表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
原作では破滅の悪役令嬢〜でも色々違います?(再編集版)  作者: Masa(文章力あげたい)
外伝 バッドエンドストーリー ひとみの野望

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
93/112

繋がらない思い

 理想学園の始業式。 登壇には、新生徒会長――倉石瑞稀が立っていた。


「……前生徒会長の川端ことねは、この学校の生徒たちの自由を奪った、私達にとっては罪人です。……しかし、私は思いました。彼女は孤独な一人の女性だったと。……もしかしたら、構って欲しかっただけではないかと……」


 瑞稀は語る。 前生徒会長のことを――。


 アタイは、体育館の隅っこからその姿を眺めてた。


 知った風な口を利きやがる。 あの女が、神子様の何を知ってるってんだ。


 本心? 構って欲しかった? 笑わせる。 アタイの神子様を、勝手に「孤独な女」だなんて枠にはめるんじゃねェよ!


 ――けど。 瑞稀のヤツ、なんであんな顔で喋ってんだろうな。まるで自分のことみたいに。


 新しいクラスに、櫻井美羽って転校生が来たらしい。 アタイは今年瑞稀や美羽と同じクラスらしい。


 担任が来て、生徒たちが席に着く。 一ヶ所だけ空いてた席に、その転校生が入ってくる。


 金髪のサラサラヘアーに白いカチューシャ。 動きは、お嬢様そのものだ。


 「よし、入ってくれ! 自己紹介してください」

 「櫻井美羽」

 「うん、続きをどうぞ」

 「特にありません。 席は……あちらですね」


 そう言って、櫻井はさっさと席に座っちまった。 担任が苦笑いで諦めてやがる。


 ハッ、いい度胸じゃねェか。 お嬢様?


 担任が出てった後、瑞稀が美羽のとこに向かう。 生徒会長のお出ましだ。


 「櫻井さん、貴方の態度はいかがなものかと思います。 生徒会長として、見過ごすことはできません。 ……しかも貴方は、副生徒会長に志願したそうですね?」

 「……貴方は。……別に関係ありません」


 そう言い捨てて、櫻井はどっかに行っちまった。


 瑞稀のヤツ、振られた犬みたいな顔してやがる。 それでも、目だけはギラついてた。 


 ――絶対に仲良くなってやる、とでも言いたげにな。


 アタイは鼻で笑った。 仲良く、ねェ? せいぜい頑張りな、生徒会長サマ。


 それから、季節が過ぎた。 あっという間に、二学期の初日だ。


 アタイはまた、あの二人を見てた。 校舎裏のベンチ。 少し遠くで騒がしい声が聞こえる場所だ。


 瑞稀が、美羽に声をかける。


 「……櫻井さん、隣いいかな?」

 「………どうぞ」


 美羽は大きなカバンをベンチに置いて、儚げに座ってる。 瑞稀はちょっと離れたとこに腰を下ろした。


 「櫻井さん、なぜそんな大きなカバンを持って来てるの?」

 「…………別に」


 沈黙。 美羽ってのは、いつもそうだぜ。 瑞稀たちが同じクラスになって、もう半年だっけか? なのに、櫻井は一向に心を開かねェ。


 なにが美羽をそうさせてんのか、アタイには、さっぱりだぜ。


 そうだ、瑞稀もボッチなんだ。 せっかく生徒会長になったのによ?


 いや、生徒会長になったからこそ、か?


 瑞稀は、空を見上げてた。 霞んでて、よく見えやしねェ空をな。


 「………どいていただけるかしら?」

 「あ!  ごめん! 邪魔だったよね! じゃあ生徒会室で!」

 「別に……」


 美羽がなにか言いかけてたけど、瑞稀はもうその場を後にしてた。


 聞こえてなかったのか、聞かねェふりをしたのか。


 去っていく瑞稀の背中が、なんか言いたげに揺れてた。


 瑞稀のヤツが、そんなことを考えてるのが、アタイには理解できねぇ。


 『ヒトミ、ワスレルナ……ゾウオヲ、アツメロ』

 「……」


 風が、少し寒い。 季節はまた、秋になろうとしていた――

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ