「第18話:氷の女王様、シロップはイチゴ味とメロン味、どちらがいいですか?」
あらあら、まあまあ!
真夏の王都がすっかり銀世界に変わってしまったのですから、本場の「氷の女王様」が黙っていらっしゃらないのも無理はありませんね。
吹雪を巻き起こしながら乗り込んできた女王様。でも、ジャンヌさんの前では、どんな氷も溶けてしまいそうです。
王都の正門から、空気を一瞬で凍てつかせるような冷気が押し寄せてきました。
六頭立ての白熊が引く氷の馬車に乗って現れたのは、肌が雪のように白く、刺すような美貌を持つ「北の果ての氷の女王」エルサリア様でした。
「おだまり! 誰だい、許可もなく私の専売特許である『雪』をこんな南国に降らせた不届き者は!」
彼女が杖をひと振りするたびに、地面から巨大な氷の棘が突き出します。街の人々が「ひ、ひぃぃ! 本物の氷の魔女だ!」と逃げ惑う中、私はのんびりとシロップの瓶を並べていました。
「あら、お客様。こんにちは。遠いところから、ようこそいらっしゃいました」
「……はぁ? あんたがこの異常気象の元凶かい? この私、氷の女王を前にして、そのマヌケな笑顔……ただで済むと思って……」
「女王様、とってもお綺麗ですねぇ。でも、お顔が少し冷たそうです。……そうだ、お近づきのしるしに、この『かき氷』はいかがですか? シロップはイチゴ味とメロン味、どちらがいいですか?」
私がニコニコと、削りたてのふわふわな氷を差し出すと、女王様の眉間に深いシワが寄りました。
「……な、なめるんじゃないよ! 私は氷そのもの! 氷を食べるなんて、共食いみたいな真似……」
「まぁ、そう仰らずに。あ、欲張りさんに『ブルーハワイ』もかけてあげますね。はい、あーん」
「ちょ、ちょっと、待ちなさ……むぐっ!?」
拒絶する間もなく、私の「おっとりとした高速給餌(※竜殺しスペック)」によって、女王様の口に青い氷が放り込まれました。
「…………ッ!! !?!?!?!?(キーン!)」
女王様は、さっきのアオ君と同じように頭を押さえて悶絶しました。しかし、その直後。
「な、……な、何だいこれ……! 私の氷にはない、この暴力的なまでの甘さと爽快感……。この青い液体は、一体どこの魔界の雫なんだい!?」
「ふふっ、ブルーハワイというんですよ。お気に召しましたか?」
「……。……あ、あともう一口。今度はその、赤い方をかけな。……早くしなさいよ!」
氷の女王様は、すっかりツンデレな常連客になってしまいました。背後では、ロンさんとアオ君が武器を収めて、呆れ果てた顔をしています。
「……おい、アオ。あの女王、さっきまで国を滅ぼすとかなんとか言ってなかったか?」
「ああ。今は舌を真っ青にして、おかわりの列に並んでるな……。ジャンヌ、恐ろしい女だぜ……」
「ロンさん、アオ君。女王様にも、お席を用意してあげてくださいな。お友達が増えて、とっても賑やかですねぇ」
氷の女王までもが、かき氷の冷たさに「キーン」となりながら笑顔になる。
王都の雪祭りは、さらにカオスに、そして美味しく盛り上がっていくのでした。




