7.朝、学校
透華は重い瞼を開ける。
最初に飛び込んできたのは、カーテンの隙間から差した日光だった。
ぴぇ…
咄嗟に身体を起こし、デジタル時計を見る。
そこには5時50分と書かれていた。
…6時20分までに家を出ないと。
透華はそれなりに遠くの高校に通っていた。
『___貞永被告は、『ジルコニア』内にてインフルエンサー『アカルミ』として不当に搾取を行っていた______次のニュースです___首相は内閣改造を行い、第2次改造内閣を本日始動しました___特にデジタル方面に重点が置かれており、国際事業となっている『ジルコニア』の日本国内における監督を強化するものと___』
テレビで適当にニュースを流し見しながら、歯を磨き、片手でポットに水を入れ、ボタンを押した後、食パンを焼く。
いつもは2倍の時間があるため、それよりも少し早いペースでルーティーンをこなす。
顔を洗い、髪をヘアアイロンで伸ばす。
1度落ち着き、軽くインスタントコーヒーとトーストを朝食に摂る。
そして焦りつつ、制服のブレザーに袖を通し、鞄にヘッドホンとスマホ、そして昨日の勉強道具を詰めて家を出た。
結論から言うと、ギリギリ電車に乗れた。
ガランとした車内を見回し、ヘッドホンを取りだす。そのままスマホで音楽を流し、ボーッとする。
電車は廃れた。今どきは特型自動二輪車…いわゆる『ミクバ』というものが歩道を走り回り、高校生や社会人はこれに乗って高校や職場に行くのだ。
ただ、透華は違った。
逆張りで『ミクバ』を買わなかったのだ。
いわく『社会人になるにあたって、電車通勤に今のうちに慣れておいた方が良い』だとか。
社会人すら『ミクバ』を使っているのに、彼女は何を言っているのだろうか。
結果、1時間に1回しか来ない不便な電車に乗る羽目になって、他の人よりも登校時間が1時間近く早くなってしまっている。
数駅ほど通過し、電光掲示板を見て『伊藤高校前』という駅名を確認した後、席を立った。
ヘッドホンを外し、電車から降りる。
そのまま自分のクラスの教室まで歩いて、自分の席に座り、へたり込む。
「うう…眠い…」
そう口に出す。
それもそのはず。
彼女が昨日寝たのは夜中の24時辺り。
5時間ほどしか睡眠が摂れていないのだ。
「おはよ!」
ベルカ……の中身、錦田美鈴が教室に来たのはライカが来てから20分経った後のことだった。




