48話 カラサカナツキとヤギどらごん
前話、47話の別の話です。
よろしくお願いいたします。
会社退勤後にコンビニへ寄った。
「ストレングス」と銘打つ缶チューハイを3本購入する。
自宅アパートではボクサーパンツ1枚の姿になる。これは一年中変わることのなかった姿。その姿で過ごすことがカラサカナツキの普通だった。
壁掛け時計は夜の9時を示す。
約30分をかけ冷蔵庫で冷やしていた黒い麦茶をラッパ飲みする。容量は2リットル。左手のスマートフォンがご飯代わりだ。
夜9時40分
冷蔵庫で冷やしておいたコンビニの缶チューハイを取り出す。
アルコール度数は11%、容量は500ml。味はミックスベリー、クールドライ、トロピカルフルーツの3種。
税込7,000円で購入したソファはすっかり廃って自分一人の体重になんとか耐えているようだ。軋む音も今や心地良く聞こえる。
カラサカナツキは缶を開け「乾杯」と1人呟き飲み始める。500ml 3本を彼は5分で飲み切った。ほとんど一気飲みだった。酩酊状態になるまで酒を吐かないことだけを彼は意識した。吐き気に勝るような脳が揺さぶられる感覚になったところで残る意識で部屋を消灯する。横になり目を瞑っていても眼球がぐるぐる回っている。いずれ眠りにつくだろう。
☆☆☆
朝起きると、体調がいいことに気づく。アルコールが体に全く残っていないようだ。壁掛け時計は3時55分を指している。腹上には記憶にないぬいぐるみ。さらに覚えのない紙切れが近くに落ちている。その紙には「どれか1つだけを持ち出してください おめでとうございます 当たりです」と書いてある。記憶は戻りそうにない。
体は相変わらず不気味なくらいに軽い。爽快な気分は体を外へと運んだ。ドアポストには紙が入っている。伸ばす腕、指に触れる直前に思い出す。これは両親へ宛てた手紙。
カラサカナツキは部屋に戻り鍵を締め、身に覚えのないぬいぐるみを抱く。ソファはやっぱり音を奏でなかった。
ありがとうございました。




