桜田來夢のセカイ2
その時、演劇部の部室の扉が開く…。
「部長。私の衣装のサイズ少し大きいみたいなんですが…。あら?こんにちは。賀東先生、琳華先輩。」
部室に入って来たのは、中等部の夏服姿の女の子。栗色の柔らかそうな巻き髪のショートカットで、黒目がちの目が可愛いらしいこの子は…。
「こんにちは、茜さん。」
「ごきげんよう、茜ちゃん。」
リンゴと同じ中等部2年2組の栗田茜ちゃん。
あれ?でも、茜ちゃんって演劇部じゃなくて、弥生君と同じテニス部じゃなかったかしら…。
「賀東先生と琳華先輩が一緒なんて珍しいですね!」
「くりりんー!どうして衣装着てないのー?」
来夢ちゃんが、元の元気な調子で茜ちゃんに話しかける…。
「部長、さっきも言ったんですが、サイズが少し大きいみたいなんです。ウエストのあたりが緩くて…。」
茜ちゃんは、光沢のある綺麗な青い色のドレスを抱えている…。
「ああー。くりりんは、お人形さんにみたいに細いもんね!明日、裁縫部の子に直してもらうね。主役のシンデレラがぶかぶかの衣装じゃ台無しだもん!」
「茜ちゃん、シンデレラの役なの?」
「はい…。部長、本当に私なんかでいいんですか?私、部員でもないのに…。」
「くりりん以外に適役はいないよ!…だって、くりりん姫は弥生王子と恋人同士だもんね!」
あらまぁ…!
「ちょっと!部長…!」
「茜さん、弥生君と付き合ってるんですか?」
「…はい。」
茜ちゃんの顔が耳まで真っ赤になる…!
「そうです。俺と茜は付き合ってるんです…!」
「それで、弥生のやつ王子様役を引く受ける条件で、シンデレラ役をくりりんに指名したんですよー!」
「俺のお姫様は、茜以外考えられないからさ…。」
「弥生先輩…。」
「二人ともラブラブなんですね…。」
「賀東先生、顔が赤いですよ。」
「琳華さんこそ…!」
「だって、少女漫画のワンシーンみたいなんですもの…!」
だけど…。
来夢ちゃんの顔が暗くなる…。




