魔法少女まんまん
ダンジョンゲート。
10年前に突如として現れたソレは、世界を大混乱に巻き込んだ。あらゆる調査の結果、中には異空間が広がっており、凶暴な生物の存在を確認できた。
その内部構造からダンジョンと呼ばれた場所からは未知の物質や人工物、更には人に特殊能力を与える物まで見つかった。
そんな謎の空間と繋がっているダンジョンゲートが会議室に現れ、会議に参加した者達は大変驚いていた。
「ほのりんさんがダンジョンゲートを出したのですか?」
奈々子ちゃんが私に聞く。
驚くのは無理もないだろうね。
使った私も驚いてるからね。
「これは私のスキルで作り出したダンジョンゲートだよ。私が1度行った事があるダンジョンや階層にどこからでもアクセス出来るの」
「だけどよー、ダンジョンは到達していない階層には行けない仕様だったよな?」
寝ていたはずのケルビンさんが質問してきた。
確かにケルビンさんの疑問は当然だ。
だがしかし、私のダンジョンゲートは特別製なのだ!
「フッフッフッ! 聞いて驚いて下さい。私のダンジョンゲートは個人の未踏破縛りを無視できるのです!」
「それは本当ですか!?」
私の母が食い付いてきた。
私のダンジョンゲートの価値が理解出来たのだろう。
「勿論です。何だったら今から伊豆にある修善寺ダンジョンのボス巡りも可能ですよ?」
「あれ? 修善寺ダンジョンは一般人は入れない筈ですが……ほのりんさんは1度行ったことがあるのですか?」
あ、やば……。
奈々子ちゃんに肘で小突かれる。
ごめんよ奈々子ちゃん……。
「私がHA本部に申請し、正式な許可を得て攻略しました」
「須藤さんが? 私も報告書を見ましたが参加メンバーはたしか……」
「周防院さん、一般人もいますので機密情報を漏らさないようお願いします」
「失礼しました」
周防院さんが私の正体を言いかけたが、奈々子ちゃんが止めてくれた。
周防院は私の事をジッと見ている。
私の失言で、恐らく私の正体を知ってしまった可能性がある。
失敗したなと後悔するが言ってしまったのは仕方がない。後で賄賂を渡して口止めする必要があるもしれない。
まぁ、罪に問われるのでやらないけど。
「マイクさん達にはメリットは薄いですが、41層から攻略していいですか?」
「私達は異論はない」
「マイクはマジカルガールと一緒ならどこでもついて行くぜ」
「そうね、私達もこうやって日本まで来た訳だし」
そんな事でマイクさん達は日本に来たのかい。どんだけ魔法少女が好きなんだ。
アニメTシャツを着ているからして日本カルチャーが好きなのは分かるけど、グリフィスダンジョンの攻略を止めて、私に会いに来るなんて酔狂にも程かある。
相変わらずマイクさんは私の事を穴が開くほど見つめており、その視線は好きとかそういうレベルではない。病的な怖さを感じる。
背中にゾクゾクと感じる中、ルル様が説明を続ける。
「ほのりんのまじかる☆ゲートを使い、41層からレベリングを行い、修善寺ダンジョンの6層にいるデスボールをソロで倒せるぐらいになれば、レイド・竜王討伐作戦でまともに戦う事が可能だ」
「分かったわ〜♡とても楽しみねエバンス様♡」
「話しかけるな化け物」
マイクさんと萬田さんも仲良く? 話しているので、後は実際に戦ってみて連携を合わせていく必要があるね。
その後、いつから合同合宿を始めるかなど、詳しい話し合いが行われた。
私とルル様は特にやる事はなかったので、奈々子ちゃんに後は任せ、会議の行方を見守っていた。
結局、残りの4名の参加枠はJDST側と2名、ATLANTIS側2名で決まった。
その4名は後方支援や戦況に応じて対応できるハンターを揃える事に合意し、基本はここにいる私達が主力として戦う事になった。
そして、お互いの力を把握する為に1度をダンジョンの中に行く事になった。
「Amazing! そのスキル便利ね、私も欲しいわ!」
私のまじかる☆ゲートを使って41層にみんなでやって来た。
メアリーさんが私のスキルを大変気に入って興奮している。
別に隠す必用はないので入手先を教えてあげる。
「夜の39層に現れるサーベルタイガーの上位種にヘルソードタイガーって言うモンスターが、もしかしたら落としますよ」
「Really?」
「もしかしたら別のモンスターが落としたかもしれませが、スキルクリスタル〈ゲート生成〉ってやつをゲットしましたよ」
「マジカルガール、情報ありがとう!」
メアリーさんの熱い抱擁に、私の顔が2つの柔らかい物に押しつぶされる。
うわわわ、柔らかいしいい匂い……てか苦しい、もがががが。
聞き耳を立てていたのか、私の母もしっかりとメモを取っていた。
母もそうだけど、本来ここに来れない人達にも41層に来てもらっている。
JHA職員とダンジョン庁の職員、ATLANTISからは十条恋華代表だ。
危険だと思ったが、間近で見学したいと懇願され私の側から離れない事を約束し来てもらっていた。
因みにあの大臣は置いてきた。邪魔だし、精神衛生上いない方が楽だからだ。
私達が来た41層は火山の麓だった。
正面には富士山より高い山がそびえ立ち、空を覆い尽くす黒煙を吹き出し、その煙を赤く染め上げているので、山の頂上には溶岩溜まりがあるのだろう。
このダンジョンの作りは広大なエリアに見えるが、火山に向かう一直線のルートらしく、周りを険しい山々がそびえ立ち、私達を逃さないように囲っているようだった。
荒れた道の先からモンスターの達が私達を見つけたのか、人型のモンスターが雄叫びを上げながらこちらに向かってくる。
「あれはミノタウロスだな」
「あ〜、なんか久しぶりに見た」
忘れもしない私が魔法少女になって真っ暗な41層を彷徨い歩いていた時、いきなり襲って来たモンスターだ。
牛の頭部を持ち2本の角が生え、右手に持ったハンドアックスで攻撃してくる。
1番警戒しなくてはならないのが、その身体能力だろう。100mを数秒で駆け抜けてくる脚力は侮れない。
そんなミノタウロスの群れが迫る中、中村さんやマイクさん、そして萬田さんが前に出る。
「まず、私達がお相手しようかしら〜♡ ね、エバンス様♡」
「お前も纏めて斬殺すぞ」
「……おいおい、緊張感がないなこの人達は……」
マイクさんと萬田の掛け合いに中村さんが呆れた声をあげるが、ミノタウロス達は待ってくれない。もう直ぐそこまで迫って来ている。数は5匹だ。
中村さんが前に出て盾を構え、スキルを発動させる。
「俺はここだ!【ウォークライ】【鉄壁】」
ミノタウロスのハンドアックスを大盾で防ぐと、ハンドアックスが大きく弾かれる。
その隙を見逃さず、マイクさんがミノタウロスの懐に潜り込む。
「ハッ!【一閃】」
鞘から刀を抜いたと同時に斬りつける抜刀術で、目にも留まらぬ斬撃を放つ。
刀を鞘に戻し、カチンッと音が鳴るとミノタウロスは上半身と下半身が泣き別れ、光の粒子へと変わる。
「わあ、凄いねマイクさん!」
「うふふ、本人に言えば喜ぶと思うわよ」
どんだけ私の事が好きなのか……いや、魔法少女が好き過ぎるのか? 個人の趣味を否定する気はないけど、マイクさんのイメージが随分と緩くなった気がする。
更にミノタウロスが2体が襲って来るが、中村さんが大盾で攻撃を防ぐと、その盾を使って弾き飛ばす。たしかあの技は【シールドバッシュ】と呼ばれるやつだ。
「んも〜、イケメン2人に良いところばっかり取られちゃって見せ場が減るわ♡私も頑張らないと♡」
ピンク色の巻髪ツインテールをなびかせ、魔法少女風の衣装を来た、ガチムチの萬田さんが前に出る。
中村さんに向かっていた残りのミノタウロス2体が萬田さんの異質さに反応したのか、標的を変えると萬田さんに襲いかかる。
「あ〜ん♡いい筋肉ね。ワタシの大胸筋とぶつかり合いましょう♡【プランチャ・スイシーダ】♡」
迫りくるミノタウロスに萬田さんは飛び込み、胸で体当たりした。
もの凄い轟音と共にミノタウロスは吹き飛び光の粒子に変わり、残りのミノタウロス掴み上げ持ち上げる。
「は〜い、イックよ〜♡【垂直落下式ブレンバスター】♡」
3mはあろう巨体を軽々と持ち上げ、ミノタウロスの頭部を地面に目掛けて落下させる。
ミノタウロスは荒れた堅い大地にクレーターを作る程の衝撃を頭部に受けると、光の粒子に変わった。
私はその姿を見て、魔法少女要素ないじゃんと心の中で呟いた。
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