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勇者公害  作者: 敗北者
第二章 「鬼ヶ島」
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第8話「暴食」

死の谷、第一層。

そこはかつて、英雄ノーラントが魔王を追い詰め、最後の一撃を放った終焉の地である。

魔王城のある第三層から奇襲をかけ、地表へと叩き出した決戦。

しかし、今やそこは地獄と化していた。

空から降り注ぐのは灰色の雨。

吸い込むだけで肺が焼けるような高濃度汚染の中、アルマイトは立ち止まった。


「……ここが、すべての始まりの場所だ」


足元には、かつての戦場に遺棄された無数の武具が転がっている。

それらは魔力を吸い、墓標のように突き立っていた。

アルマイトは背中の黒鉛鉄を抜き、大気そのものを斬るように大地へと突き立てた。


「吸え、黒鉛鉄(グラファイト)。俺の過ちを、一滴残らず」


大剣が唸りを上げ、光を奪い始める。大気に淀んでいた魔力が、濁流となって剣身へと吸い込まれていく。その浄化作業が行われる最中、地面が激しく揺れた。


「……ギ、ガ、ガガ……」


瓦礫の山が蠢き、巨大な影が立ち上がる。

それは、捨てられた数千の武具が魔力によって結合した、歪な姿のゴーレムだった。

だが、その動きは鈍重な見た目に反して、あまりに「精密」だった。


ゴーレムが右腕を振るう。

放たれたのは単純な岩石の弾丸。

しかし、それは空中で急激に加速し、鋭い軌道を描いてアルマイトの頬を掠めた。


「……?」


ハヌマーンが錫杖を構え、目を細める。

「若き光よ、気をつけよ。あの怪物の攻撃、すべてが不自然に収束しておる」


アルマイトは剣を地面に固定したまま、迫りくる異様な攻撃を凝視した。

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