第100話《最強傭兵集団“黒炎牙”》
ボルケーノアイランド洋上。
豪華客船 クリムゾン・マジェスティ号 が夕陽を受けて赤く輝いていた。
船内は王族専用のスイートばかりで、
大理石の床、金装飾の柱、海を見渡せる巨大プールが並ぶ。
そのプールサイドで、
第二王女 リリアーナ が優雅にカクテルを飲んでいた。
「失敗した、ですって?」
ジャンコは膝をつき、頭を垂れる。
「申し訳ございません……」
「どういう事よ。天下の 黒炎牙 でしょう?」
ジャンコは悔しそうに唇を噛む。
「なぜか……術が効かない奴が現れまして」
「わざわざ私まで出張ってきてるのよ?」
「誘拐に見せかけるために少数精鋭にしたのが仇になりました」
リリアーナは苛立ち、カクテルをテーブルに叩きつけた。
「もう生け取らなくていいから、確実に殺してちょうだい!
もう総動員でやっちゃいなさい!」
「わかりました。次は全団員で急襲いたします」
「頼んだわよ……あー眠たい!」
リリアーナはビーチベッドに寝転がり、
召使いに日傘を差させながら目を閉じた。
ジャンコは豪華船から小舟へ乗り換える。
部下が駆け寄る。
「ジャンコ様!」
「聞いていたか?」
「はい。これで兵を呼んでも怪しまれませんね」
ジャンコは口元を歪めた。
「……くくく……返って都合が良くなった。
作戦を二段階前倒しにするぞ。
セレスティアの次は――リリアーナだ」
小舟は闇の海へ消えていった。
――夜のビーチ。
波の音だけが響く静かな砂浜で、
ブラッドが剣の素振りをしていた。
上半身裸、筋骨隆々。
無数の刃傷が走る身体。
一振り一振りに鬼気迫るものがある。
パチ、パチ、パチ。
どこからか拍手が聞こえた。
流木の上に座っていたのはカリナだった。
「凄まじい剣筋、体躯……ただものじゃないと思ったよ」
ブラッドは驚き、剣を下ろす。
「……ああ、これはカリナ殿!
全く気づきませんでした……夜の散歩ですかな?」
「いや……ブラッドさんだっけ。
あんたに話があってな……」
「話……?」
カリナはブラッドを見つめ、ゆっくり立ち上がる。
「一目見て分かったよ。
佇まい、所作、剣タコ……そして今の素振りで確定だ。
なかなかの手だれと見た、ブラッドさん……」
カリナは背中の大剣を抜き、両手で構えた。
ブラッドは狼狽する。
「……な、何を……」
「私は最強を目指している。
いざ!尋常に勝負!」
砂浜に緊張が走った。
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