帰省? 里帰りしよう!
深夜、柳田家で秀五郎は、自分の配下である黒装束から、桐原家についての情報の報告を聞いていました。
「⋯⋯以上が我々の調べた結果、判明したことです」
「ふむ、ご苦労。 下がってよいぞ……」
「はっ! 失礼いたします!」
黒装束が、去って行くのを待っていた秀五郎。
その後、秀五郎は部屋に息子の健太を呼び出しました。
「……親父どうだったんだ? 桐原家について、なにか分かったのか?」
「ふむ。 ⋯⋯桐原家は先祖代々、祓い屋をしていた家系のようだ」
「先祖代々か。 桐原一族には、悪霊を滅する特別な力を持っていたのか?」
「ああ。 ⋯⋯しかし、優れた力は、時には悲劇を生むものだ⋯⋯」
秀五郎はそういうと、目を瞑ります。 健太はこれから、桐原家に起こった出来事を聴くことになるのでした。
◇◇◇
夏の暑い日差しが照りつける道を、ことねは歩いていました。 格好は美羽の別荘に行った時と同じ、ワンピース姿でした。
彼女の周りの景色は、田園が広がっており、緑一色に見えます。
「暑い! なんで夏の昼間はこんなに暑いのよ!」
「……お姉ちゃんは夏休みの間、ずっと昼間は家に篭っているから、余計に暑く感じるんだと思うよ」
「私は今、とっても大事なことをしているの、決して引きこもりじゃないのよ!」
「はいはい。 夜に健太お兄さんと、夜遊びすることが大事ねぇ?」
ことねと一緒に歩くのは、彩乃と舞香でした。 つまり、二人の里帰りにことねが同伴する形で一緒にやって来ました。
そうなった理由は、健太の指示でした。 彩乃を一人にしないよう、監視役が必要だとーー それがことねが一緒に来た表の理由です。
「健太に言われてるからね!『彩乃を守れ、無事に連れて帰れよ』って!」
「⋯⋯アイツ、私をなんだと思ってるの」
「そんなことより、彩乃ちゃんの故郷ってどんなかな!」
「ことね! 周りに緑しかないと思っているんでしょ!」
「たしかに、そう思っているけど! 私、嬉しいな。 彩乃ちゃんやマイマイと一緒にお出かけするの!」
そう言うと、ことねはニコニコしながら、クルッと一周回りました。
ーーやっぱり一緒に、お出かけするのって楽しいな! 湊がいればもっと楽しいんだけどね! と、ことねは考えていました。
「ところで、どこに泊まるの? 宿泊施設があるのかな?」
「知り合いの家に泊まるの! この時期に帰っているんだよ。 すでにことねちゃんも一緒に泊まります! って話してるから、安心してね!」
「ありがとう、舞香ちゃん! 少し緊張するなぁ! お泊まりは健太の家と美羽ちゃんの別荘に泊まったぐらいだから!」
「大丈夫! 八代おばさんは、優しいから! いつも、泊まる時は歓迎してくれるよ。 ……そうだよね、お姉ちゃん?」
「⋯⋯まったく、アイツは私のことなんだと思ってるのよ。 モヤモヤするわね、でもこの前のアイツ面白かったな、ふふ⋯⋯」
「駄目だ、お姉ちゃん、また自分の世界に入ってるよ⋯⋯」
健太の母、美月に聞いた昔話を思い出している彩乃。 健太のことで頭がいっぱいでこちらの話しを聞いていません。 その様子にため息を吐く舞香でした。
「よく来たね、お前さんたち。 ⋯⋯疲れたでしょう。 お茶を出すから、ちょっと待ってて」
「ありがとうございます! よかった! いい人だね、八代さん!」
家に着いたことね達を出迎えたのは、八代美紀子おばさんでした。
美紀子は彩乃と舞香の親、桐原家に代々仕えていた家系でした。 そして今も、この場所で桐原家のことを静かに見守っているのです。
しばらく縁側で待っていると美紀子が戻って来ました。
「はい、お持ち。 ……それにしてもこうやってると、思い出すね⋯⋯ 善子ちゃんたちと一緒に暮らしていた時のことを⋯⋯」
「善子さん⋯⋯二人の母親のことですね」
「そうだとも。 ⋯⋯いつも縁側で一緒にのんびりと景色を眺めながら、二人で色々な話をしたもんだよ」
「⋯⋯その時の話を、聴かせていただいてもよろしいでしょうか?」
「あ! 聴きたい! お母さんとなんの話をしていたの?」
「ふむ、どんな話をしようかな。 そうだね⋯⋯私達が、お前さん達と同じぐらいの頃の話をしようか⋯⋯」
そういうと、美紀子は昔を懐かしむように、視線を遠くに向けました。




