第22話:紅蓮の記憶、灯る火種
焚き火のぬくもりが残る朝。
ミハヤの中に宿る「記憶」が、夢となって現れはじめる。
燃える街、叫ぶ声、そして、忘れかけた誰かの面影――。
彼女の過去と“火”の力の真相に、イサナとセオリが寄り添うとき、
古の祭壇が、再び赤き光を灯し始める。
夜の闇がゆっくりと遠ざかり、淡い朝焼けが森を染めていく。
ミハヤは、焚き火の残り香を胸に抱いたまま、静かに目を覚ました。
傍らにはイサナとセオリ。
けれど、彼女の夢はまるで現実のように鮮明で――。
「……また見た。燃える街と、誰かの叫び……」
ミハヤの声に、イサナとセオリが顔を向ける。
「詳しく聞かせてくれるかい?」と、イサナ。
ミハヤは小さくうなずくと、昨夜の夢を語りはじめた。
街全体を包む炎。
空から降り注ぐ赤い光。
そして――炎の中に立つ、面影の似た少年の姿。
「……わたし、あの子を知ってる気がするの。でも、思い出せない」
「“記憶の封印”かもね」と、セオリが呟く。「わたしも村にいた頃、似た感覚があった」
そのとき、森の奥から“トンッ”と何かが跳ねるような音がした。
イサナがすっと立ち上がり、視線を向ける。
そこには、祠の奥へと続く、小道が続いていた。
「……行ってみよう」
ミハヤが自然と前に出た。
小道の先にあったのは、朽ちかけた石の祭壇。
しかし、その中心には――淡く輝く「赤い勾玉」が置かれていた。
ミハヤがそっと近づいた瞬間、勾玉から火のような幻影が立ち上り、空に輪を描く。
「これは……!」
一瞬、世界が赤く染まる。
ミハヤの瞳に、再び“燃える街”が映る。
だが、そこには一つだけ違う記憶が混ざっていた。
――幼い彼女を守るように立ちはだかる、もうひとりの少女の姿。
「……知ってる。あの子、名前は……」
ミハヤが言葉を紡ごうとしたとき、祭壇の奥から風が吹いた。
まるで何かが“目覚めた”ように――。
「イサナ、セオリ……たぶん、わたし、思い出さなきゃいけないんだ。全部」
三人の足元に、淡く赤い光が灯る。
それは、かつて失われた火種が、再び命を帯びる証だった。
そして――
遠くの空に、雷光が走る。
それは、次なる試練の訪れを告げる、序章に過ぎなかった。
ミハヤの過去が少しずつ明らかになり、
彼女が“なぜ炎を抱えているのか”の核心へと近づきはじめました。
次回、さらに深く繋がる“記憶”と“出会い”の痕跡――
そして彼女の中に眠る「もうひとつの存在」に迫っていきます。
どうぞ、お楽しみに。




