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父上の告白

「お父様のところに行かなきゃ」

うだうだとしている時間はない、報告に行かなければ。


馬車から降りるなり、ルシアには部屋に戻るように伝え、お父様に書斎でお会いしたい旨を執事に伝えた。

あの時以来に入ったお父様の書斎は、さらに書類の山が高くなっているような気がする。



「エマ、あの坊やは元気にしていたかい?」

「ええ、、久しぶりにお会いしましたが、騎士学校で鍛えられたようで随分とたくましくなっておられましたよ」

「それはよいことだ。 無事に話はできたかい」

「互いが互いの婚約者候補だという誓約書を、結ぶことになりました」

あ、固まった。



「お父様、私はカナン様の婚約者候補ではなかった。では、なぜ私がカナン様の婚約者候補を辞退したいと申した時、その間違いを正してくれなかったのですか?」

ちょっと強気に出てみる。

あの時教えてくれたなら、違う風に話ができたかもしれない。



「幼いエマに婚約などの話をするのは心苦しくてね 落ち着いた頃には、自分が婚約者候補だと思い込んでいるようだったから、ついそのままに.. エマはカナンの坊やにあまり興味がないようだったから、そのままがよいだろうと、、」



娘を溺愛してるのは分かった。

ユグドラシル家との関係は切れない、娘は可愛いの父なりの折衷案だったのだろう。


「、、エマには、自分で選べる道を残してあげたかったのだよ」

私の周りは、私のことを考えてくれる人が、多すぎるんじゃなかろうか。



「父上は選べなかったのですか」

「選ぶ道はこの家を守ることだけさ もちろん妻を、お前たちを愛する気持ちに偽りはない」

立派な人だなぁ。隠居した祖父からこの家を継いでまだ数年だというのに、しっかりとした貫禄と安定感。

日本に連れてったら、モテるだろうなぁ。



「ありがとうございます、お父様 じきに、ユグドラシル家から誓約書の調印について知らせが来ると思いますので、その時はよろしくお願いします」

「エマが決めたのなら反対はしないよ あの坊やとの結婚はまだ認めないが」


「カナン様との結婚はまずないと思いますが、、 お父様、将来私が結婚する相手は私が決めた相手だけだと約束してくれますか また、結婚をしないという選択をした時は、その道を許してくださいますか」



この世界で、学園を卒業した後は何が待ち受けているか分からない。


「エマは、私たちの届かないどこかを生きているんじゃないかって時がたまにあるよ そうだね、どんな道を選ぼうとも私の力の及ぶ限り幸せを願うよ 誓約書を書いたってもいい」

最後のはお父様のおふざけだ。

しっかりと目を見つめあった後、ふっと笑みがこぼれた。


「お父様は、世界で一番素晴らしいお父様だわ ずっとこの家にいたかった」

「もうすぐ寮に入ってしまうのは、寂しくなるよ」

ナディア姉様が入学した時のお父様は、しばらくふさぎこんでたものね。


「寂しくなりますね、お父様」

「まったくだ」

まだ泣くのは早いですよ?

入学した後のアフターケアは、お母様とナディア姉様に任せよう。



「ルシアはもうこの事を知っているのだろうね?」

「ユグドラシル家で、カナン様から告げていただきましたが」

「それだけではきっと足りないね あの子はエマを溺愛しているから エマの言葉で、あの子に告げてあげなさい」



お父様は、乙女ゲームの愛情度が見れるスキル持っているのだろうか。

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