ダンジョンに行ってきます。
ダンジョンに行ってきます。
「何の話です?」
あまりの素早さに対応しきれなかったランタナが目を丸くしていた。
「すみません。師匠が奇妙な魔力溜まりがどうの、と言ってたのでその事だと思います」
アリッサもファルシオンの行動を全て把握している訳ではないので不確定な言葉しか出ない。
「それより、オリハルコンの錬成はどうなりました?」
マロウが有耶無耶にするのか、と言いたげな顔でランタナを挑発する。
「アンサシアの根が手に入りましたら、すぐにでもお見せしますわ」
そう強気で言いながら、すまなそうにアリッサを見た。
希少素材の入手先はアリッサの腕に掛かっている。
「……ダンジョンに行って来ます」
自分が行かなければ、全く魔獣討伐訓練をしていないランタナが行くと言いそうだ、とアリッサは理解していた。
「私も参ります。アリッサさんばかりに頼っていては駄目ですもの」
エニシダが同行を申し出た。
「ネムタス伯爵令嬢」
マロウでは無く、モルセラが焦った顔でエニシダの名を呼んだ。
「ご心配ありがとうございます。ですが、これでも武門の人間。ダンジョンには慣れております」
気の弱そうな態度だが、エニシダはか弱い令嬢ではない。
騎士科では上位の成績を修めている、将来有望な女性騎士である。
「エニシダ様。同行して頂くのは有難いですが、決して無理はしないでください」
「勿論です。自分の力量は理解してます」
アリッサの忠告に、エニシダは素直に頷いた。
「だからと言って、モルセラ様も同行しなくても……」
「エリンジウム殿下からお2人を警護しろ、との命令ですから」
数日後、ダンジョンに向かう2人の前にモルセラが現れた。
同行が彼の意思なら拒否出来るが、エリンジウム殿下からの命令では拒否することは出来ない。
しかもエリンジウムとミモザが見送りに来ているから承諾するしか無い。
それだけならまだ良かったが、アリッサは頭を抱えそうになった。
剣の使い手であるモルセラだけなら問題はないかもしれない。
だが、モルセラの後ろで目をキラキラさせるランタナとマロウには釘を刺した。
「ご自分で身を守れないお2人は連れて行きません。安全な学園で待っていて下さい」
ショックを受けた顔をしているが、ダンジョンを舐めたら恐ろしい目に遭うのだと切々と訴えた。
ショックを受け、項垂れている2人にアリッサは一つの提案をした。
「師匠の手伝いをお願いできますか?人手が足りない、とボヤいてましたから」
「分かったわ」
「ファルシオン先生の手伝いか、面白そうだ」
やる気になったランタナはいつも通りだが、真面目だったマロウが妙にフランクになっているのが気になる。だが、聞くと面倒なことになりそうなのでアリッサは黙殺した。
「アリッサ、気をつけてね」
ミモザが心配そうにアリッサ達を見送る。
頑張って素材集めしてきます、て感じかな?




