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伝説の豚(おとこ)


 「ぶふぃ!卜部翠隼の協力を得たのか!それで、この店に来たがっている。なるほど、マスターが最高級ブウィスキーを出すだけあるぜ」

 「ブウィスキー?」

 「ブタ族が開発したウィスキーだよ。他の種族に対して秘匿してるんだ。知られたら、ブタ族の文化水準の高さがばれちまうからな」


 マスターは、店の入り口の札を閉店に変え、自分用のグラスにも酒を注いだ。


 「卜部さんには、助けてもらいましてね」

 「ぶふぃ、そうだなマスター。……三輪、この店の名は『ブタ酒場Ton』だが、トンという名の有名なブタの話を聞いたことはねえか?」

 「トン……ですか?……トン・ブヒーガーぐらいしか思いつきませんね」


 ゴッドは、その豚足でマスターを指した。


 「マスターの名前だ」


 三輪は、飛び上がった。


 「ええっ!神聖肉食美食教会を滅したトン・ブヒーガーがマスター?」


 マスターは目をそらした。そのミミガー……ではなく耳は赤くなっている。


 「まあ、若気の至りとかいうやつですよ」

 「ぶふぃ!驚いたか、三輪?ハナコちゃんを助けるために、教会の特殊戦闘部隊と戦った伝説のおとこだ」

 「ぬわっ?そんな事情だったんですか?」

 「……ええ。しかしわたしも、さすがに無傷ではありませんでした。あの、ブタはニンゲンが食べるために神が創造したなどと言う狂信者どもに、追いつめられていたのです」

 「ぶふぃ、その時マスターを助けたのが、卜部翠隼だったんだ」

 「神聖肉食美食教会は、迷利権メリケン軍と強い繋がりがある団体でした。当時最強のデンキパイロットだった、七色のデンキパイロットを使ってきたんです」

 「七色は、倒した相手の脳髄に直接触手を突っ込んで、ビラビラと笑いながらギョリギョリしやがるんだ」


 マスターは、グラスの酒をあおってから話を続けた。


 「七色のデンキパイロットには、わたしの鼻息でカマイタチを発生させる技も通じませんでした。……もう終わりかと思った時、卜部さんが助けてくれたんです」

 「そんな事があったんですね。わかりました。近いうちに、卜部さんを連れて来ますね」

 「三輪さん、ありがとうございます」








 「ぶふぃ、しかしマスターに三輪。ピピカドラグィラルの状況も考えなきゃならねえ。卜部翠隼を歓待しようにも、星が砕けたら無理だ」

 「卜部さんが言うには、協力な結界で包んでしまったらいいんじゃないかと」

 「結界……ですか。しかし、ピピカドラグィラルが暴れても耐えられるものを操れる者など、いるのでしょうか?」

 「ぶふぃ、いるぜ。グィグィラゲヴァーンだ」

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