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憧れの魔法少女になれたけど、恥ずかし過ぎて死にそうです!!  作者: じゃむばた


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ほのりん、暗殺者に襲われる

 私は昨日の続きを再開するべく38層へと降り立つ。昨日はJDST達とここに来た瞬間にモンスター達の群れに囲まれピンチに陥ってしまった。出来れば今日中に40層を突破したい。


 うさ耳カチューシャを装着し祭壇の位置を特定すると、加速を使い一気に目的地に向かう。

 祭壇には既にダンジョンゲート開いており、先客がいたようだ。


「JDSTかな?」

「昨日までここに居たからな。その可能性はある」


 38階層を攻略しているハンター自体が少ないので自然とハンターが絞られてくる。ここに来れるのはJDSTかChrome Tempestだろう。他のパーティーやクラン規模でここまで攻略できるとは思えない。


「ま、気にしても仕方ないし先に進もうか」


 私はダンジョンゲートに触れ、39層へと向かう。39層も相変わらずの草原が広がっており、モンスターの群れが遠くに点在しているのが見える。


 うさ耳カチューシャで祭壇の位置を確認すると、私に向かって何か飛来する音が聞こえ、咄嗟に飛び退いてその物体を回避する。その物体は、2本の鋭利なナイフで地面に突き刺さっていた。


 ナイフ? モンスターから攻撃された? でも気配がしない。辺りを見渡すが姿は見えず、音も聞こえない。これは姿を消すスキルなのか?


「誰? 出て来なさい!」


 私の言葉と同時に背後からナイフが再度飛んでくるが、私はまじかる☆シールドで攻撃を弾く。


「中々やるネ」


 声のする方に視線を向けると何も無かった場所に薄っすらと人の姿が浮かび上がってくる。その姿は真っ赤なチャイナドレスを着た小柄な女性だった。髪の色は赤色で綺麗な装飾が施された仮面を着けており、素顔は分からなかった。微妙にイントネーションが違う日本語に、この女性は日本人ではくアジア系の人だと感じた。


「貴女ひとり?」

「そうヨ。ワタシ貴女を探してたネ」

「いきなり攻撃してくるなんて、どういうつもり?」

「そんな事決まってる。死んで貰う為ヨ!」


 謎の覆面女性が短刀片手に懐に飛び込んでくる。私は咄嗟に護身術教室で習ったクラヴマガの、凶器を持った相手に対する防衛術を使う。

 咄嗟の出来事で綺麗に対応はできなかったが、それでもダメージを負うことなく攻撃を捌けた。


「……貴女兵役経験者? 情報にないヨ」

「貴女は何者なの? いきなり攻撃して私を殺そうとするなんて穏やかじゃないわね」

「秘密を安々と漏らすなんてプロ失格ネ……ん? 何!! 私の上級隠蔽を突破した!?」


 急に狼狽し始めた謎の仮面女子に何事かと注視すると、ルル様が高笑いをしながらやって来た。


「フハハハ!! 我の真・鑑定眼に見破れる物は無い!」


 あ〜、ルル様の鑑定眼で相手のウィンドウに通知が来たのね。私もメアリーさんの鑑定を受けた時はあんな感じだったんだ……バレバレじゃん……。


「あの者は中国のハンター、シュアイ 宁宁ニンニンと言う名だな。ダンジョンランキング2位、レベルは60でクラスはアサシンだ。多数の隠密系スキルを所持し、暗器を使いこなして不意打ち攻撃と毒を操り、素早い動きで相手を翻弄するのが得意だ」

「なっ!? バ、バラすナ! 卑怯だゾ!」


 暗殺者に卑怯って言われてもね……まさかハンターランキング2位の人が渋谷ダンジョンに、それもソロで来ているなんて驚きだよ。隠密系スキルで確実にモンスターを倒しながら安全に進んで来たのかな? それでもここに居るって事はかなり強い筈だね。


「何故私の命を狙うの?」

「……言うわけないネ」

「なら実力行使で聞いてみるしかなさそうね」


 人間相手にまじかる☆スターライトは効果は無い。以前JDSTにまじかる☆スターライトが命中した時、素通りして背後のフローラアネモネだけにダメージを与えていた事を考えると、私の力は対モンスターでしか力を発揮できないのだ。


 私が人相手にダメージを与えられるのは近接戦闘による攻撃か、発火、試した事は無いけどアクアプリズンで拘束も可能かもしれない。相手はダンジョンランキング2位の強者。手加減していい相手じゃない。骨の1本や2本は折るつもりで戦う必要がある。


「隙だらけネ!」

「ほいっと」


 短刀が私の首元を切り裂こうとした瞬間、私は短刀を持った宁宁の手首掴む。


「なっ!?」

「ほのりんビンタ!」


 私は宁宁の頬を思いっきりひっ叩くと、ぱんっ! といい音がなる。宁宁の仮面が衝撃で弾き飛んだ。

 年齢は14歳から16歳で、その素顔はまだあどけなさが残る可憐な少女だった。


「っ!」

「悪い事は辞めなさい、次はもっと強くやるよ」

「離せ!」


 宁宁は力尽くで私から離れると、敵愾心が灯った鋭い目付きで私を睨む。流石ダンジョンランキング2位の強さなのか、強化された私の拘束から離れたので少し驚いた。


「宁宁、私は貴女に命を狙われる理由は無いと思うの。無駄な争いは止めない?」

「貴女に無くてもワタシにはあるヨ。大人しく死ぬネ。暗器〈麻痺針〉!」

「うわっ」


 何か光に反射した物が無数にわたって私に飛んで来た。


「針?」


 咄嗟に避けたが足に数本針が刺さってしまった。ご丁寧に技名を叫んでいたので麻痺毒がある攻撃だと思われる。


『毒無効発動 麻痺を無効化しました』


 よし、ダメージも大したことない。火力を絞ってあのスキルを試してみるかな。


「【発火】」


 私が言葉を発した瞬間、宁宁の胸元に赤い炎の塊が現れ爆発する。まるで至近距離から大玉の花火が爆発したかのように燃え上がった。


 あれ? 思ったより威力が下がらなかったぞ? 死んじゃったかも!! やばっ……。


 人を殺してしまったかと冷や汗が垂れる。

 スキルの効果は基本調整できないが、効果を落とす分なら多少出来る。しかし、私の場合はステータスの影響なのか加減が難しく、意識して威力を下げたけど、人が簡単に死ぬレベルで発火したそれは凶悪な兵器と化していた。


「フハハハ! ほのりんは容赦ないな!」

「いやいや笑い事じゃないよ……私犯罪者になりたくないよ」

「これは正当防衛。相手の言質も取ってあるし、証拠として映像も撮ってある。然るべき場所に提出すればダンジョン法にも引っ掛からないだろう」


 ダンジョン法? いつの間に勉強したの? 私はちんぷんかんぷんだよ。


 ダンジョン法は六法全書程ではないけど、そこそこ分厚いらしく、私は全く頭に入れていない。そもそも、基本的に日本社会でやってはいけない事がダンジョン法にも適用されている。大体はスキル関連やアイテムの売買の規制が主な内容だった筈だ。


 

 煙が晴れ、宁宁の姿を探すと姿形も無くなっていた。


「あれ……バラバラになっちゃったかな?」

「いや、少し血痕は残っている所を見ると大した怪我ではないな。クラス【アサシン】のスキルで戦線を離脱したのだろう」

「逃しちゃったか〜、説得は難しいかもしれないね」


 明確な殺意を持って現れた帅 宁宁に今後警戒しなくてはならない。今もどこかで私を見ている可能性もあるし、探知系スキルを売却せずに使っておいた方が良かったかもしれない。

 うさ耳カチューシャでは探知できないモンスターもいるので、うさ耳カチューシャばかり頼っていたら痛い目に遭う可能性もあるのだ。


「モンスター狩りながら進もうか」

「そうだな。スキルを集め、魔法少女のランクを上げて底上げする必要もあるな」

「そうだね」


 奈々子ちゃんに渡したスキルクリスタルは比較的この草原でも再取得可能なスキルだったので、時間を掛けて只管狩りを始めた。

 やはり夜間になるとモンスターの出現率が上がるらしく、昨日のように上位種が率いていた群れに再度遭遇して驚いた。

 夜間の草原は非常に危険で昼間の内に踏破する事を、他のハンター達に周知させる必要があった。



読んでいただき、ありがとうございます。

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