表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
主人公に断罪される悪役に転生したけど、関わらずにのんびり過ごしたい  作者: おとら@9シリーズ商業化


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
19/19

嵐の前触れ

……ふむ、そういえば静かだな。


ふと気がつくと、平穏な生活が続いていた。


アークは絡んでこないし、父上や兄上も関わってこない。


俺の態度を訝しんでいたし、何やらかの行動に移すかと思ったが。


「アークに関しては、午後になったら帰っているし避けているからわかる。だが、父上達が静かなのは不気味だ」


「何をぶつぶつ言っているのよ?」


ふと振り向くと、いつの間にか隣にはセシリアが座っていた。

どうやら、気づかないうちに教室に来ていたらしい。


「いや、父上達が何も言ってこないのでな。てっきり、口を出してくるものかと」


「それは王太子が決まったからとか? そしたら、リオンは自由なわけだし」


「そういうことか……ふむ、それならば良い」


そちらの方面から来る破滅フラグは回避したと思っていいか。

そうなると、後はアークの問題か。

といっても原作の記憶が曖昧なため、引き続き避けていくしかあるまい。


「ところで、今日は部活あるのかしら?」


「ん? ああ、今日はあるぞ」


「ふーん、そうなのね」


そしてセリーヌ先生が来てホームルームが始まる。

その後は魔物や魔獣についての授業があった。


「魔獣は元からいる生物で、魔物とは空気中に漂う魔素から生まれます。魔物は倒すと魔石になり、魔法を込めることができます。それらは生活に役立っていますね」


「ふむ、魔素か……」


魔素は魔物を生み、魔素は不浄から生まれるとか。

負の感情だったり、死体などを放置すると発生するだったか。

そして魔素が溜まった時、そこにはダンジョンが発生しやすい。


「魔物ね……倒せるかしら」


「その辺の魔物なら、セシリアなら問題あるまい」


「だけど、実戦と訓練は違うわ」


「それはそうだな」


「そういえば、週末最期の授業は模擬戦らしいわ」


「ほう、模擬戦か……」


今週は部活見学も込みで、お試し習慣と生活に慣れるための期間。

そして、その模擬戦とやら……俺でも知ってるイベントがある。

これは、気を引き締めていかねばな。





そして昼休みが終わり、放課後となる。

なので、俺とカレンは職員室から鍵を受け取り部室に向かう。


「セシリアさん、大丈夫でしょうか?」


「うん? ……あぁ、アークに絡まれていたか」


お昼休みになると、アークがセシリアに突撃していた。

その度にセシリアは困った様だったな。

公爵令嬢であるセシリアに、あのように迫る男はいないだろうし。


「あの方、授業中もわたしに話しかけてくるんです。わたしも友達は嬉しいので、休み時間とかだったら良いのに……」


「なるほど、そうなのか」


「あっ、全然嫌とかではないんです! 同じ平民の方ですし、仲良くしたいなって。ただ、なんというか……わたしと仲良くなりたいって思ってるのかなって」


「どういう意味だ?」


「わたし自身を見ていないというか、なんかあんまり話してる感じがしないんです。基本的に、自分のことしか話しませんし……ごめんなさい、わかんないですよね」


「ふむ……もしかしたら、人と会話するのが苦手なのかもしれんな」


なるほど、それは知らなかったな。

授業中はたまに聞くか寝てるか、スイーツのことを考えているし。

……まあ、俺が気にすることではないか。

部室に着いたら用意していたボックスから卵を取り出す。


「これが今日の素材のココンドラの卵だ」


「わぁ、大きい卵ですね。卵って贅沢品だから、滅多に食べれません……わたしも頂いていいんですか?」


「ああ、無論だ。さて、始めるとしよう。今日は大した工程もないので、作り方を覚えると良い」


「はい! 頑張ります!」


その目は期待に満ちていた。

よしよし、辞めさせないためにもスイーツの道に誘うとしよう。

フライパンを用意して、そこに砂糖と水を入れる。


「焦げないように、それでいてギリギリを……よし」


「焦げてはないですけど……これで良いんですか?」


「ああ、この苦味が大事だからな」


 キャラメル状になったものを平たい容器に入れる。

 これを数回繰り返し、次に砂糖とレモンを鍋に入れてから多めの水を入れる。

 これを中火にかけて、とろみが出るまで行う。


「これを煮詰めて行くぞ」


「わぁ……良い香りです」


 だいぶ煮詰まったので、用意していた容器に移し替える。

 そして一回り大きな容器に氷水を用意しておく。

 そこに煮詰まった液体を入れた容器を、大きな容器に浸ければ準備完了だ。


「これは何をしているのですか?」


「一度冷やして粗熱を取っている。そうしないと、次に用意する物に熱が入ってしまうのでな」


 冷やしている間に、卵をボウルの中に割る。

 すると、中から黄金に輝く卵様が出てきた。


「おおっ……黄身が多めで綺麗だな!」


「こんな大きな黄身始めて見ました!」


「やはりそうか。ところで、平民に卵は出回ったりするのか?」


「えっと、こんなちゃんとした卵はないです。たまに、エスケープチキンの卵が出回るくらいですよ」


エスケープチキン、それは大きさや形は鶏に似た魔獣だ。

ただ逃げ足の速さは半端なく、捕まえるのは困難だとか。

それでも追い込まれると卵を産み、それを囮にして逃げるとか。


「なるほど、あれはあれで入手難易度が高いか」


「はい、そうなんです」


「ふむ、卵についても考えなくてはいけないか……ん?」


すると、扉の前に気配を感じる。

何者かと思い、ゆっくり扉を開けてみると……そこには腕を組んでウロウロしているセシリアの姿があった。


「うぅー……どうしようかしら? 勢いで来たけど、なんて言って入れば良いの? 私も仲間に入れて欲しいなんて言えないし……」


「……おい、何をしている?」


「へぁ? ……リオン!? いつからそこに!?」


「たった今だ。それより、何をぶつぶつ言いながら彷徨ってる?」


「な、なんでもないわよ! それより、怪しいことしてるみたいだから見張りに来たわ!」


さて、どうする?

アークのこともあるから、ここで突っぱねても良いが……宰相の親父さんがなぁ。

ここはセシリアの信用を得ておいたほうがいいか。

何より、あまり仲間はずれにしても可哀想だろう。


「ふむ……見学するか?」


「えっ? 良いの? わ、私は別に……」


「するかしないのかどっちだ?」


「もちろんするわ!」


急に元気になったセシリアを連れて部屋の中に戻る。

カレンとセシリアが挨拶をしてる間に、俺は準備を進めていく。

次に全卵を混ぜ合わせ、まったりさせないといけないのだが。


「むっ……相変わらず力仕事だな」


「何を情けないこと言ってるのよ? ほら、私に貸してみなさい」


「ん? まあ、良いが……おおっ、やるな」


「セシリアさんすごいです!」


物凄い勢いでシャカシャカと音がし、全卵の色が白くなっていく。

この世界には電動ミキサーなどはないし、セシリアは使えるかもしれん。


「こ、これくらい普通よ。それで、次はどうするの?」


「そしたら、俺が粗熱をとった材料を入れていく」


「このまま混ぜても平気?」


「ああ、頼む」


 セシリアが混ぜる中、少しずつ入れていく。

 混ざったものを、最初に作ったカラメルソース入りの容器に入れる。

 それを大きな鍋に容器ごと入れ、湯煎にかければ準備完了だ。


「これで後は固まるのを待って冷やすだけだ」


「こんな料理知らないわ」


「えっ? 貴族の方の料理かと思ってました」


「ううん、聞いたことも見たこともないわ」


すると、二人から視線を向けられる。

しまった……この世界にはスイーツの概念がない。

これは、何か言い訳を考えねば。


「ふんっ、大したことではない。古の文献に興味があってな、それをよく見ていたのだ」


「ふーん、確かにダラダラとなんかよくわからない本は読んでいたわね」


「それより、どうしたのだ? まさか、俺を監視するために来たわけではあるまい?」


あまり突っ込まれると困るので話題を変える。

それに、気になっていたのは事実だ。


「うーん……ちょっとアークって男の子がね。何というか、変なのよ」


「まあ、あまり見ないタイプではある。言い方はアレだが、平民らしくない」


「そうなのよ。私にも物怖じしないし、それ自体は良いんだけど。全然、話が噛み合わなくて」


「わ、わかります! 悪い人ではないんですけど……なんか変というか」


「うんうん、わかるわ。私達に話しかけてるようで、他の誰かに話しかけてるみたいな。途中で、どっかに消えたりするし」


「あっ……確かに、それかもしれないです。話の途中なのに、何か思い出したような顔しますよね」


そこから二人で盛り上がってくので、俺は湯せんにかけた器を取り出す。


それを自家製の氷棺に入れれば、後は冷えるのを待つだけだ。


……それにしてもアークか。


あいつは、一体何をやっているのだろうか?


ちゃんと攻略をすれば良いものを。








評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ