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「ふぅん、なかなか良い子たちじゃない。」

「所詮人間のやることだ。一時の気紛れに過ぎん。」

楓たちの去った後の神社の境内から声が聞こえる。

「あんたってホント曲がってるわね白鴉。生き過ぎたんじゃない?」

「…好きで生き長らえているわけではない。」

片方の声の主は白鴉だ。相変わらずの気難しい声色で相手にぼやいている。

「大きな問題も無さそうでひと安心だわ。坊やの小細工も功を奏したってトコかしら?」

「流風か。こそ泥の周りを彷徨の術で囲み時間稼ぎをして追手を追い付かせるなど…やり方が回りくどい。」

「あら、それがあの坊やの狙いでしょ?坊やの狙った通り穏便に、しかも人間が涼水の鏡を返したわ。」

話し声と、ざくざくと枯れ葉を踏む足音が境内の外へと出ていく。

「まぁ…阿蘭に手を出させなかったのは人間にしては上出来か。」

「あんた、坊やの術に嵌まって阿蘭を止められない位置に居たものね。情けないったらないわ。」

突っ慳貪にもの申す相手に、白鴉が言い返せずにぐう、と息を詰まらせた。

「情けないといえばそこのワンちゃん達もよ。いとも容易く鏡を盗まれて、今も疲れてぐっすり…」

「言ってやるな。ここしばらくこの山の妖力が安定しておらんのだ。」

阿蘭らを庇う白鴉にも“ふぅん”と興味がなさそうだ。

「今日も坊やの所、行くんでしょ?」

「…うむ。そろそろ行こうかと思っていたところだ。」

羽音を響かせ、白鴉が壊れた鳥居に飛び移った。もう一つの声の主の姿は見えない。

「坊やによろしくね。たまには顔見せなさいって、伝えておいて。」

「承った。」

簡単な返事を返して白鴉が夜が明けたばかりの空へと翼を広げ羽ばたいていった。

「久し振りに何か起きるのかしら?ねぇ、涼水?」

残された声の主は今は亡き神社の主に語りかける。

もちろん返事はなく、ざわざわと木の葉が揺れる音が辺りに響いた。

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