原作世界 邪神の復活 理想学園の崩壊
晩秋の頃。 理想学園は文化祭の当日を迎えていました。
独裁生徒会長ーーことねは、あの日から姿を見せていません。
彩乃は悪霊が最後に残した発言と、消えたことねのことを考えていました。
湊は、そんな彩乃を励まします。
「彩乃⋯⋯きっと大丈夫だ。 ことねは無事だから⋯⋯」
「湊⋯⋯。 でも、私、嫌な予感がするんです。 これからとんでもないことが起きてしまいそうな⋯⋯」
「彩乃⋯⋯大丈夫だ、俺が彩乃を守るから!」
「おいおい、こんな所でラブラブモード全開か⋯⋯仲良しでいいねぇ」
二人に声をかけたのは、柳田健太だった。 健太は、父ーー柳田秀五郎の指示に従い、裏から二人を見守っていたのだ。
「⋯⋯ま、お前たちは、この学校のスターだからな! 大目に見てやるか」
柳田健太がそう言うと、二人揃って顔を赤らめてしまうのでした。
「⋯⋯さて、そろそろ、文化祭が始まるぞ! 行こうぜ!」
「そうですね、行きましょう」
「なんだか緊張するな⋯⋯みんなの前で表彰なんて」
湊と彩乃は文化祭の開会式で、表彰を受ける予定でした。 それは、いままで表に出なかった湊にとっては大事でした。
どこか、浮ついた気持ちで体育館に近づく三人。 しかし、中の様子を見た時、三人は固まりました。
なぜなら、壇上にはあの日消えたことねが、立っていたのです。
「……みなさん、おはようございます。 生徒会長の川端ことねです。 今日もみなさんには規律に基づく学園生活を送っていただきます……」
驚くことに全校生徒たちは、彼女の存在を受け入れているのです。
ーーまるで、それが当然であるかのように。
そこへ、一人の生徒ーーひとみが疑問を口にします。 彼女の表情は、この状況を喜んでいる様でした。
「生徒会長! 本日は延期になっていた、文化祭当日ですよ!」
「……文化祭? そんな無駄なイベントなどありません」
「……いえ。 そ、そんなことは……」
ひとみが、顔を真っ赤にしながら、言い淀んでいるとーー
「そう、貴方達は余興を期待しているのね。 だったら貴方達に見せてあげる! ⋯⋯邪神様の復活をね!」
ことねが、突然現れた魔法陣の上に乗りました。 そしてーー
「エターナルパーフェクトさま。 こんにちは。 私は貴方様へ謁見を申す者なり それ即ち、私は、貴方様の家臣なり、その姿を私に現せ!」
彩乃と湊は慌てて駆け寄りました。 しかし、時既に遅くーー
ことねの体が黒いモヤに包まれてしまいました。 そのモヤが、まるでことねを操るように、言葉を発します。
『ハハハ⋯⋯虫ケラ共よ、この世界を滅亡へと誘ってやろう!』
正気に戻ったのか、逃げ惑う生徒たち。 彩乃と湊もその波に流されました。
モヤは、どんどん広がって、校舎全体を覆いました。
『我の力を見せつけるために、この建物を破壊してやろう……』
モヤが突風になり、校舎を破壊していきました。 建物はあっという間に崩れ、ついには瓦礫の山になりました。
しかし、その状況の中でも、前へ進む二人ーー 彩乃と湊でした。
ことねの体を奪った悪霊が、そんな二人を睨みつけます。
『感じるぞ⋯⋯桐原彩乃。 桐原舞香はどこへ行った?』
「……貴方、なんで舞香のことを知っているのよ!」
彩乃は、狼狽えます。 彼女の心臓の鼓動が早くなりました。
『……忘れたのか? お前たちの親の仇なんだがなぁ?』
「……まさか? ……そんな」
暴れている悪霊の正体は、かつて彩乃の両親が死んでしまう原因を作った悪霊だったのです。
『……まあ、気づかなかったのも仕方ない。 別の悪霊を使って、お前を揶揄っていたが、もう飽きた。 早く、絶望をよこせ! ありったけの絶望をな……』




