学期末! 休みの前に振り返ろう!
夏の長期休暇が始まる前の最後の登校日、体育館に全校生徒が集まっています。 外は暑いですが、体育館の中はクーラーが最近設置されて快適です。
壇上には校長先生が立ち、今から挨拶が開始されようとしていました。
「校長です。 終わり」
校長はそう言うと、生徒会長の瑞稀を、一瞬睨んで去って行きました。 瑞稀が校長にお話を無くす様に、指示していたのです。
でも、そんな短時間でも、居眠りできる生徒がいました。
「⋯⋯ふふ。 湊! ひゃん! そこは、私、弱いから! もうエッチ!」
「おい! ことね! 起きてくれ! 頼むから! ⋯⋯さっきから、みんなに変な目で見られてるから」
「家で、二人で変なプレイ⋯⋯しているんですか? このハレーム野郎!」
「誤解だ! 彩乃! そんなことしてないから!」
「ふふ、駄目だよ、湊! ゆっくり⋯⋯ね!」
それを見ていた瑞稀は、苦笑いするのでした。
続いて登場したのは、生徒会の挨拶担当の、榊原結衣と瑞稀でした。
「みんな~、こんにちは~」
『こんにちは!』
「う~ん、みんな~、げんき~、だね~」
「みなさん! 生徒会長の倉石瑞稀です! ただいまから! 学期の振り返りとしまして、こちらの動画を作成しました! みなさんの一学期の思い出を振り返りながら、お楽しみください!」
そして、いつの間にか設置された、巨大なモニターから映像が流れる。 その画面にいたのは、柳田健太と田中幸子でした。 二人はコスプレをして、向かい合っていました。
「ハハハ、無駄な抵抗も、これまでのようだな!」
「おのれ! 理想の化身エターナル・パーフェクト!」
「この学校は我々『理想の化身』が制圧した! 今日からお前たちは休みなし! 毎日通学だ!」
「そんな! 夏休みはみんなでプールに行ったり、キャンプをしたり、お祭の屋台で遊んで、後はのんびり堕落する日々を送りたいのに⋯⋯そんな虚無だけの日々は嫌! お願い助けて誰か⋯⋯」
生徒達がなぜか、真剣な表情で視聴しています。 ーーその時、榊原結衣の声が聞こえてきました。
「がっこう~、ピンチ〜、だよ~、みんなで、たすけをよぼう~、せ~の~」
『ミウミウ!』
「フグ、グブ」
会場の生徒たちが、声をひとつにして、呼びかけた時ーー この学校のマスコット、ミウミウが現れました。 ミウミウは必殺技を唱えます。 『自由推活のんびりアタック!』 悪霊は立ち去り学校に平和が戻りました。
「ありがとう! ミウミウ! ありがとう! のんびり推活部! みんな、拍手!」
動画終了後、体育館は感動と拍手が起こりました。
生徒が歓声を上げる中、『ミウミウ』の中の人ーー美羽が前に出てみんなの声援に、呆れながら言いました。
「⋯⋯はぁ。 あの、みなさん。 この動画、学園歓迎会に使った動画ですよ? ⋯⋯改めて用意した動画を、再生しますから、どうかよろしくお願いします」
すると、会場全体が、笑顔で溢れます。 みんなの優しさに、感動する生徒会役員たちでした。
「あ! 彩乃ちゃん見て! 体育大会の大玉転がし!」
「あの時がだいぶ前の様に感じるわね……」
「最後に私が胴上げされて、嬉しかったな~」
「まあ、ことね頑張ってたし、当然よ⋯⋯」
体育大会の映像を見て、和やかな雰囲気の生徒たち。 しかし。
「なんか、格好おかしくない! なんで冬服?」
「こんなことしたっけ? 映像が捏造されてね?」
「ミウミウちゃん、明らかに口パクだよね⋯⋯」
「田中さん、この後先生に怒られてなかった?」
その映像の中には、捏造されたシーンがたくさん収録されていました。
倉石瑞稀生徒会長が朝みんなに挨拶する場面ーー実際はギリギリで登校している。
ミウミウが流暢に喋る場面ーーいつもぷくぷくとしか言ってない。
田中幸子が決めポーズをする場面ーー先生に怒られる前で動画が切り替え。
柳田健太と榊原結衣にいたっては、もはや学校と関係がない活動など。
動画に挟まる生徒会員の活動内容に疑問の声が上がります。
そして、動画が終わった体育館には、ブーイングが響きました。
そんな中、瑞稀が登壇に上がります。
「みなさん! 私たち生徒会役員は、発足して時間はあまり経っていません! ⋯⋯そのため、みなさんに私たちのことを知ってもらおうと、あえてこのPR動画を作成しました。 若輩者の私ですが、二学期から頑張りますから、どうぞよろしくお願いします!」
理由を説明した瑞稀の発言に、納得した生徒たちは拍手で応えます。
ーー作戦成功! 大丈夫! 二学期には、楽しみの文化祭も開催するし、ちゃんと生徒会長として働くから! それよりも明日からなにして遊ぼうかな?
瑞稀は見事に、自分の怠惰を隠蔽することに成功するのでした。
一方、彩乃はこの様子が気に入らないらしく、考え込んでしまいます。
「原作では、休みなんてないのに⋯⋯事前知識がまったく役に立たないわ。 このままじゃまずいのに⋯⋯」




