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26話 サトウキリエとヤギどらごん

よろしくお願いします。

 家に帰りたくなかった。

下校途中で友達と別れたあと、家へは行かずに1人公園へ向かった。友達の姿が見えなくなるのを確認してから移動する。良くないことをしている自覚はあった。私は辿り着いた公園で、ランドセルを背負ったままベンチに腰を掛ける。


こうしていても何も解決しないことも、いつかは家に帰らなければいけないこともわかっていた。


ただ何かが解決する気がして、しばらく何も考えずに座っていた。


ふと、右腕に何か触れる感触がしたので見てみると、ヤギどらごんが私のすぐ横に座っていた。私の右腕とヤギどらごんの左腕が密着している。

隣に座るヤギどらごんを思いつきで抱きかかえてみる。ちゃんと触れることができ、持ち上げることもできたので、そのまま私が抱きかかえる形で膝の上に座ってもらった。重さも感触もほとんどぬいぐるみのよう。


そうして、どれくらい時間がたっただろう。

私の名前を呼ぶ声がして、その声が近くなり、急に視界が暗くなる。

母が私を抱きかかえていた。母の息は荒く、母の心臓の音がはっきり聞こえる。私よりもずっと熱い体温を感じる。どれもヤギどらごんにはなかったものだ。


それから私は手を繋いで母と家へ帰った。不思議なことにその日のことは母に怒られなかった。


私がヤギどらごんに会ったのは、後にも先にもその日だけだった。




ありがとうございました。

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