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第一章『勿忘草』 二十二節『魔法とは』

こんにちは、こんばんは。しらすおろしぽんずです。

 一週間も更新せずに申し訳ありません。いろいろと忙しく報告もできなかった始末です。週二で投稿すると言っているのにも関わらず……。

 しかしこれからも投稿は続けていきます。その過程で一人でも楽しんでいる方がいれば私は幸せです。

それでは、また。

二十二節『魔法とは』



「ごきげんよう二年生諸君。もっとも、一人ご機嫌ではなさそうな身なりをしたものがいるがね」


「幻覚系の能力ではないのなら、なんだって言うんですか?」


「っふ、私がここにいることに関しては何も聞かんのだね」


「ええ。二手に分かれることは想定していたので」


「ほほう。なかなか作戦と行動予測ができているのだね。しかしそうなると余計に気になる。なぜ私のこのような子供だましに引っ掛かっているのかが」


 答えは自分が知っているであろうに。 にやにやしながら僕たちを見る。しかし僕はどう考えてもわからない。練習を何度もしたし実際に今までの作戦も順調だった。にもかかわらずこんな状況になっている。なぜなんだ?


「君の心の中の疑問の答え、それは“実戦だから“だ。レナグ・アリフィス・エルブルー」


 何だ?! 心が読まれている……のか?


「図星だったようだな」


 我、勝ったり。そんな顔が出来上がる。腹立たしいが質問をしないことにはわかる気がしないので聞いてみるしかない。


「“実戦だから”。それは実戦の雰囲気による緊張や恐怖で判断能力とか運動機能が低下するって意味ですか?」


 ほかに答えはないのかとでもいう風に白亜とララを見た後で先生が話始める。


「確かにそういった意味も含んでいる。だが私には諸君が過度に緊張しているようにも恐怖しているようにも見えない」


「じゃあ、なんで俺たちが罠にかかって、迷ってんだ?」


 と、そう白亜が聞く。


「その話をし始める前に、まず聞いておくことがある。魔法とは何だ」


「それは……ものを自由に操れたり、火を出して攻撃できたりする、便利なもの? なんじゃないか?」


「答えになっていないな。いいかね、魔法とは記憶だ」


「記憶……」


 何か、底の見えない大きな湖に入ったような不思議な感覚に陥った。


「でもみんな魔法、魔法って……」


「それはあくまでもわかりやすくするための呼称、だった。しかし近年では科学の発展もあり、区別がつかなくなってきているがな。

 まあいいとにかくだ。魔法は記憶。そして『色』もまた記憶だ。その記憶が形になって現実のものになる。その効果、それこそが『色』の能力。それが魔法と呼ばれている。

 加えて、それが喜の記憶であれ、怒や哀、楽の記憶であれ鮮烈であればあるほど『色』の能力、つまり魔法は濃く強くなっていく。そして一番強い喜怒哀楽の記憶を持った者が〈五心色〉として選ばれる。彼らが持った『色』の名を『皇色』と呼ぶ……。授業のようになってしまったな。では最初の質問に戻ろうか」


「なぜ僕たちがこの森の中で迷ってしまったのか」


「なぜなら、私が、私の記憶を開放しその影響で君たちの方向感覚を狂わせたから、だ」


 と言うことは……


「……ってことは先生は色の所有者ってことなの?」


 ララがまさに僕の思ったことを言った。


「僕もそう思う」


「如何にも。まあこれは訓練課程一年生でもと解けるような問題だがね」


 少し先生らしいことをしてくれたと思ったらすぐこれだ。ツンデレなのか??


「難しいことはよくわかんねえ。けど、今問題なのはそんな色の所有者かもしれねえ奴が俺たちの敵ってことだ」


「おお、今日は薄雪白亜も好調ではないか。そう、諸君の目下の問題は私が君たちの前にいること。そして、刻一刻とミクリア・クローバーが弱っていっていることだ」


 そうだ。ミクリアが踏ん張れているうちに、僕たちはアンセントワート先生を倒さなければならない。


 果たして僕たちにそんなことができるのか?


 そんな雑念が僕の頭をかすめる。そしてなかなか振り払えずにいたところを白亜が先陣を切って飛び出した。


 斧槍を両手で振り上げ殺す気で振り下ろす。威力は絶大で地面を大きく削ったが、その分速さが足りず軽くいなされる。


 しかし避けた先にはララがいた。脇差を逆手に持ち一気に距離を詰める。武器のないアンセントワート先生は絶体絶命——ではなくあまりの遅さに驚いたとばかりに肩をガクリと落とし、また距離を取り直す。


 僕もただ見ているわけでは無いが、弓矢は近距離戦闘ができない。せめて二十メートルは離れないと……。だがそんなことを許してくれるアンセントワート先生ではない。ぼくが距離を取ろうとするとすかさず『色』の能力、魔法を使って僕を足止めする。


 いつの間にか方向感覚を失っているのだ。嘘ではなくはっとした時にはもう行きたい方向とは別の方向に向かっている。個々から援護射撃しようにも、いまのぼくの腕では白亜やララに当たりかねない。


 焦り。恐怖。そうか。これが本当の戦闘。実戦ってやつなのか。


「うっ!!」


 そんなふうに半ば悟りを開いていると何か大きなものもが僕の胸に飛んできた。鈍い衝撃を手を土に着き受け止める。


 それはあざだらけになって朦朧としたミクリアだった。

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