やっと会議が始まる
特に章を作ってませんが、最終章に向かってます。引き続きお読みになってくれると嬉しいです。
(∩^o^)⊃━☆゜.*
泡を吹いているダンジョン庁大臣を横目に合同会議が続いている。
この会議の正式名称はレイド・竜王討伐作戦と銘打って始まった。作戦名はどうでも良かったが、ルル様は「形から入らないとな」と言い勝手に決まった。
肝心の竜王討伐に必要な話し合いが執り行われる前に報酬の話になってしまった事は残念だが、彼らもタダ働きは嫌な筈だ。
私も気持ちは分からなくもない。
で、肝心の竜王とは何なのか? レベル70が最低参加条件となるとそれなりに強いのは分かるが、どれ程強いのか想像できないのである。
これについてはマイクさんがルル様に質問をしていた。
「竜王とはどんなモンスターだ? 私達だけで倒せるのか?」
「我らが挑む相手は竜王アークバハムート。100の竜を従えた天空の覇者だ」
ルル様が答える。
名前からしてラスボス感が凄い。
ゲームだと裏ボスとかそんな感じでいるかもしれない名前だ。
「竜王アークバハムートは強力なブレス攻撃と多彩な魔法を扱う。更に強力な結界と鱗を持ち、生半可な攻撃ではダメージが通らないだろう」
なるほど、私がソロで攻略が厳しいのは火力もそうだけど、防御面でも不安があるのかもしれない。
しかも、相手は竜なので空での戦闘がメインになりそう。私は飛行スキルを持っているので対応は可能だが、他の参加者達はそうはいかない。
「竜王アークバハムートの護衛には100のドラゴンが護っており、個々の強さはレベル60以上だと思った方がよいだろう」
う〜ん。レベルの懸念が私には分からない。
そもそもモンスターの強さとレベルが一致しないのよね。これは魔法少女のクラスが強過ぎるのもあるし、モンスターの強さ関係無く私の強力なまじかる☆スキルなどで瞬殺してるのが弊害になっている。
ただ護衛のドラゴンの強さは何となく想像はつく。
伊豆の修善寺ダンジョンのボスの強さは、ルル様曰く1層のボスの強さは渋谷ダンジョンの10相当かそれ以上の強さを持っていると言っていた。
要するに60層のボス相当の強さを持ったドラゴンが100体出現し、背後には強力なボスが待ち構えているという事になる。
ぶっちゃけ先日40層をクリアしたばかりなので護衛の竜は兎も角、竜王アークバハムートに勝てる気がしないんだけど……。
ルル様の説明に私を含め、みんな渋い顔になっていた。かなり分が悪い状況に悩んでいるのが見てとれる。
しかし、その中でダンジョンランキングNO1チームは余裕そうな表情を浮かべている。彼らはこれから戦う強敵に対して闘争心が灯った眼をしていた。
戦闘狂だよなあ……。マイクさんもそうだけど、メアリーさんもあんな目をキラキラさせてるし。ケルビンさんにいたってはイビキかいてるし……。
大物過ぎる彼らは放って置いても戦果を上げてくれるだろう。問題は、JDSTとATLANTISと私だ。
レベルアップをして全体の強さを底上げする必要がありそうだ。
「ここにいるメンツはあくまでも、参加する為の資格があるだけで、レイドダンジョンに入ったら8割の確率で死ぬだろう」
「それじゃ〜私達はどうすればいいのよぉ〜?」
「簡単な事だ、ダンジョンを攻略しつつ合同合宿を行う」
「「合宿!?」」
萬田さんの質問にルル様は合同合宿をすると言い出した。
合宿ってあれよね? みんなで寝泊まりして同じ釜の飯を食うってやつ。高校以来合宿なんてした事ないんだけど……。
「ルル様、それ本気?」
「本気だぞ? ほのりんはダンジョンを攻略出来るし、スキルの強化も出来る。他の連中もパワーレベリングでレベル上げすれば一石二鳥だ」
……パワーレベリングでは実力はつかないんだけどなあ……。
まあ、ルル様がそれでも良いって言うなら良いけどね。
意外にも参加者のみんなは食付きが良く、即答で合同合宿の参加表明を明確にする。そんな中、私の背後にいた奈々子ちゃんが徐にルル様に話し掛けた。
「ルル様、差し出がましいと思うのですが、私も合同合宿に参加したいと思うのですが、宜しいでしょうか?」
「……厳しい訓練になるぞ? この中では須藤が1番弱い」
「存じております」
「……意思は堅いようだな。良かろう後1か月で仕上げるのだぞ」
「!! ありがとうございます! ルル様!」
あれれ? どうしたの奈々子ちゃん。奈々子ちゃんも竜王討伐作戦に参加するのかな? 忙し身なのに大丈夫かな?
「奈々子ちゃん大丈夫?」
「雑務は部下に押し付けるから問題無いです。折角なので私もほのりんさんと一緒に戦いたいと思います」
有り難い申し出だけど少し不安だな〜。約1ケ月のパワーレベリングでどこまで階層を登れるかが問題だけど、それだと私達のレベリングが遅れてしまう。こうなったら裏ワザを試してみるな……。
私はここにいる参加者に、どこまでダンジョンを進んでいるか聞く事にした。
「あの皆さんの渋谷ダンジョンの到達階層を知りたいのです。因みに私は40層をクリアしました」
会議室に「お〜」っと歓声が響く。
特に特別な事はしていないが、ダンジョンの攻略はサクサク進んでいるとは思うを
「JDST渋谷チームは昨日39層をクリアした所だ」
途中まで一緒に進んでいたので近いと思っていたが、ひとつ下の階層だった。JDSTは問題無し、次は……。
「私達Chrome Tempestは53層を攻略中よ」
メアリーさんの発表すると、私より歓声が響く。勿論その中にも私が入っているのだが、それにしても攻略速度が途轍もなく早い。私が全力でやれば追いつける事も可能だけど、それでも早い。流石ダンジョンランキングトップチームなのか。
そして次はATLANTIS。代表である私の母親の番だ。
「ATLANTISは最大到達階層は萬田が記録している34階層よ。ここにいるみんなバラバラだけど、どこでレベリングするの? 12人以上だと取得経験値が大幅に落ちる事は知っているわよね?」
え? そうなの? 私は知らなかった。いや、ネットの掲示板にそれらしい事が書いてあったような……。
「JDSTからも数名合同合宿に参加させたい」
「ATLANTISからも参加させたいわ!」
なんか収取がつかなくなってきたな……。12人でレベリングするとなると、私を含め奈々子ちゃん、中村さん周防院さん、マイクさんケルビンさんメアリーさん、そして萬田さんの計8人だ。残り4人しか参加できないとなると、JDSTとChrome Tempest、ATLANTISで残り4人の参加枠を巡って揉めそうだ。
そして中村さんと私の母が睨み合い火花を散らしており、その間に挟まれたマイクさんは涼しい顔で私に話しかけてくる。
「マジカルガール、私達は追加要員は無しだ。他の連中に枠を譲りたい」
「マイクさんいいの?」
私の疑問に白く美しい彫刻が優しく微笑む。
普段の私ならその美貌に卒倒しているが、気合を入れ耐える。
「君にマイクと呼ばれて悪い気はしないな」
「あ……馴れ馴れしくてすみません……」
「気にしなくていい。定員については任せる。それで、レベリング場所に心当たりはあるのか?」
「そうですね。まだ試していないのですが、未到達の人でも渋谷ダンジョン41層に行く方法と、他のダンジョンへ行く方法があります」
「……そんな事が可能なのか?」
「ものは試しでやってみましょうか」
私は席を立つと、いがみ合っていた中村さんと母も静かになった。私が何をするのか気になるのだろう。
私は例のまじかる☆スキルを発動させる。
「開け、時空の扉〜! まじかる☆ゲート、オープン!」
私がまじかる☆ゲートを使うと、見慣れた黒いダンジョンゲート会議室に現れた。
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