デンキパイロット
1
「るらら〜星が〜ギュラギュラ輝いて〜いる〜」
酔っ払いは、ご機嫌だ。楽しげに歌っている。
ギョラララ!
「んー、何だー?」
酔っ払いの行く手を、フードつきのマントを着た何かが遮った。マントの下からは金属製の触手が伸びている。
「おー、デンキパイロットじゃないか。ご苦労さん」
デンキパイロットと呼ばれた存在の頭部には、「金」という文字が書かれている。
「無能者ヲ排除シマス」
「おお、動いてんなー。……あれ?周りに人がいない。壊れてるのか、このデンキパイロット?」
……ガギャ。
「お、おい。俺は無能者なんかじゃな……イギョムラ!!」
デンキパイロットの触手が、酔っ払いの体に突き刺さった。
「ゲ、ゲペュラミャラミレ!」
酔っ払いは、口からキラキラした得体のわからぬものを吐き出した。そして、しばらく小刻みに痙攣した後、一度大きくビクンと体を動かし、停止した。
「……無能者ヲ排除シマシタ。ビラビラビラビラ!」
デンキパイロットは、いつまでもビラビラと笑っていた。
2
「るらら〜星が〜やたらと〜ギンギラ〜風も〜生暖か〜」
三輪は園辺食堂で卜部と沢山飲んだ。その後、独りで帰宅しつつあった。
ギョラララ!
「んー?……あれ?……デンキパイロット?」
「無能者ヲ排除シマス」 「げっ!やはりデンキパイロットか……参ったなあ。平均的な警官二人分位の戦闘力があるんだよな、こいつら。しかも銀かあ」
三輪の行く手を阻んだデンキパイロットの頭部には、「銀」と書かれている。
「金ならなあ、小銭で買収出来るんだが」
「無能者ヲ排除シマス。排除シマス。排除シマス。排除シマス」
デンキパイロットはじりじりと三輪に近付いていく。三輪は首を振ってから、右手右足を前に構えた。
「まあ、勝てないだろうな。とはいえ、殺されるのも嫌だしな」
それから2秒間、金属を叩く音が辺りに響いた。
3
「いらっしゃいまし」
「おう、マスター。今夜も来てやったぜ。三輪は……来てねえか」
「ゴッドさんが頼んでた、ピピカドラグィラルの調査じゃないですか?」
ゴッドがカウンターに座るのとほぼ同じタイミングで、酒が置かれた。
「ぶふぃ、ありがとよ。……うーん、うまいぜ」
目付きの悪いブタが、うまそうに酒を飲んでいる。マスターは、器用にグラスを拭いている。
「ゴッドさん、デンキパイロットってご存知ですか?」
「おう、ニンゲンの政府が無能者狩りに使っている機械だな。無能者はテロリスト予備軍だから取り締まる……という名目で導入されたんだったな。反対する奴はテロリストの仲間だとか言って、強行採決したんだよな、ぶふぃ」
「ええ、結局はテロリストとか無能者とかは、政府に都合の悪い人物を処刑する口実でしたがね」
「国際社会とやらで叩かれて、少し導入しただけだったよな、ぶふぃ。それがどうかしたか?」
マスターは、グラスを拭く手を止めた。
「最近、増えたらしいですよ。ピピカドラグィラルが五万人蒸発させた後、ぐらいからですね」
「ぶふぃ!三輪の奴、大丈夫か?見た目すごく弱そうだぞ」




