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地位を奪われた元ダンジョンマスター、7歳のギルド受付嬢に転生して冒険者を作成し、自分の作ったダンジョンを攻略します  作者: 夕綺柳
第三章

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第七十五話 取り締まりと中和


「おい、ニューエールやばかったんだってよ」


「麻薬だったらしいじゃねえか」


「いや、ハチメイだろ? 麻薬って言っても弱いやつだよ」


 冒険者たちが噂話をしている。


 ニューエールが禁止になった。


 ちちゃぐるみも、プリンも、ハチメイの絡むものは全部だ。


 公式に麻薬が混入しているとは発表されなかったが、余計な混乱を避けるためだろう。


「なんか調子悪いぜ……ニューエールが飲みてぇ」


「おいおい、マジで麻薬だったのか?」


「神殿で治療して来いよ」


 神殿で、麻薬の中毒は緩和できるが、治せない。


 長期の治療を受ける意味では有効だけど、即効性はなかった。


「なんだか、街のあちこちで調子わりいのが増えてるな」


「ニューエール旨かったもんな、ありゃ麻薬だわ」


「やばいな、マジでニューエールが飲みたくて仕方ないぞ」


 そこに、ルルーナがやってきた。


 受付の椅子に座ると、にんまりと笑う。


「コットン」


 なんか、ルルーナがヒソヒソと話し掛けてきた。


 顔は明るい。


「ハチメイ、なんとかしてくれたんだね」


「わたしじゃないよ、おばあちゃんがね」


「一緒だよ、コットンは頼りになるなぁ、僕も頑張らないと」


 ハチメイに冒されていないルルーナは元気だからそう言える。


 でも、街の人はかなりの数がハチメイ中毒になっているはずだった。


 ミクロリニアが攻めてくるリスクを冒してでも、邪教徒が増える状況を嫌った結果だろう。


 邪教徒が増えれば、いずれ兵士は機能不全に陥る。


 それならば、早いうちに手を打った方がいいという判断だろう。


「コットンちゃん、こんな物を作ってみたんだけど……」


 エリシャが部屋から出てきた。


 ずっと何かを作っていたみたいだったけど。


「これ、薬かな?」


 ポーションの瓶に入っている。


「新種のハチメイ中毒を少しだけ緩和する薬、治すのはまだ無理だよ」


「おお、すごい、ありがとう!」


「ふふふ、喜んでくれて嬉しいな」


「時間をかければ、完治薬もできそう?」


「うん、ちょっと特殊だけど、魔法じゃない中毒だから、自然の素材で薬は作れると思うよ」


 よし、光明が見えてきた。


 エリシャだよりだけど、何とかなりそうだ。


「大変だと思うけど、引き続きその方向でお願い」


「うん、一番のトモダチのためだもん、頑張るよ」


 目の下にくまを作って、一番とトモダチを強調するように語られると怖い。


 別にエリシャがトモダチでいいんだけど、一番じゃないって言ったらどうなるんだろう。


 眠らなくなると、エリシャは精神的に不安定になる気がする。


「す、少し寝てね?」


「大丈夫だよぉ、一週間くらい寝なくても大丈夫な薬があるから」


「…………」


 エリシャから、暫定版の中和ポーションのレシピを教えてもらう。


 すると、そのままふらふらと部屋に戻っていった。


 錬金術士って、ジャンキーなのかな……。


 とりあえず、それはそれで、パーシアさんのところに行く。


「すみません、パーシアさん、お願いがあるんですけど」


「どうしたの?」


「これから、みんなニューエールの禁断症状が出るんですけど、その中和剤の暫定版をたくさん作って欲しいんです」


 わたしは、エリシャから錬金術を習っているパーシアさんに薬の量産を依頼した。


「禁断症状ね……私はワインしか飲まないから良かったけど、大変なことになってるわね」


「はい、領主様に買い取ってもらいますので、この薬をたくさん作ってもらえますか?」


 メモしたレシピをパーシアさんに渡す。


 すると、それを、ふむふむと読んでいった。


「このレシピならわたしでもいけるわ、任せて」


「良かった、材料もありますか?」


「このギルドで買える材料でいけるわよ」


 よしよし、量産も問題無さそうだ。


「薬は、もっと効果の高い物が出来るかも知れないので、そうしたら、今度はそっちを作ってもらいたいんです」


「じゃあ、エリシャに錬金術を習っていた他の子にも依頼してみるわ」


「お願いします、お金は払いますので」


「困ったときはお互い様よ、フラニールは元気ないし」


 オニールさんとパーティーになって、フラニールさんはやる気がガタ落ちらしい。


 オニールさんはバルリオンの信徒なんだから、公明正大なはずなんだけどなぁ。


 そういう問題ではないのか。


 それから数日が経った。


「グランドマスター?」


「何?」


 アイヴォリーは、わたしのことをグランドマスターと呼ぶ。


 賢者の卵のフランセスのことは、マスターと呼ぶから、なんか違いがあるんだろう。


「シーフギルドが騒がしいッスね、とても近づけないッス」


「そうなんだ、何が起こっているのかはわからないよね?」


「情報は無理ッスね、今は近づかないのが吉ッス」


 領主様は情報を掴んでいるだろうか?


 お城にもシーフギルドの手の者がいるので、あまり連絡は取りにくい。


 そして、ハチメイを取り締まってから十日後……ミクロリニアが攻めてきた。


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