。魂は一つの身体に一つが正しいあり方みたい。


 ずっとこのまま・・・・・・そう思っていたのは私だけだった。


 どちらかというと私は引っ込み思案で恥ずかしがり屋で人と話すのが苦手だった。だからいつのもう一人の後ろに隠れて頼っていた。

 もう一人の人格の方がだんだん存在感が増してゆく。

 私は気持ちが押さえきれなくならないと出て来れない眠り姫になっていた。眠っていても感情の共有はある。


 この身体には問題があった。私じゃないもう一人の方だけど。


 私にとってこの身体はとても普通なのにもう一人は違和感でしかなかった。


 男と女って同じ人間なのに全く違う。もう一人はそのことに反発するように頑張っていた。

 けど病気になったことが後押ししたのだろう。自暴自棄になっていた。

 その気持ちが私にも伝わって・・・私自身も生きることに対し希望が持てなくなった。

 本当に人生が終わってしまう。私の本当の気持ちは消えてしまう。

 自分の言葉でどうしても伝えたい気持ちがあるのに・・・伝えたい相手がいるのに・・・

 だからパソコンに気持ちを残した。拓哉は聞くことがないのに・・・それでも形として残したかった。

 

 雪の天文台。眠っていた私を起こしたもう一人の私。

 自分の人生がこんな結末になるなんて・・・

 もう誰とも会うこともない。そんなことを思ったら変に勇気が出て告白したんだ。


 気持ちをちゃん自分の言葉で言えた。思い残すことはもうない。

 次に生まれてくる時、その時はもう拓哉のこと忘れているだろうし時代だって違うかもしれない。

 二度と会えないはずなのに再び目を覚まして生きていたことに驚いたけどもっと驚いたのは

 ・・・・・・・あの子がいたこと。もう一人の私と入れ替わるみたいに。

 怖くてまた眠りに就くしかなかった。

 眠っていても気持ちのモヤモヤは増してゆく。一体いつになったら私は私に戻れるのだろう。


 そして。

 あの夜。自分の姿を映したあの夜。私は目が覚めた。

 気を抜くとすぐに眠ってしまいそうだった。

 でも。ガラスに映った私に私の存在を知らせたかった。出て行ってもらいたかった。

 ・・・・・・伝わったか分からない。

 けど。私の存在は分からせたつもり。

 ちょうど目に入った月。半月。その時なら・・・知らない私と話せるような気がした。

 そして

 再び・・・忠告と期待を胸に眠りに就いた。


 拓哉が泣いていた夜・・・そして今・・・まさか・・・死んだ・・・のかな?


「何もないし誰もいない・・・・お腹空いたな・・・」

 道はある。舗装されていない道。歩くことに問題はない。

 けど・・・どっちに行ったらいいの?

 見上げて空を見ると星と薄らと顔を覗かせている月。


 しばらくは歩くしかない。

 ・・・・・・疲れた

 もう一度スマホを見てみる。けれど圏外は変わっていない。

 

 これってあの子が使っていたスマホ・・・だよね。

 指紋認証はパスできた。

「あんまり使ってないのかな・・・写真ほとんどない」

 出てきたのは入学式の時くらいだった。着信履歴も見る。ほとんどが拓哉と親だった。

「他にいないの?結構なボッチなの?」

 あとラインのやり取り。

「これも拓哉がほとんどだ・・・・・・やけに月が出てくる・・・」

 ホント、誰なんだろ。

「あ・・・うそ・・・」

 電源が落ちた・・・・・・せっかくの明りだったのに・・・不安が濃くなる。

 絶望でその場に座り込んだ。

「・・・やっぱり変だよ・・・こんなの」

 独り言でやっと自分を保っている。

「死んだとしたらここはどこ?天国?地獄?」

 お腹空いた・・・もう歩けない


「こんなところで何をしている」


 突然、後ろから声が聞こえる。顔を上げて見る。

「リンシ・・・か」

 暗くて顔がよく見えない。男の人ってことは声で分かる。

「リンシよ。ここで何をしている?」

「り・・・りんし?」

「自分のこと分かっていないのか?なら名を言え」

 いろいろ聞いてくる声は穏やか。だからつい答えてしまう。

「・・・さがら・・みう」

「ミウだな。もう一度聞く。ここで何をしている」

「・・・わかりません。気がついたらいたんです」

 正直に答えた。というかこれしか答えようがない。

「ただのリンシではないな」

 リンシってなんだろう・・・やっぱり私のこと?

「面白い」

 見つめる瞳は微かに翠色に光っているように見える。怖いはずなのに優しさを感じている。

「迷っているならついてくるか?」

「え?」

 ありがたい・・・けど大丈夫なのかな?

「心配でもしているのか?ミウよ、むしろ運がいいと思った方がいい」

「運が?いい?」

「そうだ。ワタシに会ったのだからな。それにワタシの気を引いた」


 どこからか急に薄らと光が差し込む。というよりこの人自身から光が出ているみたい。


 見ただけで癒される優しくて温かみのある顔が浮かぶ。今はそれだけ。

 なのに安心感が心を満たしてゆく。

「顔を見たら信じられるか」

「は、はい・・・落ち着きました。あの、あなたは・・・」

「自己紹介は後にしよう。ワタシは家に帰るところだ。夕食でも一緒にどうだ?見たところとても腹を空かしている」

 ずばり指摘され顔が赤くなる。

「あ、ありがとうございます。いいんですか?」

「言っただろ。ミウは運がいい。それに気を引いたと。癒しの天使。それ以上は帰ってからだ」

「癒しの?・・・・てん・・し?」

 冗談でも言っているのかな?でも不思議と信じられる。

「では行こう」

「あ、はい」


 運がいい。

 それってどういうこと?それに気を引いたって・・・癒しの天使・・・

 今は信じて癒しの天使の後ろを黙って歩くしかなかった。

天気が良い毎日が続いています。

読んでいただきありがとうございます。

立夏も過ぎたので暦の上では夏です。

五月と言えば五月病なんて聞きますが縁のない私です。

だって物語を書かないと・・・でも癒されたい。

それが今モロに出てる・・・

登場人物?天使?が増えて頭の中は混乱気味です。

この前は早速間違ってアップしてたし←修正済み

こんな感じですが次回も読んでもらえたら励みになります。

また来週?お会いしましょう。

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