24.実戦練習
「じゃあ、今日は実戦で練習してみよう」
ベルカはそう言う。
「わかった」
ライカはそう応じた。2人がいるのはベルカの居城…の屋上で、城の外を見下ろすと、ベルカとの決闘を望む連中がうじゃうじゃいた。
「……全員私が倒しても良いの?」
ライカは小首を傾げた。
ベルカはライカの肩に手を置き、言う。
「倒せるのなら倒して。プレイヤーキルはレベル上げにも良いから」
ライカはその言葉にコクリと頷いて、踏み出して、屋上からスッと飛び降りた。
人間なら骨を折るような高さでも、物理防御力の高さのおかげで、ライカの身体はものともせず、ノーダメージで着地した。
「なんだァ〜?お前、使者か何かか?」
ナイフを持つ男がそのように声をかけてくる。
その舌は蛇のように長く、突き出ていて、蛇種と人間種の混合種であろうと察することができる。
使者……ああ、そうだ。今日は従者っぽいロールプレイをやってみよう。
ライカは俯きながらそう考えていた。
「…あなた方の駆除を仰せつかった者です。ご主人様によると、私如きにすら勝てない人間は決闘を受けるに値しない…とのことです」
ライカは凛とした声で、男を見つめながらそう言う。
無論、全てロールプレイのための嘘である。
「はア?ヘッやれるもんならやってみな!」
男はナイフを突き出す。
…ナイフの構え方が三下っぽい。
他の人間達もそれぞれ武器を構えた。
ライカは上品に佇み、そして歩き出した。
男の方へ、まるで気にしていないかのように。
男はイラッときて、ナイフを振り下ろし、ライカを攻撃しようとした。
ドンッ!
次の瞬間、男の上半身は跡形もなく吹き飛び、残った下半身は遅れ気味に青白い光を纏いながら消えていく。
…ライカのスキル『弾く』で、自動的に通常攻撃が発動した結果、あまりの威力に相手が吹っ飛んだのである。
人間達の空気が変わった。
恐怖でライカの方向に視線が釘付けとなった。
ライカは歩く。何事も無かったかのように。
人間のうちの1人が弓を引き、放った。
ドンッ!
矢はライカの直前でぐにゃりと弾道が逸れ、そして次の瞬間、矢はバラバラに砕け散った。
ライカに果敢に挑もうとする『勇者』達は顔を見合せ、目で会話し、そして1歩前に出る。
「か…覚悟ォッ!」
「死ねッ!悪魔ッ!」
「うおおッ!くらえっ!」
3人が同時にライカへ突っ込む。
大剣に、ナイフ、そして日本刀…だが、関係ない。
ズドドドンッ!!
大剣を持つ大男の両腕は大剣ごと吹き飛び、大剣の破片が彼の頭に直撃する。
大男はドサリと倒れた。
ナイフを持った女は1人目と同じように上半身を吹き飛ばされた。
同じくドサリと倒れる。
日本刀を持った男は突きを浴びせようとして、逆に日本刀の柄が腹部に突き刺さり、ついでに折れた日本刀の破片が全身に突き刺さって、ボロボロになる。
同じくドサリと倒れた。
…人間達の戦意は完全にくじかれていた。




