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100年前、俺たちのご先祖様は大きな間違いを犯した。
世界中で泥沼化した戦争を終わらせるため、核弾頭を世界各地に打ち込んだのである。
広島・長崎がそうであったように核の落ちた都市は10年ほどで復興したが、人々の身体に見えない大きな傷跡を残した。
戦争が終わって20年が経ったころ、ある統計学者が世界の人口比データについてとある発見をした。
『戦前は生まれてくる子供の男女比が6:4であったが、戦後10年以内に生まれた子供は男女比が1:10になっている』
漠然と抱いていた違和感が数字として示されると、各国首脳はこれを人類滅亡の危機と捉えた。
人間は男女の間でしか子供が残せない以上、男性が減れば子どもを残せずあぶれる女性が増える。
戦争で減少した人口の回復に大きな支障をもたらすこの問題は世界中で大きな波紋を及ぼした。
日本でも女性が優秀な男性を奪い合って時には暴力沙汰にまで発展する事態となり、政府はある決断を下した。
国民維持保全法の制定である。
・日本人男性の保護と生活保障
・妊娠希望者への妊娠支援
・政府による養育者と子どもへの手厚い子育て支援
この法律により日本人男性の保護という名目で、日本国内に生まれた男性は全国各地に所在する指定施設に収容される。
年間を通じて温暖な地域で健やかに養育され、納税・教育・労働の義務から解放される代わりに精子提供の義務を果たし、島外へ出る以外のすべての自由が保障された状態で生活を営むことが出来る。
そんな状態になっても男性の生まれる確率は年々下がり続け、現代の男女比は1:100となっている。
こうして、俺達は今もご先祖様の犯した過ちの上で暮らしている。




