家出? ライバル登場!
朝の静かな住宅街の中、ことねは日課のジョギングをしていました。
『私達』は今、とてもご機嫌です。 理由は、ライバルだと思っていた彩乃が、湊のことはもうどうでもいい、と発言したからです。
正直に言うと、『ことね』は大好きな湊が彩乃に取られると、記憶を取り戻してからずっと思っていました。
もちろん『私達』は、湊を譲るつもりはなかったのですが、湊が彩乃に惚れてしまったら、『ことね』は仕方なく諦めるつもりでいました。 それが、昨日の発言で心配する必要がなくなりました。
ーーここで重要なのは『ことね』はということですね。
道を走っていたら、いつもの場所に奥様がいました。
「おはようございます、美月さん!」
「おはよう。 今日も元気ね〜」
今日の『私達』は、いつも以上に元気いっぱいですね。
その時、人の気配を感じたことねは、横を見ます。 すると、他校の制服を着た女子高生が、ことねを追い抜いていきました。 突然のライバルの登場に、ことねは相手に声をかけます。
「私と競走するつもりだね! いいよ、相手になるよ~」
「Why?⋯⋯あの? 貴方は?」
「坂までね! 用意、ドン!」
「unintelligible⋯⋯え、なんですの?」
そう言うとことねは、スピードを上げて坂を目指します。 声をかけられた彼女は問いかけます。
「Hey⋯⋯なぜ競走を?」
「私のスピードについて来るだと!」
「話聞いてますか?」
「私は、負けないよ!」
「a race⋯⋯勝負なら私が勝つのですわ!」
やがて、ゴールに到着して、呼吸を整え、互いに顔を見合わせます。 そして握手。 お互いの健闘を讃え合います。 二人の間には、すでに絆が芽生えてました。 ことねは問いかけます。
「なんで、こんな朝早くに制服姿で、ジョギングしてるの? ちゃんと私みたいに走る格好をしなくちゃ!」
「⋯⋯別に私は、ジョギングのために走っていた、訳じゃないですわ⋯⋯家出して来たのですわよ」
彼女ーー櫻井美羽は、そう言うと悲しげな表情を浮かべます。
「なになに、どしたん? 話聞こか?」
「ちょっと、親と仲が悪くなりましたの」
「ふ~ん、そうなんだ」
「嫌になって、喧嘩して、家を飛び出しましたの」
「大変だね~」
「⋯⋯行くあてもなくて、現実逃避のために走っていましたの⋯⋯」
「うん? それなら、ウチ来る?」
「嬉しいけど、迷惑ですわ⋯⋯」
「大丈夫! 広くて、ご飯付きだよ! まずはお試しで、美味しい朝ご飯一緒に食べよ!」
「朝ご飯! 食べたいですわ!」
「よし! じゃあ帰ろう!」
ことねは、そう言うと、美羽と一緒に家に帰るのでした。
「ことね、おかえり。 朝ご飯出来てるぞ」
「湊、ただいま。 お願いがあるんだけど⋯⋯」
「駄目だぞ! 面倒を見るのは、結局俺なんだから」
「そんな!⋯⋯美羽ちゃんが、かわいそうだと思わないの?」
「さっそく、名前までつけて⋯⋯ ちゃんと一生、そいつの面倒を見る責任があるんだぞ!」
「⋯⋯うん、わかったよ! ちゃんと面倒も見るし育てるから! だからお願い!」
「わかったよ。 ことねがそんなに言うなら飼ってもいいよ」
「やった! ありがとう湊! ⋯⋯入っておいで美羽ちゃん」
「⋯⋯?」
ことねは、美羽に手招きをして入る様にいいます。 湊は頭に?を浮かべながら、様子を見ていました。 そして家の中に入って来たのは、湊の知っている顔でした。
「紹介するね! この子の名前は櫻井美羽ちゃん。 そして⋯⋯」
「really? 湊! え?⋯⋯と言うことは彼女は⋯⋯」
「美羽! どう言うことだこれは!」
「うん? 知りあい? よかった! 自己紹介の手間がはぶけたね~」
困惑する、湊と美羽を気にせずに、ことねはジョギング後のシャワーを浴びに行くのでした。
シャワーを浴びながら、ことねは呟きます。
「知り合い? 私、知らないわよ湊⋯⋯」




