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ドリームブレーカーとヤギどらごん  作者: ヤギどらごん応援隊員
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19話 カワキタロウとヤギどらごん

よろしくお願いいたします。

「ヤギどらごんは好きかい?」

放課後の公園。スーツ姿のおじさんに突然話しかけられた。公園に立つ時計台は3時15分を指している。


ミイ君とケン君と僕は公園でブランコを漕ぎながら、最新ゲームの話に夢中になっていた。


だからブランコの柵の中におじさんが立っていることなんてまるで気がつかなかった。おじさんの年齢は30代前半ほど。髪型はワックスなのか光沢があり硬そうな七三をしている。ブランコは急には止まれない。おじさんは動くブランコのさらに近くに立ってもう一度聞いてきた。


「ヤギどらごんは好きかい?」


「好き」

「僕も好き」


今度はミイ君とケン君が答えた。

おじさんは笑顔。前に僕の家に来たエイギョウマンという人と同じ表情。なんだか少し怖い。


「君もヤギどらごんは好きかい?」

答えなかった僕にも質問される。

「はい。好きです」

僕は咄嗟に答えた。


僕らはブランコを漕ぐのをやめて足が地面につくのを待った。

おじさんも僕らのブランコが止まるのを待っている。走って逃げようなんて気は起きなかった。停めた自転車の方へ目をやると、3台の自転車は複雑に重なって倒れていた。あれは風で倒れたのではないと感覚で理解できる。


「ヤギどらごんは見たことあるかい?」

おじさんはそう聞いた後、

「じゃあ、今から会いに行こうか」

僕らの回答を待たずおじさんの話は進んでいく。


「車で行く? 歩いていく?」

話がどんどん進む。やばい。拐われる。それは共通認識していたと思う。


公園にいるのは僕ら3人とおじさんだけ。

僕らは目を合わせてこの場をうまく過ごす方法がないか考えていた。


「じゃあ歩いていこうか」

ミイ君の手がおじさんに掴まれた。ミイ君は今にも泣きそうな顔をしている。その顔を見ると逃げようなんて気は起きなかった。


「僕たち行きません」

「そうです。これから帰って宿題します」

僕とケン君で強く言った。ミイ君は半泣きになって掴まれた手を離そうと抵抗している。


「ヤギどらごんいるんだよ。友達もいっぱいいるよ。みんないて楽しいよ。お腹も減らないよ。娘も戻ってきてくれるかもしれない。それに…」


なんて言っているか、最後まで耳に入らなかった。おじさんの顔は見たことのない《大人》の怒りの表情になっていてそれが僕の足をすくませた。


抵抗し続けるミイ君のポケットから、防犯ブザーが落ちた。ヤギどらごん公式ブザー。思い出したように僕はポケットに入っているそれを押した。ケン君はミイ君の落としたブザーを拾って、自分の分と2つ押した。


早く終わってほしいと思いながら強く長押しした。3つのブザーが鳴り響く。




それで解決できた。






☆☆☆

ヤギどらごん公式ブザー。かわいらしいヤギどらごんの形をしているね。ヤギどらごんを語る変な人がいたら迷わず押そう。


情報登録される複数個のブザーを同時に押すことで通報される仕組みだよ。連絡が入ったら、1分以内に強い人が助けに現れるよ。




ありがとうございました。

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