8.知人、友達
美鈴とベルカは特徴が似ている。
高い身長に、ポニーテール、キラキラした目、そして人懐っこい笑み。
「寝不足?」
美鈴は苦笑しながらそう聞いてきた。
「…寝不足」
透華は答えた。
「ごめんね、付き合わせちゃって」
「…別に」
透華はプイッと顔を背けた。
美鈴は気にしないと言った様子で自分の席に荷物を置き、透華のところに戻ってきた。
「…ベル……美鈴は寝不足じゃないの?」
透華はそう聞く。
「んー…私、あんまり寝なくて良いタイプだから?」
「……ちゃんと寝ないと、倒れるよ」
「ん?今心配してくれた?ありがと!」
美鈴は透華の頬っぺを両手で持って、そう言った。
透華は眠い目をこすりながら四限までの授業をこなす。
美鈴は相変わらず元気そうだ。
…私には到底、真似出来ない。
「お昼買いに行こ〜」
四限が終わって、昼休み。美鈴は透華を連れて購買へ向かった。
『あ、美鈴!この間はありがと!必ず返すから待ってて!』
「いつでも良いよ!大会頑張って!」
『美鈴先輩、生徒会の仕事手伝って貰えますか?』
「いいよ!放課後空いてるからやろう!」
『お、錦田さん、今日は予定空いてるかな?』
「すみません!生徒会の仕事を手伝わないといけなくて!」
『いいよいいよ!行っておいで』
美鈴は人気者である。
性格や人相の良さが理由だろう。
「ね、その子が言ってた『ライカ』ちゃん?」
初めて目を向けられた。
「うん。『庶民』バグの子だよ。名前は透華って言うの」
美鈴はそう紹介する。
「へー!うちのギルドに誘っていい?」
「んー…そういうのは透華自身に選んで欲しいかも」
そんな会話をして、私に視線を投げかけてくる。
イマイチ会話が理解できず、小首を傾げた。
「あ、この感じ、確かに『ライカ』ちゃんだ!ね、私、莉央って言うの。で、『ジルコニア』でリンだよ。よろしく!」
「え…えと…よろしく」
すっかり縮こまった様子で透華はそう言った。
グイグイ来られるのが苦手なのだ。
放課後。美鈴は生徒会の手伝いのために学校に残り、透華は部活も無いので普通に帰宅した。
やることもないので、ポットに水を入れ、お湯を沸かしつつ夕食のカップ麺の用意をした。
ポットの水が沸騰するまで、少し時間があるので『ジルコニア』を開くことにした。
…美鈴ばかりに頼り、教えられるのは、透華自身の信条に反するのだ。
なので少しだけ、自分なりに練習をすることにした。




