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27話 ナシマキリヒコとヤギどらごん

よろしくお願いします。

 昼休みの教室に、

けたたましい音が響いた。

センスの欠片もないフニャフニャした音には、どこからともなく失笑の声が漏れている。

失笑の中、1人の男子生徒がスラックスのポッケからスマホを取り出し画面を確認した。


「あ、非通知の電話じゃん、こえー」

「出ろよ」

「絶対出ろ」

「着信音ダサっ」


「でねーよ、こんなんこえーじゃん」

「これって例のやつじゃね」

「ありえる」

「出ろ」

「死んでも出ろ」

「それより着信音変えろ」


「あぁわかったよ。もしもしー」

着信音の件は鉄の意志で無視した。

スマホを耳に当てた男子生徒は教室中の注目を受け、わずかな時間だが教室は静寂に包まれる。

「……大本命きた」

男子生徒はその一言のあと、スマホをスピーカーモードにして、近くの机の上に置く。通話音量は勿論最大まで上げる。


「問1 千葉県で一番標高が高い山はどっち A愛宕山 B鋸山」


噂通り、電子音声によるクイズが始まった。

「よしっ、皆で答えようぜ。わからないけど、結構有名なやつだよな」

「「BBBBB」」

周りにいた男子生徒が口を揃えて「B」と回答する。

「へぇ、知らなかった。皆よく知ってるなぁ」

素直に感心した。



「問2 千葉県の自動販売機にある御当地コーヒー飲料はどっち Aマックスコーヒー Bマキシコーヒー」


「「BBBBB」」

「おい、これはAだろーが」

「「BBBBB」」

教室にいる半分が馬鹿。野郎は馬鹿しかいねぇのか。女子生徒はくすくす笑いながら見ている。僕はこいつらと同じ馬鹿でないと釈明したい。



「問3 明日は何曜日 A水曜日 B木曜日」


「「BBBBB」」

「AAAAA」

「「BBBBB」」

「AAAAA」

「「BBBBBBBBBBBBBBBBBBBB」」

負けた。お前らが生きてる火曜日は水曜日なのか?



「問4 ヤギどらごんはどっち A天使 B悪魔」


「「BBBBB」」

知らないよ。もうどっちでもいい。



「問5 ヤギどらごんが好きなのはどっち Aアイス Bマカロニサラダのポテサラハンバーグ」


「「BBBBB」」

「「AAAAA」」

「「BBBBB」」

「「AAAAA」」

「……えぇ~」

男子が「B」、女子が「A」で張り合いだした。

「「BBBBB」」

「「AAAAA」」

「「BBBBB」」

「「……………」」

結局どっちが回答として認識されたかわからなかった。なんだこれ。




「全問正解で願いが叶います。あなたの願いは何ですか」


「「BBBBBBBBBBBBBBBBBBBB」」

教室にいる全員が「B」の大コール。全員の視線がスマホの持ち主である男子生徒へと刺さる。




「えっと、じゃあ、Bで」





数秒の沈黙の後、机の上のスマホから声がした。



「バーーーカ」



電子音ではなく、確かに人の、中年男性が想起されるような野太い声だった。



プツンとスマホの音が鳴り、通話が終了した。



その3秒後、教室にいた全員が爆笑した。

ありがとうございました。

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