【一】
司さんが芽衣ちゃんの父親に確認をとってくれて、芽衣ちゃん自身から無事住所を聞いた僕らは、早速ゆかりさんに会いに行く計画を立て始めた。僕らが今住んでいるのは京都府で、芽衣ちゃんは今は愛知県に住んでいるらしい。
スマホで調べてみると、愛知県に行くには、新幹線かバスに乗ればいい。それなら中学生の僕らでも移動は難しいことではない。
問題は愛知県の名古屋駅に着いた後のことである。日帰りできないことはないが、正確なゆかりさんの住所がわかっているわけではない。ゆかりさんを探すためにどれだけの日数を有するか、それは誰にもわからなかった。
まずそこで問題になるのは、僕の両親をどう説得するかだ。宿泊するための費用も必要だから、説明する他に方法はないだろう。
僕は帰宅すると、久しぶりに両親とのやり取りをやり取りを行っていたの日記帳を開いた。
さてどう書いたものか。思えばこの交換日記には桃のことがたくさん書かれている。僕の両親はとっくに、僕が桃を好きなことくらいお見通しだろうな。
ぱらぱらとページをめくりながら過去の書き込みを読み返す。
桃との出会いは、本当に偶然だった。だけどもしかしたら、運命だったののかもしれないと思う自分がいる。そうだったら嬉しいのに。
過去の書き込みを読み返しながら、僕の意識は桃と出会ったあの頃へと飛んでいた。