49話 コウチサリナとヤギどらごん
よろしくお願いいたします。
ヤギどらごんは妖精。
ヤギどらごんは妖精。
ヤギどらごんは妖精。
ヤギどらごんはアイスが好き。
ヤギどらごんはアイスが好き。
ヤギどらごんはアイスが好き。
私は自分に言い聞かせる。
深呼吸して落ち着くよう心掛ける。
焦って好転する事など何一つ無いのだから。
ヤギでもドラゴンでもない。
ヤギでもドラゴンでもない。
ヤギでもドラゴンでもない。
気ままに現れ、気ままに消える。
気ままに現れ、気ままに消える。
気ままに現れ、気ままに消える。
願ってもいなくならない。
目の前にいるコレはなんだろう。
私の部屋には、私の知るヤギどらごんとは異なるヤギどらごんがいる。背の羽は黒色で、まるで蝶の羽根のよう。脚部も黒い。体長1メートルほどの物体は私の部屋の真ん中を陣取り、私の目を真っ直ぐに見ている。
スマホのカメラ撮影には映らない。
静かな部屋の中、背中を嫌な汗が伝うのがわかる。
私はおやつのアイスをあげてみることにした。近づくのは怖かったが、無事手にアイスを受け取ってくれた。
その物体はアイスを黙々と食べたあとに、私の手に何かを握り込んでくれた。そしてそのヤギどらごんかわからないものはすぐその場から消えてしまった。
緊張が溶けた私はそのままベッドに倒れ込む。
私の手には使いかけで少し短めの真っ黒な柄の鉛筆がある。ネットで調べたが、そのヤギどらごんのようなものから貰ったものはどんなものでも5,000万円以上で買い取りしてくれるらしかった。
本当かわからないがこれは私の胸だけにしまうことにして、眠ることにした。
起きたときに記憶ごと無くなっていれば良いなと思い、私はこの鉛筆を学習机の引出しにしまった。
ありがとうございました。