第2話 追放された“ゴミスキル”の俺、死霧の森へ
「では、召喚先のアルヴァリア王国に送りますね」
女神トリニティが静かに告げた。
優太が苦笑しながら言う。
「正直ちょっと楽しいけどさ……元の世界には帰れるのか?」
美咲も現実に引き戻されたように頷く。
「そ、そうね……。私たち、本当に戻れるの?」
トリニティは一瞬だけ目を伏せ、そして淡々と答えた。
「……はい。アルヴァリア王国の問題が解決した時、あの場所の、あの時間に帰ることができます。ただし――死んだら帰れません。では、時間がないので送りますね」
「ちょっ――」
言い終わる前に、視界が白く弾けた。
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光が消えた時、俺たちは中世ヨーロッパ風の巨大な広間に立っていた。
赤い絨毯、巨大なシャンデリア、鎧の騎士たち。
まさに“異世界”そのものだ。
杖を掲げた老人が歓声を上げる。
「成功だ! 勇者召喚は成功したぞ!」
大魔導士ガルド・エルメス――そう名乗った。
玉座に座る王、レニオス・アルヴァリアが立ち上がり、威厳ある声で言う。
「よくぞ参った。名を名乗れ。そしてスキルも告げよ」
俺たちはブレスレットに触れ、表示されたスキルを読み上げていく。
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■神崎優太
「神崎優太。スキル《聖剣適性》」
ガルドの目が見開かれた。
「SSです! 伝説級です。素晴らしい!」
広間がどよめく。
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■中山美咲
「中山美咲。スキル《聖域魔法》」
「またもSS! 希少で強力な魔法です!」
王妃セレナが拍手し、王女リリアが目を輝かせる。
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■そして俺――五味誠
「五味誠。スキルは……《残滓》」
ガルドが眉をひそめる。
「さんし……? 聞いたことがないな。なんだそれは」
(ですよね……はいはい……)
俺は表示された説明を読み上げた。
「えっと……レジデューリンク1……効果は……残滓情動波読取…“ゴミの気持ちがわかる”だそうです……」
広間が静まり返る。
そして――爆発したように笑いが広がった。
王妃セレナは腹を抱えて笑い、王女リリアは口元を押さえて震えている。
王レニオスでさえ肩を揺らしながら言った。
「ゴミの気持ち……? ガルド、どうなっているのだ。笑わせるな」
「わ、私も初めて見るスキルでして……ぷっ……」
優太が怒鳴る。
「……おい、笑いすぎだろ!」
美咲も顔を赤くして言った。
「うちの後輩くんをバカにしないで!」
(……お。さっきから思ってたけど、この二人……いいやつだな。容姿端麗、成績優秀、性格まで良いのかよ)
ガルドは笑いをこらえながら言う。
「すまん、すまん。えー……マコト、君には別のミッションをやってもらうことになる」
その言い方で悟った。
(……追放ってやつか)
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そして今、俺は“死霧の森”の前に立っている。
ガルドは転移魔法で俺をここへ送りつけると、あっさり言い放った。
「ここは魔物の巣窟だが……まあ、ゴミの気持ちが分かるなら何とかなるだろう。では健闘を祈る」
「なぁ、アルヴァリア王国の問題ってなんだよ。何で俺たちを召喚したんだ」
ガルドは振り返らずに答えた。
「……お前に言ってもしょうがない。生きて会えたら教えてやる」
そう言い残し、転移魔法で消えた。
「……いやいやいや、絶対死ぬだろこれ」
森の奥からは低い唸り声が響き、霧の中で赤い光が揺れている。
完全に“死ぬ前提”の追放だ。
「……はぁ。ゴミスキルの俺が、ここからどうしろってんだよ」
その時だった。
森の奥から、かすかな声が聞こえた気がした。
『……ここだ……』
「……え?」
俺の“ガチゴミスキル”が、初めて動いた瞬間だった。
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