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上位のハンターは化け物揃い

 萬田さんの強さは想像以上だった。

 こんな強い人だったら、ダンジョンランキングの上位にいてもおかしくない筈なのに、話題に上がらないのは何故だろうか? せっかく隣に母がいるので、萬田さんについて聞いてみることにした。


「十条代表、萬田さんってとても強いですね。でもあまり有名じゃないですよね? 何か理由でもあるんですか?」


 私の質問に驚いたのか一瞬目を見開くと、母は笑顔になり自社に所属する萬田について熱く説明する。


「萬田はハンターを副業でやっているんですよ」

「副業ですか? ハンターより稼げる本業ってなんですか?」

「気になります? 実は新宿で有名なゲイバーのママなんですよ」

「ゲ、ゲイバーですか?」


 同性同士の恋愛に対して私はある程度理解はある。高校も大学も女子校だったので、女性同士でお付き合いしている人は沢山見てきた。

 私は同性の子とは付き合った事はないけど、告白されたこともあるし、手を繋いで歩く事もしばしば。

 知り合いには男同士が絡んだ漫画を書いていた人もいたので、そういった世界もあるんだと理解していた。


 しかし、萬田さんの見た目のインパクトは斜め上を行く。1度見たら忘れられないし、夢にも出てきそうだ。

 男性同士が絡んでいる漫画はイケメンで花が舞うような美しい世界だが、萬田さんから想像できない。いや想像したくないというか、私が知っている物とは違っていたのだ。


「萬田はハンター界隈ではそこまで有名じゃないのですが、知る人ぞ知るってやつですね。お店が忙しいのに、それでも彼女はダンジョンに何か思いれがあるのか、私の依頼なら断らずにこうやって参加してくれます」


 どうやら萬田さんにはダンジョンに潜る理由があるらしい。その理由は母にも分からないようだ。


「ところで萬田さんのクラスって何ですか?」

「あら♡ほのりんちゃん、私に興味あるの? 流石魔法少女仲間よね♡」


 母に質問したが、萬田さんにも聞こえたのか身体をクネクネさせながらやって来る。

 ちょっと怖いが母の話を聞く限り、悪い人ではなさそうだ。


「変わったスキルですよね。どんなクラスなんですか?」

「うふふ♡このクラスは世界で私しか持っていないクラスで、クラス名は【レスラー】よ♡」

「レ、レスラーですか? あのプロレスとかのレスラーですか?」

「そうよ、そのレスラーよ♡」


 見た目だけが魔法少女のレスラーだった。

 しかし、レスラーと呼ばれるクラスは聞いたことがない。ダンジョンデータベースのクラス一覧を見たことがあるが、そこにレスラーなんてクラスは無かった筈である。


「……もしかして、未登録クラスですか?」

「せ・い・か・い♡ご褒美にハグしちゃう〜♡」

「ぐえええ苦しい……」


 こんなのハグじゃないプロレス技のひとつだ……こんな攻撃受けたらモンスターだってひとたまりもないだろう。


 萬田さんからやっと開放されるが身体中が痛い。

 私のまじかる☆ドレスのダメージ軽減率を無視しているので、そういったスキルがあるのかもしれない。


 先程の戦いで分かった事は、中村さんのクラスは【大盾使い】だという事だ。

 ルル様の説明によると、どんな盾でも使いこなし、あらゆるクラスの中でダントツの防御力を誇っているそうだ。

 大盾使いのデメリットは武器が装備できないが、盾が武器の代わりになるので特に問題無いそうだ。

 他にも自身の防御力を高めたり、パーティーメンバーの防御力を高めたりする事ができるスキルを所持し、モンスターを挑発して複数体のモンスターを同時に相手をする事も可能なタフなクラスらしい。

 実際にミノタウロスとの戦闘は安定しており、後方で待機していた私は安心して見ていられた。


 そして次に、マイクさんだ。

 マイクさんのクラスは【侍】で、私が以前オークションに掛けたクラスチェンジオーブだった物だ。それをマイクさんが20億円で購入して使ったそうだ。

 マイクさんの以前のクラスは知らないが、1度覚えたスキルはクラスを変えても使用できるらしく、戦略の幅が広がったと本人は喜んでいるらしい。

 メアリーさんの説明によると、侍のクラスに変えてからは、武器の耐久値が減らなくなり、切れ味も悪くならなくなったそうだ。

 更に侍のスキルが強力らしく、単体攻撃から範囲攻撃にいたるまで、どのスキルも今まで一撃で敵を斬り伏せているとの事だった。


 本人のレベルも高いし、侍のスキルも合わさって今のところは敵なしかも。今の私が戦っても負ける気がするから怒らせないようにしないと……。


 3人の分析が終わると次は周防院さんとケルビンさんとメアリーさんの3人がモンスターと戦うようだ。

 今回も非戦闘員を守る為に私は後方待機だ。


 荒れ地を進むと、ミノタウロスより大きなモンスターがドスドスと地面を響かせながら歩いてくるのが見える。

 そのモンスターは赤色の鱗で覆われており、4足歩行で歩いている。時々口元から、チロチロと舌が出ているのでトカゲタイプのモンスターだろう。


「俺があのトカゲ野郎を抑える! 後は頼んだぜ!」

「分かりました!」

「ケルビン任せたわよ!」


 即席パーティーとはいえ、Chrome TempestとJDSTのコラボはかなり熱いのでは? ルル様がジッと見守っているので、戦闘風景を録画しているに違いない。


 ケルビンさんのクラスは聖騎士。

 攻守バランスが良く、回復魔法も使えるレアクラスだ。

 中村さんの大盾使い程ではないけど防御力は高く、あらゆる属性攻撃によるダメージを軽減し味方をサポートしつつ、聖なる力を持って敵を攻撃する事が可能である。


 赤色のトカゲ、名前をサラマンダーと呼ばれるモンスターの口元から火花が散る。


「っ! 俺の後ろに下がれ! 【エレメンタルフォースシールド】展開!」


 周防院さんとメアリーさんが素早くケルビンさんの背後に隠れると、虹色の空間がケルビンさん達を覆う。

 そして、サラマンダーの口から噴き出した炎

はケルビンさん達を包み込む。

 その熱気は100m以上離れた私達の方まで届き、大地を焦がした臭いが辺りに充満する。


 ケルビンさん達を包んでいいた炎がボンッと音を立て消し飛ぶと、周防院さんの身体に紫電が纏い、サラマンダー目掛けて一気に加速する。


「はああああっ! 轟け! 【疾風迅雷】」


 目にも留まらぬ速さで周防院さんはサラマンダーを斬り刻む。一太刀入れる毎に雷が落ちるような音が鳴り、雷の影響かオゾンの臭いが漂ってくる。

 

「ギヤオオオオン!」


 苦しみ暴れだすサラマンダーから周防院さんは離れる。


「す……凄い」

「うちの周防院は凄いだろ?」


 思わず私の口から驚嘆の言葉が漏れると、近くで一緒に観戦していた中村が話しかけてきた。


「はい。以前より強くなったとは思いましたが、さらに強くなりましたよね。本当に驚きました」

「JDSTが誇る最大の戦力だからな」

「周防院さんのクラスって特殊ですよね? 魔法剣士ですか?」

「いや、周防院のクラスは雷術士だ。雷を操る事が出来る」

「へ〜魔法使いタイプなのにバリバリの前衛なんですね」

「そうだ。近接特化だが、かなり火力が出る。デメリットっは燃費が悪いことくらいだな」


 一撃必殺強襲タイプの雷術士は、周防院さんが放ったスキル【疾風迅雷】がぴったり合うクラスだ。


 初見であの攻撃を回避するのは至難の技だね、私ならまともに受けて大ダメージを受けてしまいそうだ。


 ボロボロになったサラマンダーに対して、メアリーさんが魔法を発動させると、曇天の空に神々しい幾何学模様の魔法陣が現れる。


 メアリーさんのクラスはビショップなのは有名な話で、攻守バランス良く中級鑑定を持ったレアクラスだ。

 ビショップが使える神聖魔法は回復魔法の他にも防御魔法、そして今、メアリーさんが放とうとしている攻撃魔法が存在する。


「【ホーリーランス】!!!」


 5本の連なった光の槍が真っ逆さまにサラマンダー目掛けて落下していく。

 サラマンダーもその攻撃に気がついたのか、慌ててその場から離れようとするが、周防院さんの攻撃による傷は深く、逃げる暇を与えずに光の槍が赤色の鱗を串刺しにする。


 サラマンダーが断末魔を叫びながら光の粒子に変わっていくと、辺りに静けさが戻って来た。


「どうだ? マジカルガールホノリン。俺達と来ればダンジョンの最下層への近道だと思うが」


 ポカーンと派手な戦闘を見ていた私に、唐突にマイクさんが私を勧誘してきた。思わず体がビクッと反応してしまう。


 びっくりした……いつの間に私の横にいたのかな。


 相変わらずの神聖なオーラぷんぷんのマイクさんは近寄るだけでクラクラしちゃう。これも【神域】と呼ばれるスキルのせいなのか?


「確かに最下層へ行くのは近道かもしれませんね……」

「私はお前が欲しい」

「Chrome Tempestに欲しいの? それとも私個人を口説いてるんですか?」

「どちらにとってもいい」


 それ、とても困るんですが……。


「ホノカとスドウが専属契約しているのだろう? ホノリンはまだ未契約なはずだ、私の所に来い。何でも与えてやる」


 いや〜昔の私なら喜んでマイクさんに付いて行っただろう。しかし、私には目的がある。それはナヴァトラナを集める事だ……。

 はて? 何故私は必死こいてナヴァトラナを集めようとしているんだっけ? まぁいいか。

 

「エバンスさん、ほのりんさんが困っております。彼女にも選ぶ権利はあると思うのです。ねえ、ほのりんさん、ATLANTISにくればその人気を使ってメディアに出放題、アイドルハンターとしても活動できますよ」


 ここぞとばかりに営業を始める母に、苦笑いで返す。

 私が娘だと知ったらどんな顔をするのだろうか?


 マイクさんと母からの誘いをのらりくらりと躱すと、まじかる☆ゲートを使い渋谷へと私達は戻った。



読んでいただき、ありがとうございます。

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