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ハナコ・ブーヒー登場



 国会の周りをデモ隊が取り囲んでいる。五万人はいるだろうか。

 それを高いビルの窓から眺めている数人の男もいる。彼らは、ピピカドラグィラルを召喚した場にいた者達の一部だった。


 「チッ、うるさい奴らだ。愚民どもは黙って我々に従っていればいいものを。まあ、マスコミには報道しないよう言っておいたから、国民に運動が広がっている印象はないだろうがな」

 「あまり奴らの声が大きくなると、面倒ですね。ピピカドラグィラルを使ってみてはいかがでしょうか?」

 「ほう、ピピカドラグィラルか……。しかしあまり派手にやると、いろいろまずかろう」

 「ピピカドラグィラルのニンゲン蒸発光線で蒸発させられた者は、人々の記憶や文書などからも消えるのです」

 「ほう、そこまで使えるとはな」


 数分後、国会の周囲からは人の気配が消えていた。








 「おう、辞めるか土下座するか選べや」

 「ぐむっ」

 「どうすんだ?」


 三輪は寒い季節だというのに、身体中から汗を流していた。彼の目の前には、何かの書類を持った恰幅の良い男がいた。


 「黙っててもわからん。答えろ」

 「む、む、む、や、辞めます」


 三輪が答えると、恰幅の良い男はニヤリと笑った。








 ブタ酒場Tonのドアが、軽やかに開けられた。入って来たのは、リボンを着けた化粧の濃いブタだ。


 「いらっしゃいまし」

 「マスター、お久しぶり。あら?……三輪さん?……なんで隅っこで酔い潰れてるのかしら」

 「なんでも、暇を出されたらしいです。しかも、自分の都合で急に辞めた扱いにされたらしいですよ、ハナコさん」


 マスターとリボンを着けたブタのハナコは、ヒソヒソと話していた。


 「おう、今日も来てやったぜ、ぶふぃ!」


 勢いよくドアが開けられ、ブタ族の神ゴッドが現れた。ライオンすら怯えかねない目付きの悪さである。


 「あーん?三輪じゃねえか、忙しくてしばらく来ねぇとか言ってなかったか?」

 「ゴッドさん、今は声をかけない方が……」


 マスターはいらっしゃいも言わずに、ゴッドを止めようとした。


 「なーに言ってんだ、マスター。おい!起きろ、三輪!」

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