25話 クルマケイスケとヤギどらごん
よろしくお願いいたします。
日本時間の3月13日、土曜日0時0分、
世界中が待望したスマホゲームアプリ【およげ!!ヤギどらごん Let's Swim Yagi-Dra】がサービスを開始した。
老若男女がそのサービス開始をもって遊びだす。世界中の人間が怠惰になる時間。仕事などのやることを放棄して皆が遊ぶ。クルマケイスケは現在5時間続けてゲームをしており、1度休憩を兼ねて友達へ通話する。
「よっ、どこまで進んだ?」
「あーーねみーー。うーん、すけるとんヤギどらまで行けたわ」
「は?」
「は?ってなんなん?」
「お前、ちゃんと【およげ!!ヤギどらごん】やってる?」
「あ……【おばけ!!ヤギどらごん】やってたわ」
スマホ越しの友の声は本当に落ち込んでいた。偽ゲームを5時間やっていた友達を笑い飛ばしたあと、クルマケイスケは世界ランキングを目指して1人ゲームに集中した。
☆☆☆
それはヤギどらごんの名前を借りた非公式スマホゲーム。作者は謎多き日本人プログラマーYakaoということは皆知っている。彼はヤギどらごんに取り憑かれた天才であり、2ヶ月に1つ、ヤギどらごんに纏わるスマホアプリをリリースする。彼が事前に発信する情報はアプリの公開日のみ。彼がカルト的人気になったのは、スマホアプリのリリース27時間経過後に必ずサービス終了するところにあった。
彼はこの行動について初期の頃の作品に1言残している。
「厄介ファンにはなりたくないんだよ」
ありがとうございました。