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 ようやく春が過ぎ、梅雨のうっとうしい季節がやってきました。

今日はいつもにもまして朝から土砂降りです。

この日も私たちはいつものように登校し、友達と雑談をし、始業ベルの鳴る前に席に座るいつもの日常が始まる予定でした。

しかし、この日はいつもと違っていました。

担任のかぐちゃんが教室に来てもいつも元気な姿を見せるある生徒だけが来ていません。

一時間目のベルが鳴っても来る気配がないのです。

昨日はあんなに元気だったのになぜ来ないのだろうと私は思っていました。

一時間目の途中、ふと廊下を見ると宇宙服姿のような仰々しい姿をした変な人が歩いてきました。

こんな時間に変な人が廊下を歩いているなと思っていると、その人が私たちの教室のドアを開けたのです。

「遅くなってすいません。」

そう言うとその人は教室の後ろの方に行き、宇宙服のような服を脱ぎ始めようとしていました。。

私はその人を凝視していると、その人は床に見覚えのあるバケツを置き宇宙服のような服の腰辺りにある小さいチャックを開けたのです。

そのチャックを開けると透明な液体が徐々にバケツに注がれ始めました。

その様子は珍しいのか、ほかのクラスの人たちも見始め、いつの間にか授業は中断していました。

バケツ注がれ始めた透明な液体はバケツ一杯になったところで終わりました。

その透明な液体は注がれ終わったあと、注がれていた余韻なのか不気味に揺れていました。

その不気味に揺れていた液体は次第に大きく揺れ始めました。

その液体は何かの意思を持っているかのように徐々に大きく盛り上がり始めました。

その透明なはずの盛り上がった液体は次第に黒ずみ出し始めました。

この世の闇をも包むぐらいに真っ黒になったかと思うと今度は次第に明るくなり始め形もだんだんと人の姿になり始めました。

顔とみられる辺りを見つめているとだんだんと人の顔に近づいてきているのが分かります。

そして、液体が10分ほどの時間をかけて人へと変化したのです。

よく見ると、それは遅刻をしてきた委員長(液状生命体)でした。


 委員長は改めて

「遅くなってすいません。いつも通っている通路が水没していてこんなに遅くなってしまいました。」

と申し訳なさそうに担任のかぐちゃんに伝えてきました。

担任のかぐちゃん(天使)は

「別に構わないよ。あなたの種の特性上しょうがないから。しかし、珍しいモノが見れたよ。液状生命体が人の形を形成するまでを見れるなんてなかなかあることじゃない。1000年間生きてきて初めて見たよ。」

意外なところで担任のかぐちゃんの年齢が聞けたと思った。神族や魔族、天使の人たちは長生きだとは聞いていたけどそんなにも長生きをするのだと改めて感心した。

そう感心していると担任のかぐちゃんははっとしたのか私に向かって

「言っとくけど、天使の1000歳は人間で言うところの20代だからな。」

しかし、かぐちゃんは無言の圧力に屈したのかすぐに焦ったようにこう言い直しました。

「あ〜、あれだ、20代というのは言い過ぎだな。ほら、30代、アラフォーだな、人間の言うところの。言っとくけど結婚とか言うなよ。あれだ、天使は結婚しない種族だから。」

なんか、かぐちゃんがしどろもどろだ。

いつも上からの(と言っても愛嬌のある)かぐちゃんのこのうろたえようが妙におかしかった。


このあと、委員長からいろいろな話を聞いた。委員長はどうやら水に弱いらしい。

と言っても少量の水は平気なんだそう。

小雨程度なら何の問題もないそうだが今日のような土砂降りは命の危険があるらしい。

なぜかというと彼女の体は水に溶けやすいそうで(少量なら何の問題もない)人間にたとえると空から硫酸が降ってくるようなモノだそうだ。

そのため、宇宙服のような密閉された服が必要なのだそうだ。

しかし、彼女はその服を嫌っている。

なぜなら、その服を着るのに30分、脱ぐのに10分以上かかるのだ。

それに普段服を着ることのない彼女(液状生命体のため服に見るもの自体も彼女自身の体の一部なのです。)は服を着ること自体苦痛に感じるのだそう。

それに彼女は普段、自分専用の地下通路を使っているのだそうだが、最近老朽化が激しくとうとうこの土砂降りの日に決壊してしまい仕方なく宇宙服のような服を着て登校したのだそう。

その地下通路の復旧にはいろいろな人の力を持ってしても一週間かかるのだと聞いて委員長はうんざりしたような顔をしていた。

そして、委員長は

「あかりちゃん(光学生命体)のように一週間この学校に住もうかしら。」

とも言っていた。

なぜあかりちゃんが学校に住んでいるのかは後日話そうと思います。(詳しくはこの後発表する「花火」の回でします。)

とにかく今日は衝撃的な一日でした。






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